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第2章 長期的に賑わいを維持してきた観光地の取組

第3節 自然環境を主たる観光資源とする地域の取組事例【富良野】

2 富良野でとられた具体的施策

(1)富良野の観光資源に特に関心の高い層をターゲットとして、それぞれのニーズを踏まえた取組を実 施

富良野では、1994年(平成6年)に富良野市・美瑛町・上富良野町・中富良野町・南富良野町・占冠村 の6市町村により富良野美瑛広域観光推進協議会を設立し、誘客、滞在の拡大に取り組んできている。直 近の2013年(平成25年)~2017年(平成29年)では、富良野・美瑛観光圏整備計画のもと、「富良野・

美瑛 田園休暇 アジアで最も豊かで美しい四季彩の大地へ」をコンセプトとした取組を進めている。

富良野・美瑛 観光圏整備計画は、富良野美瑛広域観光推進協議会を主体とし、地方公共団体の事務局は 富良野市商工観光室、民間は富良野美瑛広域観光協会連絡会とし、その中での全体総括は一般社団法人ふ らの観光協会が担っている。

ターゲットを「地域住民」「道内」「道外」「海外」に区分し、「海外」については、台湾・香港を中心に、

東南アジアも含めた 30~50 歳のリピーター、オーストラリアは家族層でスキー客を中心とするなど、そ のターゲットを更に明確にした。

このようなターゲット区分の下で訪日外国人の受入環境整備として、観光協会や行政に英語や中国語が できる人を増やすことによる民間へのサポートの強化、FIT 化の進展が著しいアジア圏を中心とした現地 PRが行われている。夏は、花観光と日本での特別な体験、冬は冬の体験アクティビティの PRである。

取組内容はターゲットとする国ごとに異なっており、オーストラリアは冬のオール北海道広域連携、香 港・台湾はメディアを使った広告宣伝(ドライブ情報)、韓国はフィルムコミッションなど映像(映画・ド ラマ)誘致による PR、シンガポール・マレーシア・タイは情報収集によるマーケティング・情報発信、中 国は都市別に戦略を変えたマーケティングとなっている。

富良野市では、まずアジア圏への情報発信を行ったことで、特に台湾での人気が高まった。次に、冬での 0

10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000

0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000

新千歳空港国際線乗降客数 富良野市訪日宿泊者数

(人) (人)

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旅行者数を増加する目的とゴールデンルートから旅行客を呼ぶという目的が一致し、京都市と富良野市の 連携事業が始まったことによって、オーストラリアや欧米の訪日外国人旅行者数が増加した。

さらに、オーストラリアをはじめ訪日外国人旅行者に人気がでたニセコから口コミによりスキー客が流 れてきたことにより、訪日外国人旅行者が増加し、PR活動も積極的に行うようになった。また、台湾につ いては、一時「北の国から」が放映されたことがきっかけで訪日外国人旅行者が増えており、このような動 きをとらえて速やかにPR活動につなげていくことが重要と考えられる。

(2)二次交通の改善に向けた取組

富良野では中心部とスキー場などの観光資源を結ぶ二次交通の充実が課題であり、行政として取り組ん でいる。予算制約の中、現在はハイシーズンを対象に、夏にはくるるバス、冬にはイブニングシャトルバス を運行し、スキー場から中心街へ公共交通サービスを提供している。今後はインバウンド対応として、バ スの英語表示やバスのナンバリング等を予定している。

3 施策による効果

(1)観光入込客数に占める外国人客比率は上昇、地方税収も増加傾向

富良野を訪問する観光入込客における外国人比率は2006年には3%であったが、2015年には15%へ と上昇した。また、同地域への宿泊者数は2004年以降は長期的な増加傾向にあり、富良野市の税収につ いても2006年以降は増加傾向にある(図表Ⅱ-52)。

図表Ⅱ-52 富良野市の地方税収の推移

80 85 90 95 100 105 110 115

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

富良野市

地方税収

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図表Ⅱ- 53 富良野市および立山・黒部の訪日外国人旅行者比率

資料:北海道観光入込客数調査報告書、立山黒部貫光株式会社営業状況 注:富良野訪日外国人比率は、宿泊者数に対する富良野市訪日宿泊者数の比率

立山黒部訪日外国人比率は、立山黒部アルペンルート観光入込客数に対する外国人観光客数の比率

4 他地域との比較

(1)【立山・黒部】早期より台湾向けプロモーション活動を実施。ターゲットを拡大することで賑わいを 維持

富良野と同様、自然をコア資源とした立山・黒部においては、近年、観光入込客数は横ばいを維持してい る。こうした状況の中、訪日外国人旅行者数は徐々に増加しており(図表Ⅱ- 54)、前述したように、全体 の観光入込客数に占める訪日外国人旅行者の比率は、現在は20%を越えている(図表Ⅱ- 53)。

立山・黒部では、1988年(昭和64年)より、立山黒部アルペンルートのケーブルカー、ロープウェイ、

トロリーバス及びバスを運行している立山黒部観光株式会社が、富山県とともに台湾での台北国際旅行博

(ITF)に出展する等、国内の訪日外国人旅行者が急増する以前から、訪日外国人旅行者向けの展開を強化 してきた。また、2005年(平成18年)からは、ビジットジャパン地方連携事業の一環で、旅行会社・メ ディア等を招聘して主要観光地視察や商談会を実施するとともに、台北市、高雄市において、繁華街の大 型ビル壁面広告、路線バス車体広告、新聞広告を展開してきた。当初はほとんどが台湾からの旅行者であ ったが、東南アジアなど市場開拓を続けているエリアにターゲットを拡大することで賑わいを維持してき た。

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図表Ⅱ- 54 立山・黒部観光入込客数・訪日外国人旅行者数の推移

資料:立山黒部観光株式会社営業状況

(2)【ニセコ】外国人の投資を活用することで賑わいを拡大

自然を活かしたニセコでは、従来冬のスキーがメインだったが、外国人材、資金の活用により、アウトド ア(ラフティング、カヤック、自転車、登山、トレッキング)等の通年型リゾートへの転換を図り、賑わい を拡大した。具体的には、アウトドアについては、1995年(平成7年)頃からオーストラリア人起業家が 開始したラフティング事業が軌道に乗り、数万人規模のマーケットが生まれた。その後、オーストラリア からのスキー客をニセコに招致する旅行業者が出現、長期滞在向けの宿泊施設(コンドミニアム)の建設・

販売・賃貸が展開されている。その結果、1999年(平成11年)には夏季(5~11月)の入込客が冬季(12

~4月)を上回った。さらに2014年(平成26年)以降は、パウダースノーをはじめとするスノーリゾー トの魅力が再び注目を浴び、冬季の観光入込客が再度増加し(図表Ⅱ- 55)

55)、通年で観光客が増加している。延べ宿泊者数でみると、近年では2006年(平成18年)の24,313人

から2015年(平成27年)は177,012人と7.3倍に拡大している(図表Ⅱ- 56)。国・地域別にみると、台

湾、香港、中国のほか、韓国、オーストラリアの増加が多い(図表Ⅱ- 57)。 0

200 400 600 800 1000 1200

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

立山黒部アルペンルート観光入込客数(千人)

立山黒部アルペンルート観光入込客数

(単位:千人)

外国人観光客数(単位:千人)

(千人)

98 図表Ⅱ- 55 ニセコ 季節別の観光入込客数の推移

資料:ニセコ町商工観光課

1:継続的な海外へのプロモーションにより、ニセコエリアのスノーリゾートとしての認知度が上がり、ビザの緩和や円

安に後押しされた訪日外国人旅行者が大きく増加(ニセコ町商工観光課より)

図表Ⅱ- 56 ニセコ町 訪日外国人延べ宿泊者数の推移

資料:ニセコ町商工観光課 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015

夏(511月)

冬(124月)

1999年度 夏と冬の入り込み 数が逆転 スキー場中心

2014年以降、パウダー スノーをはじめとするス ノーリゾートの魅力が再 び注目を浴びる ※1

東日本大震災

(万人)

24,313

39,786

31,609 42,052

61,689 54,692

88,298

108,239

148,335

177,012

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000

2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年

(人)

99

図表Ⅱ- 57 ニセコ町 国・地域別 訪日外国人延べ宿泊者数の推移

資料:ニセコ町商工観光課

(3)【観光地C】主たる観光資源に大きく依存してきたため、多様化・個性化する観光ニーズへの対応に 遅れ

他方、ニセコと同様に、スキーリゾートとして賑わった観光地Cの観光入込客数は減少しており、観光 地として厳しい状況が続いている(図表Ⅱ- 58)。スキー場と温泉といった集客力の高いコア資源に大きく 依存してきたため、団体旅行の減少やニーズの変化への対応が遅れたことが要因の一つであると考えられ る。旅館・ホテルでは利用者のニーズに合わせ、4~5人収容の大部屋から2~3人向けの個室への改修 を行う施設もあるが、全体的には新たな投資がなされず、老朽化対策も課題となっている。後継者不足も 少なからず顕在化しており、廃業・倒産に追い込まれるケースもある。近年は、ニセコと同様、夏季のアウ トドアのアクティビティを充実させることで8月の観光入込客は増加しているが、冬季の減少をカバーで きていない(図表Ⅱ- 59)。

一方、最近では、地元の観光関連会社等が共同でファンドを設立し、イベントの企画・運営・発信事業や 遊休不動産のリノベーション等を実施することにより、観光地Cへの集客を拡大し、同地域の活性化への 取組が進められており、今後の成果が期待される。

図表Ⅱ- 58 観光入込客数の推移(基準年=1)

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

基準年に対する比率

5,0000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000(人)

2007年 2015年