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作り手によって考察された結果を「ものづくり」へ結びつけ るための可能性

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 37-40)

 「ものづくり」の各場面で主体となる作り手の立場の人々が、ワー クショップにおいて、評価のズレについて考察することは、作り手 にとって、客観的な自己反省の機会を与え、作り手や作り手以外の 2者のデザインに対する評価傾向を認識できる機会を与えることか ら、その後の参加者のデザイン活動における考え方に影響を与える 可能性があることを導きだすことができた。しかし、これらのワー クショップでは、評価対象のデザインに携わっていないデザイナー を中心とした人々を参加者としたため、ズレ要因の考察から、ズレ の要因を活かしたデザイン提案(具体策)に結びつけることができ なかった。本研究の目的は評価調査、評価調査の作り手による考察、

作り手による考察をもとにした具体策の立案を行うことが可能かと いうことを検証し、この調査、作り手の考察、具体策の立案という サイクルを、デザイン評価システムとして構築することである。具 体的な製品開発の場面で、本システムを活用するためには、考察か ら具体策の立案に結びつくかどうかが重要だといえる。

 したがって、作り手である参加者の考察が、具体策の立案に結び つく可能性があるかどうかについて、筆者なりに、ワークショップ

5.7.1 作り手の考察結果をもとにした検討

 グッドデザイン賞受賞作品の調査結果を課題としたワークショッ プの中から、液晶テレビ “ アクオス ” の結果をとり上げる。本対象 におけるワークショップでの考察結果をもとに、本対象の後継器を デザインするといった想定で、新製品の方針を検討するシミュレー ションを行う。

 液晶テレビ “ アクオス ” において、出された考察は、表 5-1(p.106 参照)のとおりである。これらの結果から、現在のイメージ戦略な どについては、受け手からは、比較的良い評価を得ていることがう かがえる。イメージ戦略は、強い影響力があるために、今後も継続 すべきであるといえる。現在は、評価の対象となった製品単体およ び “ アクオス ” ブランドのイメージは確立しているものの、この “ ア クオス ” に寄せられるイメージとメーカー企業に寄せられるイメー ジが、一致しているかどうかについては不明である。具体的には、“ア クオス ” に対し「品質がよい」といった印象を持っている人が、企 業名に対しても、同様の印象を持つかどうかということである。こ れらの整合を結び付けていくことで、より強固な信頼とイメージの 向上を図れる可能性があるといえる。また、製品の情報については、

利用者にとって必須となる情報を整理し、わかりやすく簡単な製品 情報の提示方法について検討しなければならない。丸い造形の印象 からか、ユニバーサルデザインとして解釈されている傾向があるが、

製品の造形や仕上げについては、使用シーンをリアルに想定し、そ れぞれのシーンに対応できる造形の根拠を持たせることが、製品の 差別化につながり、モデルチェンジの際の説得材料、または販売の 際の顧客へのPRにも利用できるといえる。

 以上のことから、本格的なモデルチェンジを行う以前に、既に販 売されている製品の存在を、マイナーモデルチェンジとイメージ戦 略の充実の両立により、他の同類製品と異なることを明確に示せる 製品にしていくことが、重要だと考えられる。本評価の対象と評価 対象のデザインに携わっていないデザイナーを中心とした人々から 導き出した考察によって、上述のようなデザイン戦略上の方針を考

えることができた。

 次に、大川家具ブランド「SAJICA」を対象とした調査結 果を課題としたワークショップの考察結果から、KY 13 を取り上 げる。液晶テレビ “ アクオス ” と同様に、KY 13 の結果を踏まえ、

KY 13 のリデザインを行うことを想定しシミュレーションを行う。

 KY 13 について行われた考察は、表 5-2(p.111 参照)のとお りである。結果では、送り手から特徴的な造形で、使用者を選びそ うな、嗜好性の分かれる製品であると判断されている。しかしなが ら、受け手の反応は、比較的よいといえ、ワークショップの考察で は、送り手の見込み違いが指摘されている。このことから、この調 査結果は、作り手がデザイン方針を他者に説明するための手段とし て活用することが可能だといえる。送り手の思い込みを客観的に指 摘し、嗜好性が分かれそうな製品に対しての消極的な意見を排除す ることができる。またそのほかの考察から、生活の中のどういった シーンで使用するかを具体的に想定し、それに則した売り方を行う など、顧客に対する製品の認知のさせ方として、生活提案型のイメー ジ戦略を検討する必要があるといえる。したがって、本製品の場合 は、製品自体をリデザインするよりも、現状の製品の特徴的な部分 を明確にし、本製品を含むシリーズ家具を構築し、一貫性のあるス タイルを打ち出すことが、重要だと考えられる。

 以上の2製品のために考えた方針は、以下のようにまとめること ができる。

液晶テレビ “ アクオス ”

マイナーモデルチェンジとイメージ戦略の両立により、他の同類製 品との差別化を明確にする。

アクオスにおける良いイメージと企業のイメージを結びつける KY 13

生活の中での使用が想定しやすいように、同一シリーズの家具を充 実させ、生活提案型のイメージ戦略を考える

 調査結果に関する作り手の考察から、それぞれの製品のデザイン

できた。シミュレーションでは、デザイン評価指標を用いた評価調 査の結果について、作り手が考えた評価のズレの要因をもとに、具 体的なデザイン方針について検討を行った。作り手によって考えら れた事項を整理することで、おのずとその方針を明確にすることが でき、作り手によって導き出された考察は、具体策を導くきっかけ になったといえる。

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 37-40)

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