4.2 攪拌機の固有振動数
4.2.1 固有振動数の測定結果
Fig. 4-1~Fig. 4-8 に各軸、各モーターにおける固有振動数測定結果を示 す。Table 4-1 には、これらの結果の低周波領域における固有振動数をまとめ て示す。
Fig. 4-2、Fig. 4-4、Fig. 4-6、Fig. 4-8 の全 FRF 振幅の等高線図より、
FRF Number の低い値、つまり攪拌軸が共振時に大きく振動することがわかった。
Table 4-1 の結果より、実験と解析において固有振動数に差異がみられたこ とがわかる。この原因として、解析においてモデル化したのは、攪拌軸と攪拌 翼のみで、モーターやスタンドをモデル化していないことが原因と考えられる。
また Fig. 4-9 には使用した円筒平底攪拌槽の固有振動数測定結果を示す。
この結果より攪拌槽には低周波領域における固有振動数はないことがわかった。
Table 4-1 Natural frequency measurement results
Experiment Simulation
A1070 (1200G) 8.9Hz, 15.1Hz 25.3Hz
SUS304 (1200G) 8.9Hz, 15.5Hz 39.8Hz
A1070 (600G) 8.1Hz, 13.4Hz 25.3Hz
SUS304 (600G) 8.0Hz, 13.6Hz 39.8Hz
Fig.4-1 Natural frequency (A1070, H=92mm, 1200G)
Fig.4-3 Natural frequency (SUS304, H=92mm, 1200G)
Fig.4-5 Natural frequency (A1070, H=92mm, 600G)
Fig.4-7 Natural frequency (SUS304, H=92mm, 600G)
Fig.4-9 Natural frequency (Stirred Vessel)
4.2.2 固有モード
Fig. 4-10~Fig. 4-13 には、上記 4.2.1 で得られた各固有振動数におけ るモードシェイプを示す。各軸、各モーターともに 1 次モードにおいては、攪 拌軸が X 方向に振動し、2 次モードにおいては、攪拌軸に連成して攪拌機全体が X 方向へ大きく振動することがわかった。
Fig.4-10 Mode shape (A1070, H=92mm, 1200G)
Fig.4-12 Mode shape (A1070, H=92mm, 600G)
4.3 攪拌運転時におけるスペクトル分布
Fig. 4-14~Fig. 4-27 には、各軸、各モーターにおける、周波数分析結果 の一例を示す。回転数が上昇するとスペクトルに明確な頂部の発生が見られた。
まずスロッシングの発生する 135rpm 付近より、スロッシング周波数である 2.3Hz 付近において高いピークが見られた。これは、攪拌翼の回転周波数がスロ ッシングの周波数である 2.3Hz(138Hz)以上ではスロッシングが発生するためと 考えられる。また、A1070 軸・1200G においては 534rpm、907rpm 付近において はそれぞれ 8.9Hz、15.1Hz、SUS304 軸・1200G においては 534rpm、928rpm 付近 においてそれぞれ 8.9Hz、15.5Hz、A1070 軸・600G においては 486rpm 付近にお いて 8.1Hz、SUS304 軸・600G においては 480rpm 付近において 8.0Hz に高いピー クが見られ、攪拌機全体が振動した。これは、例えば A1070 軸・1200G の場合、
534rpm は回転周波数 8.9Hz であるため、攪拌機の固有振動数 8.9Hz と一致して 共振を起こしたと考えられ、907rpm(15.1Hz)についても同様に、固有振動数で ある 15.1Hz と一致して共振を起こしたと考えられる。SUS 軸、600G モーターに ついても同様に、攪拌機の固有振動数と攪拌翼の回転周波数が一致したため共 振を起こしたと考えられる。
Fig.4-15 Spectrum distribution (A1070, 150rpm, H=92mm, 1200G)
Fig.4-17 Spectrum distribution (A1070, 907rpm, H=92mm, 1200G)
Fig.4-18 Spectrum distribution (SUS304, 110rpm, H=92mm, 1200G)
Fig.4-19 Spectrum distribution (SUS304, 150rpm, H=92mm, 1200G)
Fig.4-21 Spectrum distribution (SUS304, 928rpm, H=92mm, 1200G)
Fig.4-23 Spectrum distribution (A1070, 150rpm, H=92mm, 600G)
Fig.4-25 Spectrum distribution (SUS304, 110rpm, H=92mm, 600G)
Fig.4-27 Spectrum distribution (SUS304, 480rpm, H=92mm, 600G)
4.4 結言
共振現象の有無を検討した結果以下のことがわかった。
1) 攪拌機の固有振動数は軸の材質や、モーターの種類に依存し、共振時には攪 拌軸が大きく振動し、それに連成して攪拌機全体が大きく振動する。
2) 攪拌機の固有振動数と攪拌翼の回転周波数が一致すると共振現象が発生し、
攪拌機の振動加速度の周波数解析を行うとその振動数に明確なピークが認 められ、スロッシングが発生する領域にはスロッシングの周波数にもピーク が認められた。
以上のことより、攪拌運転時において共振現象が発生し、攪拌軸が折損する可 能性があることがいえる。