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第3節1.で述べたとおり,「検討の進め方」の手順4に沿って行われたニーズの分類 上「A-1-2」に分類されたもの及び「A-2」に分類されたもの106のうち今回の優先 的に検討を行うべきニーズには位置付けられなかったものとしては,以下のものがある。

(括弧内の番号等は付属資料1(1)(137ページ以下)に掲げた「ニーズ募集に提出 された課題の整理」に対応している。)

<A-1-2に分類されたもの>

・図書館における公的機関が作成した広報資料の複製(88)

・図書館におけるインターネット上の情報のプリントアウト(89)

・商品の批評や販売目的の写真(書影,ジャケット等)のウェブサイト掲載(95⑦)

<A-2に分類されたもの>

・パロディ・二次創作としての著作物利用(12,57①,96①,97,108⑤,

113③)

・教科書・入試問題の二次利用(14,22①)

・障害者の情報アクセシビリティ向上のためのサービス(67,73)

・メディア変換サービス(78,95①)

・企業等で一般的に行われている軽微な複製等(108②)

上記のニーズについては,今般の優先的に検討を行った課題に係る対応を行った後,第 2節で述べた手順4による分類及び優先度を考慮しつつ,順次検討を行うことが適当であ る。また,上記のほか,「A-3」に分類されたニーズについても「検討の進め方」で確 認したとおり,ニーズ提出者からの追加的な説明が寄せられた場合は,当該説明の内容や 時期を考慮しつつ,対応を検討することが適当である。なお,優先的に検討することとさ れたニーズ以外のニーズの検討に関し,WTにおいて,以下の意見が示されたところであ り,今後の検討に当たってはこれらの意見にも留意するべきである。

・「教科書・入試問題の二次利用」は,課題が解決できれば,アナログ的な利用だけで なく,デジタル・ネットワークを通じた利用,新規ビジネスの創出という結果をもた らす道筋を開く可能性は十分にある。

・「パロディ・二次創作としての著作物利用」は,直ちに産業につながる話ではないが,

将来の文化の育成,ひいては生み出されたコンテンツが産業の核となるという観点か ら,順次検討していくべき。

106 ①ニーズの明確性,②権利制限による対応の正当化根拠の見通し,③優先度の三つの観点について,A-1-2は,

観点①・②についていずれも相当程度説明されているが,観点③が肯定されないものを言い,A-2は,観点①・② についていずれも一定程度説明されているものを言う。

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・「メディア変換サービス」は,これが一律にできないのではないかということはかね てから問題点として指摘されており,複数の団体から要望があることから,必要性が 高いものの候補になり得る。

・「図書館等における複製等」は,本の中の挿絵全部を複製する行為が「一部分」に当 たらず著作権侵害になりかねないとの問題が指摘されている107。また,個人への送信 については,諸外国の例を見ても補償金付きで認める方が社会にとっても権利者にと っても良いのではないか。

・「放送番組のインターネットでの同時配信」は,日本の著作権法においてインターネ ット放送が「放送」に当たらないものと位置付けた結果,実演家やレコード製作者の 排他権が及ぶこととなっており,諸外国と比べて放送のサイマルキャスティングが進 んでいない原因の一つではないかとも言われている。

また,ニーズ募集においては,権利制限規定の見直し及びライセンシング体制の充実以 外の方法による解決を求めるニーズも寄せられている。これらのニーズについても,「検 討の進め方」に基づき,ニーズの内容や課題の優先度を踏まえ,必要に応じ検討を行って いくことが適当である。

107 意見募集に応じて提出された意見において,少なくとも,主たる言語の著作物を複製する際に従たる挿絵等が写り込 む場合については,「複写物の映り込みに関するガイドライン」(平成18年 社団法人日本図書館協会,国公私立大 学図書館協力委員会,全国公共図書館協議会)及び「「複製物の写り込みに関するガイドライン」に関するQ&A」

では遮蔽等が必要ないものとされており,これらのガイドライン及びQ&Aは権利者側と内容確認の上で作成したも のであるとの指摘があった。

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おわりに

以上のとおり,本分科会としては,企業等や個人が有する現在又は将来のニーズを把握 し,そして,我が国の統治機構を含む法体系,社会環境及び国民の訴訟に対する意識等を 踏まえ,その効果と影響を吟味した結果,異なる明確性と柔軟性を備えた複数の権利制限 規定による「多層的」な体系を構築することをもって,第4次産業革命の推進に資する日 本型の「柔軟性のある権利制限規定」とすることを提言した。

米国のフェア・ユース規定に代表される柔軟性の高い権利制限規定の導入を巡っては,

これまで,我が国に及ぶメリットとデメリットについて関係者間で大きな見解の相違がみ られてきたが,本分科会では,こうした見解においてしばしば言及される「公正利用の促 進効果」,「不公正利用の助長効果」,「立法と司法の役割や特質」といった観点につい て,一定の示唆となる検討結果を示すことができたのではないかと考える。このため,本 分科会としては,現在の日本をとりまく諸状況を前提とすれば,差し当たり,本問題に対 処する上での最適解と言える方策を提言することができたものと考えている。

今後重要となるのは,提言が適切に実行されることである。文化庁においては,提言の 趣旨及び内容を十分に汲み取った上で法制化がなされるよう,関係者との調整を含め格別 の努力が払われることを期待したい。

また,本分科会の検討において確認された重要な点は,我が国の国民の多くが高い法令 順守意識を有している一方,著作権法に対する理解については十分な水準にあるとは言え ないことである。法改正の効果が最大限発揮されるようにするためにも,著作権法に関す る普及啓発や,必要に応じたガイドラインの策定の支援等を含め,法の適切な運用を確保 するための諸方策を講じていくことが期待される。

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