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スロッシング

ドキュメント内 第2章 実験 (ページ 34-63)

3.1 緒言

本章では、攪拌翼折損の原因の1つとして考えられるスロッシングについて 検討した。スロッシングの発生する回転数、スロッシングの全振幅、および波 が円周方向へ 20 回転するときの経過時間によりスロッシング周波数を測定し、

スロッシングの発生メカニズムを解明することを目的とした。

3.2 ヒステリシス曲線

スロッシングの検討を行うのに際し、単位時間あたりの回転数の増加に対す るスロッシングの発生回転数への影響を検討するためにヒステリシス曲線を考 えた。Fig. 3-1 には回転数 50rpm~400rpm の範囲で 2 秒毎に 1rpm ずつの増加 または減少、Fig. 3-2 には回転数 100rpm~160rpm の範囲で 2 秒毎に 1rpm ずつ 増加または減少させたヒステリシス曲線を示す。1 分毎に上昇させた場合と1分 毎に減少させた場合の曲線はほぼ同一の曲線を描くのに対し、2 秒毎に増加させ た曲線と2秒毎に減少させた曲線は大きく異なった。これは 2 秒毎に減少させ るとスロッシングが慣性力の影響により振幅の減少が遅くなったと考えられる。

また 2 秒毎に増加させるとスロッシングの発生し始める回転数も高回転側にず れることがわかった。1 分毎では慣性力の影響を受けていないと考えられる。さ らに実験を重ねた結果、30 秒以上では慣性力の影響を受けないことがわかった。

以上のことより、スロッシングの検討を行うための実験に際し、回転数の増 加は 30 秒毎に 1rpm ずつ増加とした。

Fig. 3-2 Hysteresis curve (SUS304, per60s)

3.3 スロッシングの全振幅

回転数増加に伴うスロッシングの全振幅の変化を調べるために、Fig. 3-3~

Fig. 3-7 に各液高さによる A1070 軸と SUS304 の全振幅変化の比較を示す。ど の液高さにおいても A1070 軸と SUS 軸で、スロッシングの発生回転数および全 振幅の変化に差異は見られなかった。従って、軸の素材は全振幅に影響を与え ないことがわかる。

次に、Fig. 3-8、Fig. 3-9 にはそれぞれ A1070 軸における液高さの比較、

SUS304 軸における液高さの比較を示す。A1070 軸、SUS304 ともに、92mm では 130rpm 付近、90mm、95mm、97mm では 200rpm 付近、100rpm では 300rpm からスロ ッシングが観察された。またどの液高さにおいてもスロッシングの全振幅は発 生回転数より急激に増加し、その後ほぼ 40mm 付近において一定値となった。

つまりスロッシングの全振幅は軸の材質に依存せず、またスロッシング発生 後は翼回転数に依存せず、ほぼ一定の値をとることがわかった。

Fig. 3-3 Comparison between Rotation rate and Total amplitude (90mm, 600G)

Fig. 3-5 Comparison between Rotation rate and Total amplitude (95mm, 600G)

Fig. 3-7 Comparison between Rotation rate and Total amplitude (100mm, 600G)

Fig. 3-9 Comparison between Rotation rate and Total amplitude (SUS304, 600G)

3.4 スロッシング周波数

回転数の増加に伴うスロッシング周波数の変化を調べた。まず、円筒形容器 におけるスロッシング周波数の理論式を次式に示す。

これらの結果よりスロッシングは、本実験におけるスロッシング周波数であ

2.3Hz以上の回転周波数(138rpm)以上の回転数にて発生すると考えられる。ス

ロッシング周波数は(3-1)式、(3-2)式にもあるように、液面高さには依存する が、翼の回転数には依存しない。回転数によらず一定値をとることや、液面高 さの増加に伴いスロッシング周波数が増加したのは、そのためと考えられる。

R f gh

92 π .

=0 (3-1) f:加振動数

g:重力加速度 h:液面高さ R:半径

また、液体貯蔵タンク等の耐震設計の分野で使われているスロッシング周期の 実験式を次式に示す。

= D

H g

Ts D 3.68

68 coth .

2π 3 (3-2) Ts:スロッシングの固有周期(s)

D:タンク内径(m) H:液面高さ(m) G:重力加速度(m/s2)

この式に本実験で用いたパラメータを入れると液面高さ 90mm では、スロッシン グ周波数は、理論式においては 2.75Hz、実験式においては 2.06Hz となった。

Fig. 3-10~Fig. 3-14 には各液高さにおけるA1070軸とSUS304の比較を

示す。A1070軸、SUS304軸ともに135rpm付近からスロッシングが発生し始め、

500rpm 以上では周波数は翼回転数によらず一定値(2.3Hz)となった。しかし、

91mm93mmにおいて、900rpm以上では回転周波数の増加が認められた。こ のとき液表面では、スロッシングが消滅し始め、ボルテックスが発生し始めて いた。その結果回転周波数が増加したものと考えられる。また、Fig. 3-15、

Fig. 3-16 にはそれぞれ、A1070 軸、SUS304 軸における液高さの比較を示す。

この図より、液高さの増加とともに周波数は増加するという結果が得られた。

Fig. 3-10 Comparison between Rotation rate and Frequency (91mm, 1200G)

Fig. 3-12 Comparison between Rotation rate and Frequency (93mm, 1200G)

Fig. 3-14 Comparison between Rotation rate and Frequency (95mm, 1200G)

Fig. 3-16 Comparison between Rotation rate and Frequency (SUS304,1200G)

Table 3-1 Sloshing frequency (A1070, 1200G)

Table 3-2 Sloshing frequency (SUS304, 1200G)

3.5 スロッシングの範囲

前節までの結果より、スロッシングの発生は攪拌軸の材質によらず、攪拌翼 の回転数と液面高さに依存することがわかる。Fig. 3-17 にスロッシングの発 生する翼回転数と液高さの範囲を示す。液面高さ 90mm~95mm の範囲ではスロッ シングの発生はスロッシング周波数である 2.3Hz(138rpm)付近より発生し、

1000rpm 付近よりじょじょに、スロッシングは消滅しはじめ、変わりにボルテッ クスが発生し始めた。96mm 以上の液面高さにおいては、スロッシングの発生は じょじょに高回転側へと移動し、スロッシングの消滅およびボルテックスの発 生する回転数はじょじょに低回転側へと移動した。103mm 以上の液面高さにおい ては、スロッシングは発生せず、ボルテックスのみが発生していた。

Fig. 3-17 Sloshing area

3.6 結言

スロッシングの発生メカニズムを検討した結果、以下のことがわかった。

1) スロッシングの発生は軸の素材には依存せず、攪拌翼の回転数および液面高 さに依存し、スロッシング周波数以上の回転周波数で攪拌翼を回すと発生す ることがわかった。

) 本実験においては回転数 1000rpm 以上になるとじょじょにスロッシングは 消滅し始め、変わりにボルテックスが発生し始め、液面高さが増加するにつ れて、スロッシングが発生する回転数範囲も狭まり、103mm 以上の液面高 さにおいては、スロッシングは発生しないことがわかった。

3) スロッシングの全振幅および周波数は軸の素材や攪拌翼回転数に依存せず、

一定の値をとることがわかった。

以上のことより、スロッシングの発生する状況下において、高回転になるほど スロッシング周波数と攪拌翼の回転周波数が大きく異なるため攪拌軸に負荷が かかり攪拌軸が折損する可能性があるといえる。

ドキュメント内 第2章 実験 (ページ 34-63)

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