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介護者の会による支援に関する質問紙調査の自由記述分析

第1節 はじめに

介護者は要介護者への支援に付随する間接的な利益を受けるに過ぎず、介護者の社会 的排除に関する配慮は見られないという指摘がある(尾之内ら、2010)。また、このよう な介護者支援の考え方では、介護者のニーズに対応しきるのは難しい。

このような状況において、介護者を支援するインフォーマルな社会資源として注目を 集めているのが、介護者による集い(以下、「介護者の会」と記す)である。「介護者の 会」に関する先行研究では、「介護者の会」の機能や参加効果を多様な側面から抽出しそ の有効性を論じているが、介護者が「介護者の会」に果たす機能と「介護者の会」が介 護者に及ぼす影響とそのプロセスは明らかではない。

今回は、介護者に関するアンケート調査(尹2014、第5章)の部分研究として、その 結果を踏まえて、介護者が「介護者の会」に馴染んでいく、そのプロセスを明らかにす ることを目的とした。

第2節 研究方法

1.調査対象者と調査方法

介護者を支援する、NPO法人介護者サポートネットワークセンターアラジンが主催す る「介護者の会」ネットワークに登録している39の「介護者の会」の中、許可が得られ た27の「介護者の会」参加者を対象に、自記式による郵送調査を実施した。調査期間は、

2013年8月1日から9月30日までであった。調査項目は、介護者・要介護者の基本情 報、「介護者の会」について、介護者への支援について等である。なお、248部が回収さ れ、そのうち231部が有効回答であった(有効回収率52.8%)。

2.分析対象および内容

自由記述、「介護者の会」に参加して一番良かったことについてご自由にお書きくださ い」について得られた非定型自由記述回答を分析した。本稿では、この欄に記載のあっ た、現在介護中の人72名と介護終了者71名の記述を分析対象とした。

3.分析方法

自由記述をすべてエクセルに入力した。川喜田(1986)の KJ 法を参考に分析をすす めた。まず、自由記述の回答を全て抽出し、文章または段落ごとにコード化した。収集 したデータから、意味内容の類似性によってコードを集めその集合したコードの本質が 明らかになるまで内容を読み返し解釈した。そして、その文脈を示す表現を考えカテゴ リー化した。次に、導き出されたカテゴリー、サブカテゴリーを意味の関係性により配 置した。分析の全過程は、介護福祉学の研究者と2人でディスカッションしながら、妥

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当性を確認しながらカテゴリーを収束し、精緻化した。

4.倫理的配慮

調査は無記名式で行うこと、協力しない場合に不利益をこうむることは無いこと、得ら れたデータはすべて数字で統計処理し本研究以外の目的では調査結果を使用しないことを 書面にて確認し同意を得た上で実施した。なお、本調査の内容は、東洋大学研究倫理委員 会にて承認を得て行った。

第3節 結果

まず、現在介護中の人と介護終了者をわけて分析を行った。以下、その結果をそれぞれ のべる。

1.現在介護中の人の分析結果

現在介護中の 72 名からの自由記述を分析した結果、【介護に関する客観的な情報】、【理 解してくれる人の存在】、【自分の位置の確認】、【自分の状況をさらけ出す】、【自分の変化 の自覚】、【介護者の会の場の意味】、【経験に基づいた介護に関する主観的な情報】の7つ のカテゴリーが抽出された(表6-1)。

具体的な内容をみてみると、【介護に関する客観的な情報】には、知識の獲得と情報の獲 得という2つのサブカテゴリーが、【経験に基づいた介護に関する主観的な情報】には、経 験談と介護経験者からの助言という2つのサブカテゴリーが、【理解してくれる人の存在】

には、聞いてもらえる、理解してくれる人というサブカテゴリーで構成された。

また、【自分の位置の確認】には、自分より大変な人がいる、ひとりではないというサブ カテゴリーが、【自分の状況をさらけ出す】には、分かち合える、本音が言える、仲間がで きるという3つのサブカテゴリーで構成された。

【自分の変化の自覚】には、見通しがつく、要介護者への理解、介護に対する肯定的な 理解というサブカテゴリーが、【介護者の会の場の意味】には、精神的安定、ホッとできる、

頼れる、解放されるという4つのサブカテゴリーで構成された。

2.介護終了者の分析結果

介護終了者 71 名からの自由記述を分析した結果、【介護に関する客観的な情報】、【理解 してくれる人の存在】、【自分の位置の確認】、【自分の状況をさらけ出す】、【自分の変化の 自覚】、【介護者の会の場の意味】、【経験に基づいた介護に関する主観的な情報】の7つの カテゴリーが抽出された(表6-2)。

具体的な内容をみてみると、【介護に関する客観的な情報】には、知識の獲得と情報の獲 得という2つのサブカテゴリーが、【経験に基づいた介護に関する主観的な情報】には、経 験談と介護経験者からの助言という2つのサブカテゴリーが、【理解してくれる人の存在】

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には、相談できる、聞いてもらえる、理解してくれる人という3つのサブカテゴリーで構 成された。

また、【自分の位置の確認】には、自分より大変な人がいる、ひとりではないという2つ のサブカテゴリーが、【自分の状況をさらけ出す】には、分かち合える、本音が言える、仲 間ができるという3つのサブカテゴリーで構成された。

【自分の変化の自覚】には、見通し、要介護者への理解、視野が広がるというサブカテ ゴリーが、【介護者の会の場の意味】には、精神的安定、安心感、振り返り、社会参加とい う4つのサブカテゴリーで構成された。

<表6-1.介護者の会に参加して一番良かったこと、分析結果:現在介護中の人>

カテゴリ

ー サブカテゴリー コード

介護に関 する客観 的な情報

知識の獲得

(5)

介護について学べる

色々と介護の方法などを学べる 傾聴について学べる

正しい知識を得ることができる 知識を得ることができる

情報の獲得

(7)

情報が受けられる

新しい情報を得ることができる 色んな制度利用のノウハウを得られる 情報が入る

情報を効率よく得ることができる 色んな情報を教えてもらえる

介護に関する情報(介護資源等)が得られる

経験に基 づいた介 護に関す る主観的 な情報

経験談

(9)

介護経験者から経験したことの情報をもらえる 介護先輩から経験した生の話が聞ける

介護をしている経験者からの話を聞くことができる 介護者同士の体験情報交換ができる

体験談を得られる

介護経験者の体験談をきける 他の人の経験談を聞ける 人の話を聞いて参考になる

明るく経験談を話してもらったことを聞ける 介護経験者から

の助言(2)

助言を聞ける

アドバイスしてくれる

84 理解して

くれる人 の存在

聞いてもらえる

(4)

イライラ・うっぷん、不満等をきいてくれる 愚痴を聞いてもらえる

話を聞いてくれる

共通の悩みを理解してもらえる

理解してくれる 人

(5)

信頼できる人と出会える

自分の立場を理解してもらう人ができる 困ったことについて相談できる人が身近にいる 自分の大変さをわかってくれる人がいる 話を聞いていただける人がいる

自分の位 置の確認

自分より大変な 人がいる

(5)

まだまだ大変な人がいると認識できる

私よりもっと手のかかる介護をしている方がいて、私は楽な 方だと思う

自分よりもっと苦労している介護者がいることを知る 自分より人様の方がより大変であることを実感する 自分よりもっと大変な介護をしている人がいると思う

ひとりではない

(11)

自身の考えは特別なものではないと思えた 自分一人苦労しているのではないことがわかった 同じように思っている人がいることで安心感が得られる ひとりではないと思える

自分だけが大変な思いをしているのではないと思えるよう になる

ひとりではないと気付くことができる

同じ思いを抱えている人が近くにいることの安心感が得ら れる

私だけじゃないんだと共感できる

自分だけなのではと思ったことが、皆も同じだということが 分かる

多くの人が苦労の中で介護をしていることを知る

自分は一人ではないんだというホットした気持ちになれる

自分の状 況をさら け出す

分かち合える

(7)

傷みを分け合える

介護者の思いや罪悪感、疲労、頭から離れない感情を共に分 かち合える

同じ境遇の人と話ができる

自分と同じ悩みを持っている人がたくさんいて分かち合え る

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同じ悩みを持つ人同志が交流するので苦労を分かち合える 共感したり思いを共有できる

「介護あるある」が話し合える

本音が言える

(8)

家族にも言えない(子供たちに負担をかけたくない)ことも 言える

とにかく自由に話ができる 感情を思いきり吐き出せる 介護仲間と悩みを率直に話せる 悩みと愚痴を吐露できる機会

介護をしている人ではないと話せない内容も打ち解けて話 すことができる

何でも悩みを話すことができる 自分の思っていることを話せる

仲間ができる

(6)

話し合い仲間ができる 友達になってもらえる 友人ができる

話し相手になってもらえる 介護者の友人ができる

良い仲間として付き合って下さる信頼感がある

自分の変 化の自覚

見通しがつく

(4)

将来どうなるのか、目安がつく これから先の覚悟ができる 将来の心構えができる

認知症の父がこれからどういう状態になっていくのか知る ことができる

要介護者への理 解(2)

自分自身が要介護者へ優しくなる

要介護者に対して以前より優しく接することができる 介護に対する肯

定的な理解がで きる

(4)

プラス思考に変わる

介護に対して前向きに考えるようになる 介護に対する認識が肯定的になる

自分の介護の在り方を客観的に見直すことができる

介護者の 会の場の 意味

精神的安定

(5)

ストレスが解消される 励みの力をもらえる 孤立感が薄れる 精神面で救われる 我慢ができるようになる