日常生活自立支援事業等を 通しての意思決定支援への 関わり
社会福祉法人 福井市社会福祉協議会 地域福祉課 課長 小 柏 博 英
(社会福祉士)
2018年10月27日 福井市医師会 福井市の地域包括ケアを考える
〜地域で取り組むアドバンスケアプランニング〜
社会福祉協議会(社協)の紹介
• 目的 (社会福祉法第109条)
住民と関係者が連携して地域福祉を推進
ちいさなことから 一歩ずつ 近所の人と始めよう ふだんの くらしの しあわせ
• 事業
「地域づくり」「個別支援」に大別
• 役割
見守り、見守りにつながる事業、情報伝達、
人材育成、普及・啓発
社協の事業・活動は
ACPにどう関われるか
• 「地域づくり」としての関わり
ACPの普及・啓発
• 「個別支援」としての関わり
日常生活自立支援事業等の
「権利擁護」の中での意思決定
日常生活自立支援事業 (日自) とは
• 概要
認知症の高齢者や知的・精神に障がい がある方など、判断能力が不十分な方の 自宅や入所中の施設・病院等を訪問し、
福祉サービスの利用手続きや、生活費の 払い戻し・支払いなど、日常の金銭管理を 支援する事業
(→成年後見制度の一つ手前の事業)
※福井市社協では約120人と契約中
(認知症4割、知的2割、精神4割)
※「福祉サービスの利用や金銭管理の支援について、
第三者(≒社協)に委ねるという判断」ができる方が
ひとつのめやす
利用者の特徴
本人に判断能力が乏しかったり、
判断能力が低下したりという状況に加え、
親族関係の不調・地域から
孤立などの状態
生活が不安定で危機的な状況
・福祉サービスを十分に活用できない
・身の回りのことや金銭管理ができない
・権利侵害にあいやすい
日自での支援の流れ①
• 相談の受付 (専門員が対応)
「収支状況の確認」
※大半は医療、福祉、行政関係者からの相談
• アセスメント (専門員が対応)
「ガイドライン」に基づいたインタビュー
「今後の生活希望」
「能力低下後の生活」
※「能力低下後の生活」の傾向 多くは、福祉施設での暮らしを希望
40歳代以下は、「考えていない」という回答も
日自での支援の流れ②
• 支援計画の作成→県社協との協議
→契約締結→利用開始へ
※所定の手続き、諸課題の整理のほか、
意思の継続の担保のためのアセスメントに 時間をかけている
• 契約後は、主に「生活支援員」が支援
している (難しいケースは「専門員」が支援)
支援で気をつけていること
• 前提は、「本人意思に基づく支援」
• この事業で「できること」「できない」ことを 平時から利用者および関係者に説明
できること …… 本人の意思に基づく医療費等 の支払い、支えきれなくなった 場合の成年後見への移行等 できないこと……契約行為、医療同意等
(代理権はない)
• 意思疎通が図れなくなった時の備え
契約締結までの面談で説明
本人の意思表示能力が低下した際には、
成年後見制度へと適切に移行できるよう支援
身寄りのない方や
意思表示の難しい方への対応
• 身寄りのない方
預かり物の返還がしばしば課題に
ケアマネ等の関係者や、関わっていれば行政に 親族の照会をかけている
終末期で本人、親族共に意思確認できない際は、
ケース・バイ・ケースで対応
• 意思表示の難しい方
「判断能力の低下で表示できない」
本事業の利用は難しい
「失語症等で表示できない」
本人の意思を引き出す支援(特に契約前の
面談で)
支援とACP その課題
• 本人の急変等
急変等で、意思確認や自書ができない場合、
通帳・印鑑を社協が持っていても、実質的な支 援が不可能なケースもある
• 成年後見制度に移行する際
生活困窮や親族の不和などでケースが難しい場 合が多く、候補者の選任まで時間がかかることが多 い
• 医師等との連携
すでに第三者が支援しているにも関わらず成年後
見制度への移行を進めている場合、支援が限界に
きているケースがほとんど →ぜひ協力を!
社会福祉法人 足羽福祉会 特別養護老人ホーム 足羽利生苑 藤田有美
介護施設における
意思決定支援の取り組みと問題点
足羽利生苑の概要と特徴
平成3年4月 認知症高齢者専用施設として開設
定員77名(男性:15名、女性62名)
H29年度末時点
平均年齢 85.25歳
平均要介護度 3.9
認知症の診断がある利用者 71名
認知症自立度Ⅲa以上 (意思疎通困難) 58名
サービス担当者会議本人出席 10名
成年後見人又は保佐人がついている利用者 15名
看取りにむけての
意思決定支援の取り組み
「急変時や終末期に関する意思確認書」
H29年度看取りケアを行なった数 17/19名
(H20年度20% →H25年度50% → H29年度89% )
質問項目 H29年度回答数
1 最期を迎えたい場所 当苑:44 自宅:3 病院:7 わからない:15
2 医療はどのような形を望むか 嘱託医:59 受診・入院:2 3 食事を口から食べられなくなった時の対応 自然:21 点滴:18
経管栄養:4 その時相談:14 4 急変時の救急搬送の同意(看取り期前)
5 その他
事例1 〜本人の意思を尊重。家族不在の看取り〜
施設入所 83歳男性 要介護3 認知症あり 被成年後見人
H28.2月 急性心筋梗塞 心臓カテーテル手術。
※本人の意思確認できず。成年後見人は医療同意権なし。福井市 地域包括ケア推進課に相談、施設長判断にて手術。
6月 看護師・生活相談員にて「意思確認書」聞き取り。
本人:経管栄養は望まない、苑で最期をむかえてもいい、積 極的な入院治療は望まない旨の意思あり。
成年後見人と「意思確認書」を情報共有。
念の為、後見人から、絶縁状態の家族に連絡を取ってもらい、今後の 方針については「お任せします。」との返答を得る。
胸の辛さ、食欲低下継続するも、食堂に出てテレビを見たり、食べたいも のだけを食べ、嘱託医からの屯用の内服や座薬を使用しながら苑にて生活。
H29.8月 当苑にて職員に見守られながら永眠。
事例2 〜在宅サービスを利用しながらゆるやかな看取り〜
ショートステイ 97歳女性 要介護5 認知症あり
H24〜 胃ろう造設。デイ、ショート、訪問看護を利用しながら在宅生活。
H28.5月 サービス担当者会議。終末期をどう迎えるかの視点。
施設看護師も参加。
家族「胃ろう造設はDr.の指示もあったが、本人の意思もまだ あった。今は言葉も体の動きもほぼない。このままいて幸せなの か?とも思うので、今日の話し合いは納得している。」
胃ろうからの漏れもあり、1日3食を2食に変更。覚醒時は本人の意思確 認をしてゼリー程度の経口摂取実施。家族も、積極的受診ではなく自然 な形のままで、主治医対応を希望。
発熱、尿路感染症、痰の吸引等、観察を続けながら生活。
ショート利用中に、高熱やバイタルサイン低下で救急搬送を迷うことが あったが、その都度ご家族は主治医対応を希望。急病時として主治医の 往診を2度受けたことがあった。
H29.10.月 ショートステイ利用中に永眠。
まとめと今後の課題
【良い点】
「意思確認書」があることで、医療や看取りに対する意 思が定期的に確認でき、後悔のない最期を迎えられる方 が増えている。
嘱託医や看護職との連絡体制が整い、介護職員の看取り に対する不安も減ってきている。
【課題】
本人の意思が反映されにくく、家族の意思に頼らざるを 得ない。
入所前の意思確認について関係機関と情報共有する意識
を持つこと。
行政のACPに関する 取組について
平成30年10月27日(土)
福井市役所 地域包括ケア推進課
なぜ、今「ACP」なのか?
ドキュメント内
福井市の地域包括ケアを考える〜地域で取り組むアドバンスケアプランニング(ACP)の実現に向けて〜
(ページ 86-106)