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全身の力学的仕事量の和と各関節における力学的仕事量

ドキュメント内 埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科 (ページ 37-43)

2.3 結果

2.3.3 全身の力学的仕事量の和と各関節における力学的仕事量

上記より、全身関節モーメントの時間積分値の和を発揮するための筋 活動についても、脳卒中患者の方が健常成人よりも大きい可能性がある。

図 5. (左)全身の関節モーメントピーク値の総和、(中央)動作時

間、(右)全身の関節モーメントの時間積分値の総和(*: p <

0.001)

図 6. 各関節における関節モーメントピーク値(*: p < 0.001、**: p

< 0.01)

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今回、筋活動に関連する力学的エネルギー消費量の指標として、力学的 仕事量を算出した。

全身の力学的仕事量の和について、脳卒中患者の方が健常成人よりも 大きかった(p < 0.001、図 7)。また、下肢各関節における力学的仕事 量について、脳卒中患者の麻痺側股関節が健常成人の股関節よりも大き

かった(p < 0.001、図 8)。他の関節について、脳卒中患者と健常成人

の間で有意差は無かった。

更に、下肢各関節における力学的仕事量について運動学的相ごとに検 証した結果、伸展相の股関節について、慢性期脳卒中患者の麻痺側の方 が健常成人よりも大きかった(p < 0.001、図 9)。一方、伸展相の膝関 節について、脳卒中患者の麻痺側の方が健常成人よりも小さい傾向にあ

った(p = 0.01、図 9)。つまり、股関節と膝関節では対照的な結果とな

った。離殿では下肢全関節について、脳卒中患者と健常成人の間に有意 差は無かった。

図 7. 全身の力学的仕事量の総和(*: p < 0.001)

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図 8. 下肢各関節の力学的仕事量(*: p < 0.001)

図 9. 各運動学的相における(左)股関節と(右)膝関節の力学的

仕事量

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2.3.4 離 殿ま で の 力学 的 仕 事 量と 胸 郭 から 骨 盤 へ の力 学 的 エネ ル ギ ー 伝達量

下肢各関節モーメントは離殿時にピークを迎えるが、上記した通りこ の時の股関節モーメントは慢性期脳卒中患者の麻痺側の方が健常成人よ りも大きかった。一方、下肢各関節における力学的仕事量について、離 殿までは慢性期脳卒中患者と健常成人で有意差は無かった。この関係性 について詳細に検討した。

まず、離殿時の股関節におけるパワーは負の値であった(図 10)。つ まり、股関節モーメントと股関節角速度が逆向きとなった((4)式)。具 体的な向きについて、股関節モーメントは伸展向きであり、股関節角速 度は屈曲向きであった(図 4 も参照のこと)。また、股関節を構成する 体節は骨盤と大腿であるが、離殿まではほとんどが骨盤の前傾運動であ った(図 11)。すなわち、股関節伸展モーメントに拮抗する骨盤前傾運 動を行うために骨盤から力学的エネルギーが供給されていた。

骨盤へ力学的エネルギーを供給するのは、より頭側に存在する胸郭と 見なした(2.2.4.5 項「胸郭から骨盤への力学的エネルギー伝達効率」)。

腰関節における力学的エネルギー伝達効率について検証した結果、慢性 期脳卒中患者と健常成人ともに高い値であった(それぞれ 0.99、0.98、 図 12)。つまり、慢性期脳卒中患者も健常成人同様に胸郭から骨盤へ効 率よく力学的エネルギーが伝達していた。離殿までにおける骨盤の力学 的仕事量(力学的エネルギー伝達量)を検証した結果、慢性期脳卒中患 者の方が健常成人よりも大きかった(p < 0.01、図 13)。詳細に運動障 害の重症度との関連性を探索するためにサブグループを作成し検証した 結 果 、 重 症 慢 性 期 脳 卒 中 患 者 の 方 が 健 常 成 人 よ り も 大 き か っ た (p <

0.001、図 14)。

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なお、慢性期脳卒中患者と健常成人の間で、離殿までの下肢関節角変 位量に有意差は無かった。しかし、離殿までの胸郭角変位量は慢性期脳 卒中患者の方が健常成人よりも大きかった(p < 0.001、図 11)。

図 10. 離殿までの股関節パワー時間曲線と負の値になる下面積

図 11. 離殿までの各関節・体節の角変位量(*: p < 0.001)

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図 12. (左)健常成人と(右)慢性期脳卒中患者の胸郭-骨盤パワ

ー時間曲線(代表例)、縦破線は離殿時点

図 13. 離殿までの骨盤の力学的仕事量(*: p < 0.01)

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