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価値共破壊

ドキュメント内 顧客行為の心的要因分析モデル (ページ 38-41)

第2章 本研究の位置づけ

2.5 価値共破壊

2.5.1 価値共破壊とは

価値共創は常にポジティブに作用するばかりでなく,時に「価値共破壊」と呼ばれる ネガティブな影響を引き起こすことが指摘されており,その理論的な解明を試みる研究 が進められている.

Plé は,価値共破壊を以下のように定義する [Plé 2010].

「少なくとも 1 つのシステムのウェルビーイング(幸福度)の低下をもたらす,サ ービスシステム(個人/組織)間の相互作用プロセス」である.また,ここでの相互作 用とは,サービスシステムによるリソースの統合および適用を通して起こり,直接的

(人から人へ)または間接的(商品などの装置を通して)なものがある.そして,価 値共破壊を引き起こす要因については,以下のように述べている [Plé 2010].

価値共破壊は,片方または双方のサービスシステムによる誤った資源投入によって起 こる.ここでの誤った資源投入とは,不適切あるいは期待外れの方法による資源投入な どが引き合いに出される.

このように Plé は,価値共破壊が起こる要因は,サービスシステム(個人/組織)によ る誤った資源投入にあるということを述べている.

2.5.2 価値共破壊の要因分類: 時系列的分類

Järvi らは,価値共創に関わる提供者と受給者の対話(直接的相互作用)のプロセスで 生じる価値共創の失敗を分析し,その原因を既存研究における価値共創の失敗要因を調 査し,「顧客の不作法」,「提供者への不信感」,「対話に対する明確な期待の欠如」,「対話 する上で顧客が有すべき情報の欠如」の 4 つにまとめた [Järvi 2018].

彼らは以上の結果を踏まえ,既存研究でなされている失敗要因の分析が,顧客側の失敗 のみに焦点を当てていると指摘し,失敗が生じた提供者側の要因までを示すことの必要 性を主張した.また,それら失敗要因を活かして次なる価値共創を導くために失敗要因 が表れる時系列的関係を明確化することの必要性を論じた(3).さらにこれらを達成する ために,フィンランドを中心に活動する 7 つの組織に対してインタビュー調査を行い,

失敗要因を追加し,相互作用の前,最中,後という時間軸で整理した.追加された失敗

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要因は,「ミス」,「変更できない」,「奉仕できない」,「批判」の4つであり,先行研究で 明らかにされていた要因と共に計 8 つの失敗要因を時系列的に整理した(Figure 2-7).

Figure 2-7 価値共破壊の要因の時系列モデル [Järvi 2018]

2.5.3 価値共破壊の要因分類: 顧客視点

2.3.1 項で述べた価値共破壊について,要因の分類を試みる研究が進められている.

例えば,Lintula らは,サービスシステムにおける価値共破壊のプロセスを,Figure 2-8 に示すモデルのように整理している [Lintula 2017].このモデルは,体系的な文献調査 の結果に基づいて構成されており,価値共破壊の要因を「方針」・「資源」・「知覚」と いう 3 つの次元によって説明している.「方針」に分類される要因としては,システム 間での目標・方針の違いが挙げられる.「資源」に分類される要因としては,資源の誤 用や資源の不足・損失が挙げられる.「知覚」に分類される要因としては,実際の行動 の不釣り合い・知覚価値の不足・価値の矛盾が挙げられる.

Figure 2-8 サービスシステムにおける価値共破壊プロセス フレームワーク [Lintula 2017]

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