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他士業との業際

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ジェネラリストな士業である弁護士との相関

いわゆる業際(他の士業と業務の性格が似ている、権限の範囲が重なり合う、といったこと から、どの士業が独占的に当該業務を行えるのかという問題)については、弁理士は弁護士、

行政書士との間で課題を抱えています。弁理士が、主たる業務である知的財産の権利化業務以 外に業務範囲を拡大しようとすれば、必ず、業際の問題にぶつかることになります。適材適所 という言葉通り、この業際を越えることができるかどうかは日本の士業のあり方に大きくかかわ る問題です。

まず、弁護士との間の業際問題について概観します。

弁護士との間の業際に関して一番大きな問題は、弁護士があらゆる法律事務に精通した最高 峰のジェネラリストとして位置付けられていることにあります。最高峰のジェネラリストとして 位置付けられていることは、弁護士資格を有していれば、弁理士や税理士として登録が可能で あること(弁護士法3条2項)、また、他の士業において独占業務とされる業務を同じく行うこ とができる(例えば、司法書士の独占業務である不動産登記を代理して行い報酬を得ることは、

弁護士でも行うことができます)ことから明らかです。平成24年7月31日の時点では、9,643人 いる弁理士のうち、363人(3.8%)が弁護士から弁理士に登録するケースでした。

資料:弁理士資格取得別内訳

弁理士登録者数(人) 弁理士全体に占める割合(%)

弁理士試験

9,237 90.8%

特許庁有資格者

566 5.6%

弁護士

365 3.6%

銓衡試験

1 0.0%

その他

1 0.0%

(日本弁理士会HPより、2013年9月30日現在)

資料:拡大する業務と業際の問題

拡大する業務

弁護士の領域

行政書士の領域 従来の

弁理士の業務

これは、弁護士になるに当たり、法解釈の能力が試されている(司法試験)のであり、およ そ法であれば、この能力により適切に業務を行うことができるとされるからです。しかし、弁護 士が弁理士や税理士の登録を行い、弁理士や税理士の業務を行おうとする場合、弁理士や税理 士を取得するための資格試験を受験して合格したわけではないこと、また、資格試験における 受験科目について学習していないことから、能力担保がされていないともいえます(例えば、司 法試験においては、税理士試験で課される「所得税法」については出題がなされない、等)。

このように、弁護士はその能力において疑うところはありませんが、ジェネラリスト故に、知 識や経験という点では特定分野のスペシャリスト(弁理士、税理士、社会保険労務士、等)と 共同して任に当たること、場合によっては全面的に任せた方がよい場面もあるのではないか、

ということを考えなければなりません。

また、司法制度改革の一環として法曹人口の拡大を目指す法科大学院制度が導入されてから は、弁理士資格者が法科大学院を経て弁護士資格者となるという、従前とは逆の流れも目立つ ようになりました。

理科系の素養を持った法曹が増加することは、知的財産権関係事件の強化につながり、国民 への十分な司法サービスの提供を目的とした司法制度改革の流れにも合致し、社会にとってメ リットが大きいといえるでしょう。もちろん、資格者にとっても、弁理士・弁護士両方登録する ことにより、職域が一気に広がることはいうまでもありません。

⑴ 単独侵害訴訟代理の可否

特定侵害訴訟の項でも触れましたが、弁理士が特定侵害訴訟について単独で代理人となるこ とができるかは、今後の課題となっています。弁理士法6条の2第1項においては、「弁護士が同 一の依頼者から受任している事件に限り」代理人となれること、2項では「弁護士とともに出頭 しなければならない」と定められていて、共同代理であることが定められています。3項では「裁 判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができる」とされていますが、「相当と認める とき」とは、争点が技術的な問題に限られている場合であり、弁理士のみの出頭で足りるから、

と考えられているからであり単独代理を認めたものではありません。

これでは従来から可能であった補佐人となんら変わるところがないとして、特定侵害におけ る弁理士の単独代理を求める動きがあります。

現実問題としては、司法試験に合格し司法修習を経て弁護士となった者と比較した場合、訴

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章 他士業との業際

訟遂行という点においてトレーニングが足りず、適切な訴訟遂行が行えないという懸念が日本 弁護士連合会(以下、日弁連)から出されていて、日弁連は弁理士に単独代理権を与えること に強く反発しています。

しかし、弁理士は、審決取消訴訟においては単独代理として訴訟遂行を行っていて、訴訟遂 行に関する実務的な能力は上がってきているのも事実です。また、大きな事件であれば知的財 産権についても理解している弁護士が来ますが、そうでない場合は、知的財産権の知識のない 弁護士が来る場合もあります。そのような場合は、弁理士がリードして訴状を書くこともありま す。そういう状況の中で弁理士は育っていくでしょう。さらに、共同訴訟であっても、代理人と なれることで、判決の代理人の欄に弁理士の名前が入ることとなったため、訴訟の場面におい て弁理士が表に出ることができるようになっているのです。

特定侵害訴訟における弁理士の単独代理は、弁理士による不断の努力の結果として、知的財 産権に関する知識や経験に勝る弁理士に委ねられる日も、遠いことではないでしょう。

⑵ ADRの推進

ADRとは、裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution;ADR)という訴訟手続き によらない紛争解決方法を指します。紛争解決の手続きとしては、「当事者間による交渉」と、「裁 判所による法律に基づいた裁断」とがありますが、ADRは、その中間に位置しています。

ADRは、当事者間での交渉によって紛争が解決できなかった場合にとられる紛争解決手段で あり、以下のような長所があります。①利用者にとっては費用が少なくすむ、②非公開のため プライバシーや社内技術などが外部に漏れるリスクを回避することができ、③訴訟と比べて時 間がかからない、④手続きが裁判のように難しくない、⑤当事者の都合に合わせて日時を決め る事ができる、など当事者の意向に応じて柔軟に対応することが可能であるという点です。また、

実施機関が裁判所に限定されず、他の機関で紛争解決を行うことにより、裁判所にとっても持 ち込まれる紛争が減り、紛争処理に関する負担の軽減につながる、といった面もあります。

知的財産権の事件は技術的専門性が高く、ADRの長所である②や③の点から、弁理士に ADRの代理権が認められるようになりました。

日本弁理士会ではADR推進機構をつくり、ADRのための技術の習熟を目的とした研修を行 うとともにユーザー側にもADRの存在をPRし、新業務の掘り起こしを行っています。

⑶ 日本知的財産仲裁センター=日本弁護士連合会との関係

日本知的財産仲裁センターは、日本弁理士会と日弁連が1998年(平成10年)に工業所有権の 分野での紛争処理を目的として「工業所有権仲裁センター」という名称で設立したADR機関で す。その後、名称を「日本知的財産仲裁センター」に改め業務範囲を工業所有権(産業財産権)

から知的財産権に拡大しています。

この「日本知的財産仲裁センター」に関しては、業際の問題というよりも、弁理士と弁護士 の協働の場面として捉えるべきでしょう。弁理士側としては、知的財産権に関する紛争が、裁 判となると弁護士に、また、商標を扱っていても著作権法の問題となると弁護士に、という流 れの中で、知的財産権は弁理士の業務範囲であるという思いがあり、歴史的な経緯としては、

日本弁理士会だけで仲裁センターの設立の計画がありました。しかし、弁護士法72条(「弁護士 又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件および審査請求、異議申立て、

再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若 しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができな い。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」)との関係

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