第4章 映像メディアの理解と表現に関するカテゴリーと到達項目の生成
4.3 結果〜カテゴリーと到達項目の生成〜
4.3.1 低学年におけるカテゴリーの生成
○ 評 価 規 準 の 作 成
実 践 協 力 者 が 指 導 案 を 作 成 す る 。 単 元 全 体 の 指 導 計 画 を 立 て 、 学 習 内 容 に 連 動 さ せ て 評 価 規 準 を 記 入 す る 。 「 見 る こ と 」 、 「 見 せ る こ と ・ つ く る こ と 」 領 域 に 該 当 す る 評 価 規 準 を 抜 き 出 し た 指 導 案 の 指 導 計 画 は 、 表 4 − 2 の 通 り で あ る 。
○ ラ ベ ル 名 の 付 与
こ の 評 価 規 準 に 「 実 践 者 コ ー ド + 学 年 コ ー ド 」 ー 「 指 導 案 番 号 」 ー 「 評 価 規 準 番 号 」 で 構 成 さ れ る デ ー タ 番 号 ( 例 : B 2 - 1 - 1 3 ) を つ け た 上 で 、 抽 出 さ れ た 評 価 規 準 に 対 し て 、 ラ ベ ル 名 を 付 与 し た 。 例 え ば 「 文 章 が 合 っ て い る 写 真 を 選 び 、 そ の 理 由 を 明 ら か に す る
表 4 − 3 1 年 ・ 説 明 文 教 材 指 導 案 の 指 導 計 画
( ※ デ ー タ 番 号 1 - 1 の 指 導 案 )
学 習 内 容 「見る」「見せる,つくる」の具体の評価規準
見る 見 通 し を 持つ
(1H)
1,課題をつかむ
・題名から課題意識を持つ
くちばし=鳥がもつもの いろいろな鳥がい る
・知っている鳥について話をする
写真を指し示しながら「これは、~です。」
という言い方で発言する
・どんなくちばしなのか、写真を観察して話す 色・形・大きさ・長さ・太さ・例え など
・全文音読
どんなくちばしについて書かれているか、これ か
※数字はデータ番号 1-1-1 写真を指し示しながら、その鳥につ いて知っていること、見て分かることを 話すことができる。
1-1-2 友達の話すくちばしの形態につい て、写真の内容と一致しているかという 意識を持って、発言を聞いている。
ら読んでいこう
・学習のゴールを知る
読んだことを「ひみつBOOK」にまとめよう
見る 教 材 文 を 読む
(5H)
1,問いと答えからなる文章の構成をつかむ
・説明文という用語と文章の特徴を知る 問いに対する答えや説明がある
新しいことを知ったり、謎を解いたりする文 章
作者が調べたり考えたりした本当の話
・いくつの「くちばし」が出てきたか
・問いと答えの文を見つける
これは、なんのくちばしでしょう。
これは、○○のくちばしです。
1,3,「きつつきのくちばし」をくわしく読む
・2文目3文目の問いと答えの文を確かめる
・穴あきワークシートに、本文を視写する
・他の1,4,5文目に書かれている内容を読む どんなくちばしか
くちばしの使い方 なんのために使うのか
・分かったことや思ったことを「きつつきさんへ の手紙」にして書き表す
・手紙に書いたことを交流する
4,「おうむのくちばし」をくわしく読む 5,「はちどりのくちばし」をくわしく読む (※4時5時は、前時と同様の学習内容)
1-1-3 3つのくちばしの説明に対応して、
2つずつの挿絵と写真が掲載されている ことに気づいている
1-1-4 どんなくちばしかを読む際に、6枚 の写真のうち、どの写真で確かめれば良い か、選ぶことができる
1-1-5 新しく知ることや難易語を、挿絵や 写真を手がかりにして、具体的にイメージ している
1-1-6 挿絵や写真と叙述をつなぎながら、
くちばしの様子や役割を、正しく読んで いる
1-1-7 読みとったことについて、挿絵や写 真の一部を指し示しながら、自分なりの 言葉を付け加えて説明することができる 1-1-8 アップとルーズの映像から分かるこ
とを意識し、その良さに気づいている
見る 見せる ク イ ズ を 作 り 、 出 題する
(2H)
+課外
1, お家の人に出題する問題を作る
・5種類の中から、問題を作るくちばしを選ぶ
・P44のくちばしの写真から、どんなくちばし か考え、説明するメモを作る
・そのくちばしを持つP51の鳥の写真と図鑑を 使い、問いに対する答えのメモを作る
2,クイズを出す練習をする
・グループごとに読み合い、誤字脱字がないか確 かめる
・問題の出し方、答えの説明の仕方を練習する
・今までの読みとりワークシートとクイズ用ワー クシートを綴じ、表紙をつけて製本する。
【課外】家の人にクイズを出し、評価をもらう 出題してみての感想を交流する
1-1-9 くちばしの写真から、どんなくちば しか構成要素の視点を持って観察し、分 かったことを言語化することができる
1-1-10 写真を提示しながら、相手にどん なくちばしかを説明し、「何のくちばしで しょう」と尋ねたり、「これは、○○のく ちばしです」と答えたり、その使い方につ いて説明を加えたりしている。
表 4 − 3 ラ ベ ル 名 の 付 与
に 「 写 真 の 選 択 」 と い う ラ ベ ル を ふ っ て い く と い う 作 業 を 順 次 行 っ た 。
そ の 結 果 、 1 3 の 指 導 案 か ら 、 評 価 規 準 項 目 と し て 、 1 0 1 項 目 を 抽 出 し た 。 「 見 る こ と 」 領 域 に お い て は 、 2 8 種 類 ( 評 価 規 準 数 :
5 8 ) 、 「 見 せ る こ と ・ つ く る こ と 」 領 域 に お い て は 、 2 7 種 類 ( 評 価 規 準 数 : 4 3 ) の ラ ベ ル 名 が 付 与 さ れ た 。
低 学 年 の ラ ベ ル 名 に 関 し て は 、 別 添 ③ の 通 り で あ る 。
○ カ テ ゴ リ ー の 生 成
同 じ ラ ベ ル が 付 与 さ れ た 評 価 規 準 の 学 習 場 面 の デ ー タ を 相 互 に 比 較 し な が ら 関 係 性 を 検 討 し た 。
低 学 年 「 見 る こ と 」 領 域 に 関 し て は 、 絵 や 写 真 を 読 み 取 る こ と 自 体 を 目 的 に し た 評 価 規 準 と 言 葉 や 文 章 と の 関 連 を 目 的 に し た 評 価 規 準 が 見 ら れ た 。 例 え ば 、 「 『 は じ め 』 と 『 お わ り 』 の 2 枚 の 絵 の 違 い を 見 つ け る こ と が で き る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : S a 2 - 1 3 - 1 ) で は 、 ラ ベ ル 名 は 「 挿 絵 の 内 容 の 比 較 」 と 付 与 し た 。 こ れ は 挿 絵 自 体 の 読 み 取 り の 比 較 が 目 的 で あ る 。 一 方 、 「 叙 述 に 書 か れ て い る 自 動 車 の つ く り を 表 す 言 葉 が , 挿 絵 で は ど こ に あ た る の か , 挿 絵 の 一 部 分 を 指
ラ ベ ル 名 を 「 言 葉 と 関 連 づ け て の 理 解 」 と 付 与 し 、 叙 述 と 挿 絵 を 対 応 さ せ な が ら 本 文 の 読 み を 深 め る こ と を 目 的 に し て い る こ と を 確 認 し た 。 そ こ で 、 同 じ 「 見 る こ と 」 領 域 で あ っ て も 、 映 像 の 読 み 取 り を 目 的 に す る も の と 、 言 葉 や 文 章 と の 関 連 を 検 討 さ せ る こ と を 目 的 に す る も の に 分 類 し た 。
カ テ ゴ リ ー 名 と し て 、 前 者 は 「 読 み 取 り 」 、 後 者 は 「 言 葉 や 文 章 と の 関 連 の 検 討 」 と し た 。 「 読 み 取 り 」 で は 、 「 挿 絵 の 内 容 の 比 較 」 「 共 通 点 ・ 相 違 点 の 発 見 」 「 映 像 情 報 と 既 有 知 識 の 比 較 」 「 映 像 か ら 創 出 さ れ る イ メ ー ジ の 比 較 」 「 挿 絵 の 比 較 」 「 ア ッ プ と ル ー ズ の 比 較 」 「 全 体 と 部 分 の 照 応 」 「 相 違 点 の 比 較 」 「 共 通 点 の 比 較 」 「 共 通 点 ・ 相 違 点 の 比 較 」 「 同 一 の 絵 か ら 作 ら れ る 物 語 の 比 較 」 「 構 成 要 素 の 比 較 」 「 構 成 要 素 を 認 識 し て の 伝 え 合 い 」 「 意 味 を 理 解 し て の 伝 え 合 い 」 「 構 成 要 素 の 識 別 」 「 構 成 要 素 の 意 味 の 理 解 」 と い う ラ ベ ル が 分 類 で き た 。
以 上 の よ う な 作 業 を 通 し て 、 低 学 年 で は 7 つ の カ テ ゴ リ ー ( 「 見 る こ と 」 領 域 : 2 、 「 見 せ る こ と ・ つ く る こ と 」 領 域 : 5 ) を 生 成 し た 。
○ 到 達 項 目 の 生 成
評 価 規 準 と ラ ベ ル 名 か ら カ テ ゴ リ ー を 生 成 し た 。 し か し 、 教 師 が 授 業 を 行 う 上 で の 指 針 と す る た め に は 、 さ ら に 学 習 内 容 が 想 定 で き る 内 容 ・ 項 目 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。 そ こ で 、 評 価 規 準 や ラ ベ ル 名 を 見 直 し な が ら 、 到 達 項 目 を 検 討 し た 。
例 え ば 、 見 る こ と 領 域 の 「 読 み 取 り 」 で は 、 「 挿 絵 を 見 比 べ て , そ れ ぞ れ が 前 の 生 長 段 階 と ど の よ う に 変 わ っ て き て い る の か と い う こ と を 指 摘 す る こ と が で き て い る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : I s 2 - 5 - 1 、 ラ ベ ル 名 : 挿 絵 の 内 容 の 比 較 ) や 「 『 は じ め 』 と 『 お わ り 』 の 2 枚 の 絵 の 違 い を 見 つ け る こ と が で き る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : S a 2 - 1 3 - 1 、 ラ ベ ル 名 : 挿 絵 の 内 容 の 比 較 ) の よ う に 、 「 時 系 列 に よ る 順 番 と い う
視 点 で 映 像 を 比 較 し 、 そ の 変 化 を 理 解 す る こ と を 目 的 に し た 内 容 」 が あ る 。 同 様 に 、 以 下 の よ う に 分 類 し た 。
・ 「 提 示 さ れ た 映 像 を , 自 分 の 知 っ て い る も の の 中 で 何 に 似 て い る か 考 え な が ら 見 る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : I s 2 - 2 - 1 、 ラ ベ ル 名 : 映 像 情 報 と 既 有 知 識 の 比 較 ) の よ う に 、 自 分 の 知 識 や イ メ ー ジ と 映 像 を 比 較 し 、 自 分 な り の 考 え を 持 つ こ と が で き る こ と を 目 的 に し た 内 容
・ 「 自 分 の 描 い た 絵 を 一 覧 し , 全 体 に つ い て と ら え た 部 分 と 細 か な 部 分 が ど こ か , 考 え て い る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : N i 1 - 5 - 6 、 ラ ベ ル 名 : ア ッ プ と ル ー ズ の 比 較 ) の よ う に 、 全 体 と 部 分 と い う 視 点 で 映 像 を 比 較 し 、 用 途 に よ っ て 使 い 分 け て 見 る こ と が で き る こ と を 目 的 に し た 内 容
・ 「 場 面 が 進 む に つ れ て 変 化 す る 登 場 人 物 の 数 や 様 子 に 着 目 し て , そ の 共 通 点 や 相 違 点 を 見 つ け て い る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : N i 1 - 4 - 3 、 ラ ベ ル 名 : 共 通 点 ・ 相 違 点 の 比 較 ) の よ う に 、 映 像 の 共 通 点 や 相 違 点 が 、 状 況 や 展 開 に 関 連 し て い る こ と を 推 測 す る こ と が で き る こ と を 目 的 に し た 内 容
・ 「 く ち ば し の 写 真 か ら , ど ん な く ち ば し か 構 成 要 素 の 視 点 を 持 っ て 観 察 し , 分 か っ た こ と を 言 語 化 す る こ と が で き る 。 」 ( デ ー タ 番 号 : N i 1 - 1 - 9 、 ラ ベ ル 名 : 構 成 要 素 を 認 識 し て の 伝 え 合 い ) の よ う に 、 何 ら か の 視 点 を 持 っ て 写 真 を 観 察 し 、 分 か る こ と や 考 え た こ と を 伝 え 合 う こ と が で き る こ と が 目 的 の 内 容
こ の 作 業 も 、 筆 者 が 分 類 ・ 整 理 を 行 い 、 担 当 の 実 践 者 に 評 価 規 準 の 意 図 や 到 達 項 目 と の 関 係 性 に つ い て 確 認 し 、 さ ら に 外 部 2 名 の 研 究 者 に よ っ て 映 像 メ デ ィ ア の 理 解 と 表 現 に 関 す る 段 階 性 や 国 語 科 教 育 の 評 価 規 準 の 関 連 性 な ど に つ い て 、 そ れ ぞ れ の 立 場 か ら 齟 齬 が な い か 確 認 を 行 っ た 。 2 名 は そ れ ぞ れ メ デ ィ ア ・ リ テ ラ シ ー と 国 語 科 教 育 を 専 門 に し て い る 研 究 者 で あ る 。