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13.公益目的事業1   「精神保健医療福祉に関する調査研究及び資料収集」

ドキュメント内 211911_本文.pdf (ページ 47-57)

⑴ 精神医療についての政策提言(政策委員会)

<事業概要>

 現在政府においては、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(平成 22年6月29日閣議決定)を踏まえての検討が進行している。なかでも精神科医療に 関しては、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が、「退院・地域 移行の促進、社会的入院の解消」、「アウトリーチの充実」、「精神科救急医療体制」、「医 療計画に記載すべき疾病への追加」、「地域移行支援、地域定着支援」、「地域での生活を 支える精神科医療、地域の受け皿整備」についての方向性をまとめた(平成23年10 月13日公表)。さらに、保護者に対する責務規定について、原則として存置しないと の方向性をまとめ、「入院制度に関する検討」や「精神科医療現場における人員体制の 充実のための方策」についても、今後検討を続けるとした。

 これらの動きは、精神保健福祉法の理念に従って、入院、外来を問わず、それぞれの 地域において、精神科医療及び福祉を担ってきたわれわれ民間精神科医療機関にとっ て、きわめて重大な関心を寄せる事項ばかりである。こうした精神保健医療福祉の一大 変革期にあたって、われわれ日精協は、「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する基 本的方向」(平成22年2月25日)において、われわれの基本的考え方を提示している。

さらに平成23年度には、「将来ビジョン戦略会議」を立ち上げて、①急性期医療、② 回復期治療及び重症遷延者治療、③身体合併症医療、④認知症医療、⑤地域医療・ケア マネージメント、⑥精神保健福祉法及び総合福祉法(仮称)検討、⑦メンタルヘルス推進、

⑧生活施設検討、の各分野についての検討を重ねてきた。政策委員会においては、平成 24年度も引き続き、こうした基本的考えに立脚して、それぞれ現状の分析とそれに基 づく将来のわが国の精神保健医療及び福祉のあるべき姿についての政策提言作成のため の検討を行なった。

⑵ 精神障害者福祉の基盤整備・総合支援法に関する政策提言(政策委員会)

<事業概要>

 平成17年11月に成立した障害者自立支援法は、3障害一体の理念が掲げられ、他 の障害種別に比べ立ち遅れの目立った精神障害者福祉の進展が期待された。しかし、障 害程度区分の認定において、精神障害の障害特性が必ずしも正確に反映されないこと や、いわゆる応益負担のあり方等のマイナス面が指摘され、平成25年4月に新たに障害 者総合支援法として施行されることとなった。

 われわれ日精協においても従来よりの主張である、①「居住の場」と「生活の場」を 一体的に提供するサービス基盤の整備、②地域に多様な障害者福祉サービスを整備し、

選択は利用者の自己決定によること、③専門性を担保した相談支援事業およびケアマ ネージメントの確保、④地域生活を支えるための経済的基盤の保障、についての政策提 言を行なってきた。平成24年度も自由民主党障害者特別委員会等において生活訓練施設 の機能を拡充させ、継続的な地域生活の支援と集中的な生活能力向上訓練を行なう「地 域生活支援・訓練センター(仮称)」を創設することをはじめとする提言を行なった。

⑶ 医療計画策定についての政策提言(政策委員会)

<事業概要>

 われわれ日精協は、従来より精神医療を地域医療計画の中にしっかり位置づけ、行政 の責任としてその基盤整備に取り組むべきであるとの主張を行ってきた。今回、こうし た主張が実現するかたちで、精神疾患が地域医療計画に定める疾病として新たに追加さ れた。政策委員会では、都道府県においての地域医療計画策定について情報収集を行い、

各都道府県において精神疾患に対する適切な医療が行なわれるための体制づくりに関す る検討を行なった。

⑷ 精神保健福祉法上の入院制度に対する提言(政策委員会)

<事業概要>

新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R)および「保護者制度・

入院制度の検討」に係る作業チームの議論では、現行の医療保護入院の見直しについて、

「保護者の同意を要件としない入院制度」の導入を提言した。具体的には、①精神保健 指定医1名の診察による入院開始、②入院当初から早期の退院を目指した取り組み、③ 入院中の審査のあり方、を含む内容であった。政策委員会では、治療を受ける本人の権 利擁護はいうまでもなく、治療へのアクセスを保障する観点から、新たな入院治療のあ り方について検討を行い、厚生労働省担当部局と上記に関する問題点の協議を行なった。

⑸ 精神障害者福祉の増進に向けての検討と政策提言(政策委員会)

<事業概要>

 現在進行している障害者制度改革は、国連障害者権利条約批准を目標としており、そ のための国内法整備が必要とされている。政府では、これにともなって現行の障害者自 立支援法を廃止し、これに代わって「障害者総合支援法」を施行した。政策委員会とし て前述の「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する基本的方向」で示したように、地 域で安心・安定して生活するための精神障害者福祉基盤の整備に向けての政策提言に向 けた検討を行った。

⑹ 精神科病院における診療報酬に関する検討(医療経済委員会)

<事業概要>

 1.平成26年度診療報酬改定に向けた要望及びエビデンスの検討について  2.日医・内保連からの26年度改定に向けた要望書等の意見要請について

 3.24年度改定の疑問点・不合理点の整理と影響度(緊急レセプト)調査について  4.四病協・日病協との要望書の取りまとめについて

 5.精神療養病棟における指定医の常勤配置について

 6.診療報酬における診療録記載について(DC等、OT、訪問看護)

 7.通院・在宅精神療法について

 8.特定入院料の施設基準等の通則の解釈について  9.精神科デイ・ケア等について

 10.精神療養病棟入院料の重症者加算1の届出について  11 精神科版2次医療圏データベースについて

 12.入院料等に関する問題点(四病協)(日病協)

 13. 入院基本料及び特定入院料が標欠等により特別入院基本料に減額となる場合につ いて〈いわゆる「入院料等におけるドミノ倒し」〉(四病協)

 14. 精神科訪問看護療養費と精神科訪問看護・指導料との相違点について(四病協)

(日病協)

 15. 病床転換による長期入院患者の処遇改善のあり方について(グローバルメンタル ヘルスアクションプラン(WHO)関連)

 16. 入院基本料施設基準「病院単位」と「病棟単位」について  17. 精神科における身体合併症の治療の問題点について

 18. 厚生労働科学研究調査「精神科病院の機能分化に関する実態の分析と方法論の開 発に関する調査」(山内班)について

 19. 精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会(報告)

 20. 社員総会・役員会・支部長会ならびに支部・会員からの質問・要望の対応について  21. 日本精神科医学会学術大会診療報酬に関するシンポジウムについて

 22. 政策委員会との合同委員会及び 将来ビジョン の実現に向けた部会員の選出に ついて

 23. 情報委員会からの雑誌掲載のQ&Aの対応について

 24. 看護コメディカル委員会からの依頼「看護が知っておかなければならない看護配 置基準」の作成について

 精神疾患は、5疾病5事業に掲げられ、医療計画の中で数値目標を設け、計画的にそ の充実が図られることになった。これに相応する形で、今後の診療報酬は、充実する方

向が示されると考えられる。長期間続いた精神科医療費抑制も、それなりの説得力のあ るエビデンスが示されれば、風向きを変えられる局面を迎えていると思われる。また、

DPC算定病院では、精神科DPCが本格的に導入される方向性が固まり、ここで生み 出されるエビデンスは精神科医療全体に影響してくることが期待できる。今まで、現行 制度の維持を中心に活動を続けてきた当委員会であるが、日精協の将来ビジョンを受 け、新たな診療報酬体系に向けた提言を積極的に打ち出す時期に至ったと考える。国の 方針である退院促進、地域支援などに関わるチーム医療やクリニカルパスの活用はもち ろん、各医療機関の特性を活かした機能の評価、一般科を含めた地域医療機関連携の評 価、精神科救急体制の適正な評価、合併症への円滑な連携、急性期精神科医療の評価、

重症慢性期の適正な評価方法の確立と施設移行のための経営的に成り立つ長期的プラン の提言、認知症における精神科医療の適正な評価(特に長期入院の重症者の評価が下が る傾向への提言)、小規模多機能病院の評価、児童・思春期病棟のセンター化に関わる 民間病院の役割の整理などが課題と思われる。この機会を充実したものにするために も、24年度の診療報酬改定に関わる医業収支の変化はもちろん、精神療養のGAFの 問題を含め、実質的なエビデンスとなる数値の把握が必要であり、今まで以上に精密な 改定の影響調査を実施する。

 平成21年秋の政権交代から、さまざまな政策転換が起こり、精神科に関わる医療や 福祉の制度が根本的に見直される方向性が示されており、今後の見込みは不明瞭であ る。また、精神療養病棟の評価など、まだ十分なデータがないにもかかわらず、財源が ないという理由だけで切り込まれている現状がある。我々日精協会員病院は、今までの 四半世紀、長期入院の退院促進、地域支援などの病院としてなすべき役割はもちろん、

精神保健福祉法、障害者自立支援法や医療観察法発足および施行、介護保険から後期高 齢者医療制度、さらには自殺対策に至るまで、幅広い分野で国策に協力してきた。努力 をすれば報酬をつけると約束していながら、財源不足が原因であることは表わさず、「ま だまだ在院日数が長い、病床数が多い」などと諸外国との比較の論理だけで一方的に悪 い評価を行い、報酬を上げない国のやり方には苛立ちを感じる。そろそろ覚悟を固めて 相対するときが近いようにも思う。平成24年の医療保険と介護保険の同時改正に向け て、もっとも重要な時期になることを委員会として自覚してかからなければならないと 考えている。

 今後の方向として、①外来機能(デイケアや訪問系サービスいわゆるアウトリーチ)

の強化、②ダウンサイズしてもさまざまな機能を発揮できる多機能病棟の創設、③統合 失調症ばかりでなく、認知症専門外来、気分障害などのリワークなど新しい精神科専門 療法の評価の確立、④病棟転換型の施設運営の可能性など、医療政策委員会と協同して 経済的裏付けをしながら、精神科病院の将来像が描ける環境を目指していく。

ドキュメント内 211911_本文.pdf (ページ 47-57)