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大野貴史・宮川和之・保川幸稔・西川智彦・溝渕雅之*・青野  寛**

高知医療センター  医療技術局  特殊画像撮影科 医療局脳神経外科* 医療局ペインクリニック科**

Ⅰ.目的        近年,マスコミなどでも取り上げられて いる低髄圧症候群であるが,先頃厚生労働 省が交通外傷と低髄圧症候群との因果関係 を研究する予算を組むなどニュースになり 一般に知られるようになってきた.

  高知医療センターでも低髄圧症候群疑い の患者に対して脳槽シンチグラフィをおこ なっている.

  今回われわれは,髄液漏出の判定に脳槽 シンチグラフィが有用であったかどうかを 画像および血中インジウムカウント測定を 用いて検討した.

Ⅱ.対象・方法         2005年 4月〜2006 年3 月の間に,低髄 圧症候群疑いにて高知医療センターにおい て脳槽シンチグラフィと静脈血中インジウ ムカウント測定を施行した 35 例(男性 13 例,女性 22 例,年齢 24〜77 歳)を対象と した.

  検 査 方 法 は ,111In- diethylenetriamine pentaacetic acid (111In-DTPA) 37MBq を 腰椎穿刺で髄液腔に注入し,注入後1・3・ 6・24 時間後に whole  body 撮影(頭頂か ら膀胱まで)をおこなった.また,各撮影時

に加え注入2時間後の計5回静脈血を採取 し,インジウムカウントを測定した.患者 に対してはインジウム注入3時間後の撮影 終了までは臥位にて安静、排尿も我慢して 頂いた.

装置は,低中エネルギーコリメータを装 着した東芝社製 E-CAM,シンチレーショ ン カ ウ ン タ ー は ア ロ カ 社 製 Gamma  Meter  W2  DCM-200 を用いた.撮像条 件は,マトリックスサイズ 256×1024,ス キャン速度 8cm/min,インジウムカウント 測定は,採血した静脈血 1ml 中のカウント /min を算出した.

  画像判定の基準は,いずれかの撮像で明 らかな漏出部位が確認できた,もしくは 1 時間後に膀胱描出があった症例を陽性とし た.

Ⅲ.結果          全 35例の結果を Table 1 に示す.画像判 定が陽性であった症例は 18 例であった.

その内あきらかな漏出部位の描出があった 症例は 15例,1 時間後に膀胱の描出があっ た症例は 12 例であった.画像判定が陰性 の内,2 例が血中インジウムカウント測定 で髄液漏出が認められた.この 2 例と画像

画像判定 漏出確認 1時間後 髄液漏出

3時間後 髄液漏出

硬膜外自己血注入 法

+ 15 + 12 + 16 12

陽性 18

− 3 − 6 − 2 6

+ 0 + 8 2

陰性 17

− 17 − 9 0

Table 1

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0.0 2000.0 4000.0 6000.0 8000.0 10000.0 12000.0

0 1 2 3 6 24

Fig.1

0.0 500.0 1000.0 1500.0 2000.0 2500.0 3000.0 3500.0 4000.0 4500.0 5000.0

0 1 2 3 6 24

Fig.2

0.0 2000.0 4000.0 6000.0 8000.0 10000.0 12000.0

0 1 2 3 6 24

Fig. 3 判定陽性の18例にEBP(硬膜外自己血注入

法: epidural blood patch)を施行した.

漏出部位は,胸椎 2 例,腰椎 11 例,仙 椎4 例で頚椎の症例はなかった.漏出部位 の描出があった撮影時間は 1 時 間 後 5 例,

3時間後 5例,6 時間後14 例,24 時間後9 例であった.6 時間後の撮像に多く描出が 見られるのは積極的に動き始めたからで,

労作時(特 に 歩 く と)疲れるという患者の訴 えと一致する.

  血中インジウムカウント測定の経時的グ ラフは3パターンに分類するこ とができる.

(Fig.1〜3)

  1〜2 時間後 にイ ンジ ウム カウ ントが ピ ークを示すパターンである.1時間後より高 い値を示し,24時間後には大幅に減少をし ている.画像判定では,全てが陽性を示し た.

  24 時 間 後 に ピ ー ク を 示 す パ タ ー ン で あ る.安静を保っている間は低い値を示し,生 理学的循環(脳脊髄液循環:髄液の全量は約

150ml,500〜600ml/日分泌され 4〜7 時間 で循環する 1 )によって値が高くなって いる.画像判定では,全てが陰性を示した.

  3〜6 時 間 後に ピ ーク を 示 す パタ ー ンで あ る.髄 液 漏 出 有 無 の 境 界 領 域 い わ ゆ る グ レーゾーンといわれるものや,3 時間後撮 像までの患者安静度が保たれていないもの が 含 ま れ て い る と 推 測 さ れ る.画 像 判 定 で は,24例中14例が陽性を示した.

【症例】59歳,女性

  もともと疲れやすかった.16歳の頃,階 段より転倒.その後,易疲労感・両側後頭部 痛・耳鳴・羞明が続き,低髄圧症候群が疑 われ,脳槽シンチグラフィを施行した.3 時 間後までは明らかな漏出部位,膀胱の描出 はなかった.6時間後の撮像にて左右両側腰 椎に集積を認め,漏出部位と考えられた.

(Fig.4)  MRI ミ エ ロ グ ラ フ ィ ー の 画 像 を 示す.(Fig.5)

脳槽シンチグラフィでは腰椎左側に太く 一本に描出されていたものが,2 箇所以上

から漏出があったことがわかった.EBPを 2回施行し,症状は軽快した.

Ⅳ.考察          対象者 35 例のうち,EBP を施行したの は20例(57%)であった.EBPを 施行し た20 例のうち,18 例(90%)が画像判定によりお こなわれ,残り2 例も血中インジウムカウ ント測定で漏出と判定した.

  髄液中に投与されたアイソト−プは,脳 脊髄腔から脳表に達した後,血液中へ移行 し腎臓で濾過され尿中へ排泄されるのが一 般的である 2).  髄液が漏出している患者 は,脳脊髄液循環よりも早く血液中に移行 し膀胱へ排泄されると考えられ,1 時間後

の膀胱描出が診断基準のひとつと考えら れるが,排尿を我慢できないこともある.

患者の静脈血を採取しインジウムカウン トを測定すれば,より正確な診断が可能 であると考える.

Ⅴ.結語        脳槽シンチグラフィが髄液漏出の診断 に有用であるかを検討した.画像では,

全身(頭頂〜膀胱部)を撮像することによ り漏出部位を特定するために重要である と考えられる.

また,同時に静脈血を採取し血中インジ ウムカウント測定をおこなうことにより,

描出が困難なケースでも漏出の有無が判断 できると考えられ,補助的な診断材料とし て有用であると考える.

文献

1)金森勇雄,渡部洋一,井戸靖司,他:臨 床医学概論:110,(2004)

2)梅田貴子,小泉  潔,池川博昭,他:

髄液漏出症疑い患者の脳槽シンチグラフィ   日 本 医 放 会 誌   第 65 巻   第 4 号:98− 102,(2005)

Fig.5 Fig.4

- 49 -

 

じめに

  近 年 PET 検査が世間から注目さ れ,それに伴い施設数が急増している.し かしながら,平成 17 年 4 月の時点で広島 県には1 施設も導入されていない.中国地 方においても山口県,岡山県にそれぞれ 1 施設のみ稼動している状況であった.その ため PET 検査を受けるには県外へ行くし か手段がなく,患者にとっては大変不便で あった.

そこで,当院が地域医療への貢献,予防 医学の更なる発展のために広島県初となる PETセンターを平成 17 年7 月に開院させ る運びとなった.

今現在(平成 18 年 6 月)となっては広 島県に当院を含め2 施設,中国地方におい てはデリバリー供給開始も影響して 10 施 設(デリバリー:5 施設)が稼動している.

設概要

  1 階:ホットラボ,サイクロトロ ン,排水設備など

2 階:PET-CT,処置室,安静室,回復室 など

3階:検診フロア

要機器と特徴

① サ イ ク ロ ト ロ ン :PETtrace(GE) 陰イオン加速方式のサイクロトロンで陽子 16.5MeV,重陽子8.4MeV

② FDG 合 成 装 置 : TRACERlab

MXFDG(GE)  アルカリ加水分解方式で合

成時間約 25 分,カセット・試薬はディス ポーザブル

③品質管理装置:AT-511(ユニバーサル技 研)検定時間(無菌試験以外)は約 30 分

は   

主 

モーニング カンファレンス

話題 提供Ⅰ

一般病院におけるサイクロトロン/ P E T ‑ C T  

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