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会計と監査

ドキュメント内 2020年度版 マレーシア投資ガイド (ページ 70-73)

12-1 マレーシアの会計基準

1. IFRSと同一の会計基準

マレーシアの会計基準は、IFRSが導入されている。具体的には、マレーシア会計 基準審議会(MASB)は、IFRSと同一の会計基準であるMalaysian Financial

Reporting Standards(MFRS)と、中小企業版IFRS(IFRS for SMEs)と同一の

会計基準であるMalaysian Private Entities Financial Reporting Standard

MPERS

)を採用している。

上場会社、マレーシア中央銀行の監督下にある金融機関等の閉鎖企業以外の会 社は、MFRSを採用する必要があり、閉鎖企業については、MFRSとMPERSを選 択適用することができる。なお、閉鎖企業とは以下の要件に該当する企業をいう。

証券委員会またはマレーシア中央銀行により施行されるいかなる法律のもと でも財務報告の提出が要求されない企業、かつ

証券委員会またはマレーシア中央銀行により施行される法律のもとで財務 報告の提出が要求される企業の子会社/関連会社/共同支配会社でない こと

日系企業の多く(金融機関を除く)は閉鎖企業に該当するが、簡便なMPERSを選 択するケースが比較的多い。IFRSとMFRSまたはMPERSとの主な相違は、IFRS には連結財務諸表作成の免除規定があるが(最終親会社が連結財務諸表を作 成している場合などの一定の要件を満たす場合)、マレーシアの会社法は、マ レーシア法人が子会社を持つ場合には連結財務諸表を作成することを義務付け ていることから、MFRSまたはMPERSにはこのような連結財務諸表作成の免除 規定がないことである。

なお、MFRSはIFRSと同様の頻度・タイミングで改正され、新会計基準の適用時 期もIFRSと同じ扱いとなっている。一方、MPERSはIFRS for SMEsにあわせ、概 ね3年ごとに改正がなされている。

2

MFRS

MPERS

の主な相違点

項目

MFRS MPERS

有形

固定資産 借入費用の資産化あり。 借入費用の資産化なし。

無形 固定資産

耐用年数を特定できない無形 固定資産については、償却せ ず年次の減損テストが適用され る。

開発費の資産化あり。

全ての無形固定資産(のれんを 含む)は、有限の耐用年数があ るものとして取り扱われる。

開発費の資産化なし。

政府補助金

資産に関連する補助金は、繰 延収益として処理するか、当該 資産の取得原価から控除する。

補助金の認識要件を満たした 時に収益として処理する。

金融商品

IFRS9号と同等の基準が適用さ

れる。

IAS39号の概念に基づいてい

る。

収益

IFRS15号と同等の基準が適用

される。

IAS18号の概念に基づいてい

る。

リース

IFRS16号と同等の基準が適用

される。

IAS17号の概念に基づいてい

る。

3.

会計基準適用における実務上の留意点

1)

機能通貨

MFRS、MPERSともに「機能通貨」の概念があるが、USドルなどリンギット以外の

通貨で販売、購買取引を行うケースが多い場合には、会計帳簿を作成するため の機能通貨がリンギット以外のUSドルなどの外国通貨になる可能性がある。この 際、マレーシアの税務当局は法人税の申告においては外貨建て取引をリンギット で記録することを要求している。このため、会計帳簿と税務帳簿の作成通貨が異 なることになる可能性があり、実務上の対応が非常に難しくなっていることから留 意が必要である。なお、機能通貨がUSドルなどの外国通貨になった場合でも、法 定の財務諸表を作成する際の表示通貨はリンギットにする必要がある。したがっ て、決算報告書である「Audit Report」はリンギットで表示する必要がある。

2)

有形固定資産の減損会計

日本基準とは異なり、減損の兆候について「損益やキャッシュ・フローが継続して マイナス」といった数値基準はなく、状況によっては単年度でも赤字になれば減損 の兆候があると判断される場合がある。また、減損の兆候がある場合には、割引 前キャッシュ・フローで減損損失の認識の必要性を判定するといったステップはな

く、直ちに割引後キャッシュ・フローまたは処分費用控除後の公正価値をベースと した減損テストが実施される。また、キャッシュ・フローの割引に使用される割引率 は、資産に固有のリスクを反映したものとして、類似の上場会社の資本コスト等を ベンチマークとした加重平均資本コスト(税引前に引き直したもの)が使用され、一 般に日本で使用されている割引率よりも相当程度高くなるとともに、その算定自体 が専門的であるため、限られた人員で運営されている現地日系企業にとってはそ の対応が難しい場合がある。

12-2 法定監査と監査基準

原則として全ての会社および外国会社の支店は年次の会計監査を受けなければなら ない。したがって、日系企業の子会社や支店も会計監査を受ける必要がある。ただし、

清算期間中の会社については、会計監査は免除されている。駐在員事務所は監査の 対象ではない。

マレーシアの監査基準は国際監査基準と同等である。

ドキュメント内 2020年度版 マレーシア投資ガイド (ページ 70-73)

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