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低所得国

ドキュメント内 00_BOOKJP2009.indb (ページ 57-60)

途上国の貧困は、国際比較プログラムの最新の報告書によると近年考 えられていたよりも深刻であるとが明らかになりました。2005年の 物価水準(入手可能な最新値)で1日1.25ドルという国際貧困ライン が新たに設定されましたが、これは世界の最貧困国10〜20か国の国 内貧困ライン中間値です。世銀がIDA支援を通じて援助に尽力してい る低所得国43か国およびそこに暮らす約97300万人(2008年)

は現在、今後数世代にわたって貧困状態を抜け出せないリスクが過去 数十年間で最大となっています。

IDAの役割

IDAは世界の最貧困国に譲許的融資を行う最大の多国間機関です。

2009年度は、2007年の一人当たり国民総所得(GNI)が1,095ドル 以下であった国がIDA融資適格国となりました。さらにIDAは、一部 の小島嶼国のように、融資適格国の基準となる一人当たり国民所得は 超えているものの、IBRD融資を受けるだけの十分な信用力を持たな い国にも支援を提供しています。2009年度のIDA融資適格国は合計 79か国でした。これまでのIDA卒業国は27か国に上り、その一部(最 近では中国とエジプト・アラブ共和国)は今やIDAドナーとなってい ます。IDA資金の配分は主に、毎年実施される国別政策・制度評価に おける各借入国の格付けによって決定されます。IDAIBRDの両方 の援助を受けられる適格国の場合、IDA資金の配分に際しては、そう した国々が別の資金源から融資を得るための信用力やそうした資金源 へのアクセスを考慮に入れる必要があります。

IDAは、借入国による経済成長の促進、貧困の削減、貧困層の生活状 態の改善を支援しています。IDAは、そのプロジェクトにおいて、紛争 後復興、経済移行、脆弱性、急速かつ持続可能な成長など各国の様々な 状況に直面します。IDAは、すべての低所得国への支援を継続する一 方、その成果を見ながら、IDA15次増資(IDA15)の対象となる3 年間の財政援助の半分をアフリカに向けられ、南・東アジアの最貧困 国にも多額の援助が向けられる予定です。

IDA承認額

2009年度のIDA融資承認額は140億ドルに到達しました(図3.4参 照)。その内訳は融資が110億ドル、贈与が26億ドル、保証が4億ドル

3.4

合計140億ドルに占める割合 南アジア

中東・北アフリカ

30%

1%

ヨーロッパ・

中央アジア 3%

ラテンアメリカ・

カリブ海 1%

東アジア・大洋州 9%

56% アフリカ

IDAの地域別融資承認額|2009年度

単位:100万ドル    %

2009 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 0

1,000 2,000 4,000 6,000 9,000 8,000 7,000

3,000 5,000

0 10 20 30 40 50 60

注:2005年度から、融資には保証と保証ファシリティを含む。

IDA融資承認額(左軸) IDA融資承認総額に占める割合(右軸)

3.5

IDAのアフリカ地域への融資承認額|19992009年度

公共セクター・ガバナンス 人間開発 経済管理 貿易・統合

都市開発 7%

3%

社会的保護・

リスク管理 5%

社会開発・

ジェンダー・参加 4%

農村開発 23%

法規 <1%

3%

12%

環境・天然資源管理 4%

20%

金融・

民間セクター開発 18%

3.6

IDAのテーマ別融資承認額|2009年度 合計140億ドルに占める割合

3.7

IDAのセクター別融資承認額|2009年度

合計140億ドルに占める割合

上下水道・治水 6%

運輸 10%

法律・司法・行政 19%

保健・その他の社会サービス 14%

情報・通信 1%

産業・貿易 4%

13%

3%

12% 教育

エネルギー・鉱業 18%

金融 農業・漁業・林業

で、合計176件のプロジェクトに対するものでした。承認額が最も多 かったのはアフリカ地域であり、その額は79億ドルでIDA承認総額 の56%を占めました。南アジア地域(41億ドル)および東アジア・大 洋州地域(12億ドル)も大きな割合を占めています。国別では、ナイ ジェリアとパキスタンが単独では最も多くのIDA資金を受け取りま した。

IDAは、インフラ・セクター(エネルギー・鉱業、運輸、上下水道・治 水、情報通信技術)で重要な資金調達源のひとつです。これらのセク ターを合計すると49億ドルで、IDA承認額全体の35%に上ります。

承認額が最も多かったセクターは行政(法律・司法を含む)であり、単 独のセクターとして26億ドルの融資を受けました(全体の19%)。保 健・社会サービス・セクター(20億ドル)および農業セクター(19億 ドル)に対しても多額の支援が提供されました。

テーマ別に見ると、特に多くの資金を受け取ったのは、農村開発(32 億ドル)と人間開発(27億ドル)でした。金融・民間セクター開発(25 億ドル)、公共セクター・ガバナンス(17億ドル)、都市開発(10億ド ル)にも大きな関心が払われました(図3.5〜3.7は2009年度のIDA 融資の概要を、図3.8はインフラ関連のIDA融資を示しています)。

IDAの原資

IDAの活動資金は主にドナー国からの拠出金でまかなわれています

(図3.9)。そのほか、IBRD純利益からの移転、IFCからのグラント、過 去のIDA融資に対する借入国からの返済金などによってもまかなわ れています。ドナー国と借入国の代表者は3年ごとに会議を開き、

IDAの融資方針と優先分野を話し合い、その後3年間の融資プログラ ムに必要な額を決定します。通常、IDA拠出額が最も多いのは主要先 進国ですが、途上国や移行国もドナー国に名を連ねており、そうした 国の中には現在IBRDから融資を受けている国やIDAから融資を受け た経験を持つ国も含まれています。IDA第15次増資(IDA15)交渉期 間中に、中国、キプロス、エジプト、エストニア、ラトビア、リトアニア の6か国が新たにドナーとして加わりました。

2009年度は、2009〜2011年度を対象とするIDA承認額の原資と

3.1

世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資|20042009年度

単位:100万ドル

テーマ 2004 2005 2006 2007 2008 2009

経済管理 428.8 594.6 213.8 248.3 396.6 2,304.7

環境・天然資源管理 1,304.6 2,493.8 1,387.3 2,017.0 2,661.8 5,085.4 金融・民間セクター開発 4,176.6 3,862.0 6,137.8 4,260.8 6,156.2 9,694.8

人間開発 3,079.5 2,951.0 2,600.1 4,089.4 2,280.9 6,378.6

公共セクター・ガバナンス 3,373.9 2,636.4 3,820.9 3,389.7 4,346.6 6,108.4

法規 503.4 303.8 757.6 424.5 304.2 15.8

農村開発 1,507.8 2,802.2 2,215.8 3,175.7 2,276.8 4,298.6

社会開発・ジェンダー・参加 1,557.8 1,285.8 1,094.1 1,250.3 1,002.9 813.2 社会的保護・リスク管理 1,577.0 2,437.6 1,891.7 1,647.6 881.9 5,295.7 貿易・統合 1,212.7 1,079.9 1,610.9 1,569.9 1,393.2 3,444.1

都市開発 1,358.1 1,860.0 1,911.2 2,622.7 3,001.2 3,466.7

テーマ総額 20,080.1 22,307.0 23,641.2 24,695.8 24,702.3 46,906.0

セクター

農業・漁業・林業 1,386.1 1,933.6 1,751.9 1,717.4 1,360.6 3,400.0

教育 1,684.5 1,951.1 1,990.6 2,021.8 1,926.6 3,444.8

エネルギー・鉱業 966.5 1,822.7 3,030.3 1,784.0 4,180.3 6,267.4

金融 1,808.9 1,675.1 2,319.7 1,613.6 1,540.7 4,235.6

保健・その他の社会サービス 2,997.1 2,216.4 2,132.3 2,752.5 1,607.9 6,305.5 産業・貿易 797.9 1,629.4 1,542.2 1,181.3 1,543.5 2,806.5 情報・通信 90.9 190.9 81.0 148.8 56.5 329.2 法律・司法・行政 4,978.8 5,569.3 5,857.6 5,468.2 5,296.4 9,491.6

運輸 3,777.8 3,138.2 3,214.6 4,949.0 4,829.9 6,260.6

上下水道・治水 1,591.6 2,180.3 1,721.0 3,059.4 2,359.9 4,364.9

セクター総額 20,080.1 22,307.0 23,641.2 24,695.8 24,702.3 46,906.0

うち、 IBRD 11,045.4 13,610.8 14,135.0 12,828.8 13,467.6 32,910.8

IDA 9,034.6 8,696.2 9,506.2 11,866.9 11,234.8 13,995.2

注:2005年度から、融資には保証と保証ファシリティを含む。四捨五入の結果、表中の数字の合計値が総計と異なる場合がある。

単位:100万ドル  %

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

注:2005年度から、融資には保証と保証ファシリティを含む。

IDA融資承認額(左軸) IDA融資承認総額に占める割合(右軸)

0 1,000 2,000 3,000 5,000 4,000 6,000

0 5 10 15 20 25 35 45

30 40 3.8

IDAのインフラセクターへの融資承認額|19992009年度

3.9 6.3

25.2

6.3 2.1 3.8

17.7

9.0

0.9 n.a.

12.3 9.2

IDA13200305年度 IDA14200608年度 IDA15200911 3.9

IDAの資金源

IDA自己資金a

MDRI債務免除に対するドナーからの補填 IBRDIFCの純利益からの拠出 ドナーからの拠出b

a. IDAの自己資金は、元本返済金、手数料(管理費を控除)、投資収益など。

b.構造的な資金ギャップを控除後。

注:n.a.=該当なし。

単位:10億ドル

なるIDA15次増資(IDA15)の初年度でした。この3年間にIDA 資適格国への譲許的融資として417億ドル(特別引出権273億ドル相 当)が承認される予定です。ドナーにより誓約された新たな拠出金は 過去最高の252億ドルに上りました。これらの拠出金に加えて、債務 削減コストのために過去に誓約された拠出金から165億ドル、IDA 資返済金と投資収益、世銀グループからの内部資金が確保されました。

世銀グループはIBRDの純利益およびIFCの内部留保から35億ドル を拠出すると誓約しており、この額はIDA第14次増資(IDA14)での 拠出額の2倍以上となっています。

IDA15の総額のうち91億ドルが、IDAによる債務削減に伴う融資 返済金の減少分に対するドナーからの補填となっています。その内訳 は、IDA15実行期間中の多国間債務救済イニシアティブ(MDRI)に関 係 す る 費 用 が63億 ド ル、IDA15に お け るIDAの 重 債 務 貧 困 国

(HIPC)イニシアティブに関係する費用が17億ドル、IDA15での延滞 債務解消プロジェクトのための資金が11億ドルとなっています。これ らの金額は、IDAが債務救済イニシアティブゆえにドナーからの拠出 にこれまでよりも依存するようになっていることを示すものです。

HIPCイニシアティブとMDRI

世界銀行は、HIPCイニシアティブおよびMDRIを通じて最貧困国の 債務削減を行っています。現在までにIDA融資適格国40か国のうち 35か国がHIPC決定時点に到達し、HIPCイニシアティブの援助を受 ける資格を得ています。このうち26か国がHIPC完了時点に到達し、

HIPCイニシアティブおよびMDRIの下での債務削減を受けていま す。すべての融資適格国に対するHIPCイニシアティブの債務削減に 伴う債権者の負担総額は、2008年末現在、正味現在価値で740億ドル と推定されます。HIPCイニシアティブ完了時点に到達している26か 国で見ると、世銀による債務削減総額は2008年末時点で純現在価値 約260億ドルであると考えられ、そのうち110億ドルがHIPCイニシ アティブ、150億ドルがMDRIで提供されています。

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