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第 6 章 本研究の総合評価と今後の展望

6.4 今後の展望

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ーバとして利用する方式が考えられる.WEBサイトとSSL通信を行う場合,ユーザが 指定または所有するPCを選択してレンダリングサーバとして利用することにより,よ りセキュアな利用環境を実現することが可能となる(図 6.6).また,ユーザの所有す るPCへのアクセスが直接可能になることにより,普段利用しているPCのブックマー クやファイル,その他データにアクセスし,レンダリングサーバで変換することにより,

携帯電話機で利用することが可能となる.

現在では24 時間PCを稼動させるユーザが増えつつあること,BitTorrent[118]など のP2P通信モジュールを搭載した,家庭用NAS(Network-Attached Storage)[119]や ブロードバンドルーター[120]が登場していることから,これらのユーザ向けにサーバー ソフトを配布することや,各種機器にプリインストールすることにより,P2Pによるサ ーバレンダリング処理の普及を促進することが考えられる.

図 6.6 P2Pによる分散レンダリング及びセキュアな通信環境

[121]近く存在し,それ以外にも,独自に定義された形式が多数存在する.PCで利用され るWEBブラウザではこれらの形式の多くをサポートしており,プラグインによるブラ ウザ機能の拡張や,他アプリケーションとの連携により利用(閲覧)することが可能で ある.しかし,携帯電話機のようなモバイルデバイスでは,搭載できるリソースが少な いため,一部のコンテンツ形式にしか対応できず,利用できないコンテンツが多く存在 する.また,より多くのコンテンツ形式をサポートすることによる,端末の肥大化が懸 念される.

しかし,これらのコンテンツ形式の多くは,最終的な人への伝達として,視覚,聴 覚によるものが多く,端末で再生されるメディア媒体としては,静止画,動画,サウン ドの3種類の再生が可能であれば,多くのコンテンツを利用することが可能であると考 えられる.現在利用されている携帯電話機のほとんどは,これら3種類のメディア媒体 を再生する機能をすでに具備しており,サーバ側で端末の持つ再生可能な形式に変換す ることにより,より多くのコンテンツを利用することが可能となる.本研究では,これ らのコンテンツの中で,HTML,画像,PDFの変換による閲覧について検証を行った.

今後,ドキュメントや動画データ,音楽データ等のコンテンツをサーバにより,ク ライアントで再生可能な形式に変換することにより,多くのコンテンツがモバイルデバ イスで利用できると考えられる.

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図 6.7 端末に最適化したコンテンツ変換

6.4.2 今後のサーバ変換によるブラウジング環境

現在,WEB ブラウザによるインターネットアクセスは一般化しており,さまざま なデバイスに搭載されるようになりつつある.また利用者も,PCだけでなく,携帯電 話機やゲーム機,カーナビといったさまざまなデバイスからWEBブラウジングを行う ようになった.しかし,依然としてWEBブラウザは個々の端末に専用アプリケーショ ンとして搭載され,WEBサイトへ直接HTTPによる通信を行うようになっている.こ のため,より多くのデバイスで利用するためには,それぞれにブラウザアプリケーショ ンを実装なくてはならず,利用環境においても,常にオンラインで HTTP が利用でき るネットワーク環境が必要になる.

Resolution Colors Size Format

Codec Uncompress

Exchange Compress split

Range Extract Rendering

Image Image Document Document

Music Music Melody Melody Movie

Movie Web Web

Archive Archive

Other ?

Other

インターネット上に 存在するコンテンツ形式

変換 エンジン 静止画静止画

動画動画

サウンド サウンド

変換

端末が再生可能 なコンテンツ形式

Resolution Colors Size Format

Codec Uncompress

Exchange Compress split

Range Extract Rendering

Image Image Document Document

Music Music Melody Melody Movie

Movie Web Web

Archive Archive

Other ?

Other

インターネット上に 存在するコンテンツ形式

変換 エンジン 静止画静止画

動画動画

サウンド サウンド

変換

端末が再生可能

なコンテンツ形式

図 6.8 サーバ変換型ブラウジング環境の階層

WEB ブラウザの機能をサーバとクライアントに分割し,ブラウザ本体の機能をサ ーバに置くことにより,利用できるクライアントや通信方式,利用シーンに大きな柔軟 性を与えることが可能となる.サーバ側で,クライアント(端末)の持つ機能に変換す ることにより,さまざまな端末のアプリケーションで WEB ブラウジングが可能とな り,通信方式も柔軟に対応できる.また,利用者を特定するためのCookie情報やブッ クマーク,閲覧中のWEBページ,アクセス履歴といったブラウジングに必要な情報が サーバ側で一元化できるため,複数デバイスでの利便性が向上する.さらに,複数のデ バイスやWEBブラウザを平行して利用する(例:テレビでブラウザの画面を見ながら 携帯で操作する)ことや,デバイス間をまたいだ切り替えによる連続した利用(例:

PCでのブラウジング中断し,携帯電話機で続きを行う)こと,複数のユーザでブラウ ザを共有して利用するといった,新たな使い方にも柔軟に対応できる.通信も HTTP に限らず,状況や利用するアプリケーションによって切り替えられる事が望ましい.す でに赤外線通信で WEB ブ ラ ウ ジ ン グ を 行 うパケットゼロ[122]があるが,今後は,

DLNA Digital Living Network Alliance Wi-Fi

ユーザ インタフェース

アプリケーション デバイス 通信 変換サーバ コンテンツ

音声 写真 動画 キーボード

ポインタ 十字キー

静止画 動画 サウンド

フルブラウザ テレビ電話

メール FLASH PDF メディア プレーヤー ソフトフォン

携帯電話 スマートフォン

テレビ ゲーム機 固定電話

PC

カーナビ プリンタ 簡易ブラウザ

HTTP

SMTP

SIP/RTP

DLNA Socket

プロファイル フォーマット変換

コンテンツ変換 レンダリング

エンジン 配信サーバ

WEB メール Stream

プロト コンテンツアクセ

分散処理 ユーザ

インタフェース

アプリケーション デバイス 通信 変換サーバ コンテンツ

音声 写真 動画 キーボード

ポインタ 十字キー

静止画 動画 サウンド

フルブラウザ テレビ電話

メール FLASH PDF メディア プレーヤー ソフトフォン

携帯電話 スマートフォン

テレビ ゲーム機 固定電話

PC

カーナビ プリンタ 簡易ブラウザ

HTTP

SMTP

SIP/RTP

DLNA Socket

プロファイル フォーマット変換

コンテンツ変換 レンダリング

エンジン 配信サーバ

WEB メール Stream

プロト コンテンツアクセ

分散処理

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Bluetooth[125],WUSB(Wireless USB)[126]よる近距離通信による,家電のワイヤレス・

ネットワーク接続の普及が考えられる.

今後,多くの端末やアプリケーション,通信方式,コンテンツ形式が登場する.こ れらの違いをサーバにより吸収することで,より柔軟性に富んだWEBブラウジング環 境を迅速に構築できるようになると考えられる.

本研究では,これらの中で,アプリケーションとして,画像ビューア,テレビ電話,

メールクライアント,通信方式として,HTTP,回線交換,SMTP,コンテンツとして,

HTML,画像,PDFを対象にサーバ変換方式による検証を行ったものである.