(高ライフタイム)
従来pinダイオード
(ライフタイム制御有り) pinダイオード
n- n+
p+
IGBT
コレクタ エミッタ
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では、厚みが厚く高不純物濃度のp+層を用いているため高注入コレクタとして働く。これ の代わりに注入効率制御による低注入コレクタを用いるのである。具体的な手段は図
2-16(b)のようにnバッファ層をもつPT-IGBTに対し、不純物総量の値が小さいトランスパ
レントpコレクタの導入を行う。p+コレクタからのホールの注入はp+コレクタ層の不純物 総量と、nバッファ層を含むn-ドリフト層の不純物総量の比で決まることになる。
さらにNPT-IGBTとの比較もする。提案する低注入IGBTは従来のPT-IGBTと同様、
逆バイアス印加時、空乏層の延びはnバッファ層で止めn-ドリフト層は完全空乏化させる。
よってNPT-IGBTよりn-ドリフト層を薄くできドリフト層での電圧降下は低くなる。これ
らの要素を含んだ新しい低注入IGBTを、その構造の特徴から本論文では「薄型PT-IGBT」
と称する。従来のPT-IGBTが厚いp+コレクタ層をもつのに対し、薄いp+コレクタ層に置 き換えることで素子そのものも薄層化したからである。
新しく提案する薄型PT-IGBTの設計コンセプトと目的をまとめると以下の2点となる。
1.線形状キャリア密度分布
高ライフタイムでの低オン電圧、低ターンオフ損失の両立 2.コレクタ注入効率制御
低テール電流による低ターンオフ損失
実現するための手段が以下になり、詳細は第4章にて素子特性と共に示していく。
1.線形状キャリア密度分布
n-ドリフト層を一様な高ライフタイム値とする 2.コレクタ注入効率制御
トランスパレントpコレクタ層、nバッファ層の組み合わせとする
NPT-IGBTもトランスパレントpコレクタをもち、コレクタの注入効率はトランスパ
レントpコレクタの不純物総量で決まる。これに対し今回提案する薄型PT-IGBTではpコ
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レクタ層に隣接してnバッファ層をもち、nバッファ層の不純物総量とpコレクタ層の不 純物総量の組み合わせによってホール注入効率を制御できるため、より素子設計の自由度 が上がる。さらにトランスパレント p コレクタはコレクタ電極とオーミック接触をもたせ るため不純物総量に下限を持つが、nバッファ層と組み合わせることで、より低いコレクタ 注入効率制御も可能となるのである。
49 2-5 むすび
バイポーラ素子であるpinダイオードとIGBTの、注入効率制御による素子の設計コ ンセプトを提案した。目的は低損失化、低リーク電流の両立とともに、他の要求特性であ るスイッチング時振動の抑制、高破壊耐量の実現である。過去の素子開発での損失低減は、
スイッチング損失低減を目指したライフタイム制御が主な手段であった。これはスイッチ ング損失低減には効果的が大きかったが、リーク電流増大という大きな課題を伴った。
これに対しpinダイオード、IGBTいずれにも、導通状態での線形状キャリア密度分布 と注入効率制御による低注入化という共通な設計コンセプトを導入した。線形状のままキ ャリア密度の積分値を小さくしリバースリカバリ損失を低減させる。さらに線形状であれ ばキャリア密度の値が局所的に小さい領域をもつことはなくオン電圧の増加を抑制するこ とができる。そしてこれは、注入効率制御および高ライフタイムで実現可能となるのであ る。高ライフタイムのままで設計できるため、高温動作のためのリーク電流抑制という従 来の大きな課題を解決することが可能となる。これらをまとめたのが表2-1である。