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ユーザインタフェースの課題へのアプローチ(スクロール,リンク選択方式)19

第 2 章 モバイル環境のための WEB ブラウジング環境と本研究の狙い

2.5 ブラウザ実装のアプローチと事例

2.5.2 ユーザインタフェースの課題へのアプローチ(スクロール,リンク選択方式)19

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ーリンクの選択方法など,WEBブラウジングに必要な方式についても述べられて いない.

フルブラウザの画面スクロールは,主に前述の PC 型閲覧方式と携帯型閲覧方式が ある.次に,各方式の詳細について考察する.

• PC型閲覧方式

WEB ページのレイアウトは PCと同様にレンダリングされるため,画面サ イズより大きくなる.このため,表示領域を上下左右にスクロールすることに より,ページ全体の閲覧を行う.オリジナルのページレイアウトで閲覧できる ため,特に地図やテレビ番組表のようにレイアウトが重要なページの閲覧に適 している.しかし,ページのスクロール(広がり)が2次元方向となるため,

全体の把握がしにくいことや,文章を読む場合,左右にスクロールさせる必要 があるため,文章が読みにくい問題がある.

• 携帯型閲覧方式

縦方向のみのスクロールに特化し,横へのスクロールは行わない.上下スク ロールのみで閲覧できるため,ページの広がりが1次元となり,全体の把握が しやすく,文章も折り返されて表示されるため読みやすい.しかし,WEB ペ ージのレイアウトが崩れるため,レイアウトが重要なページの閲覧が難しく,

画像データが横幅に合わせてリサイズされるため,大きな画像はつぶれて見え にくくなってしまう問題がある.

(2) リンク選択方式

リンクの選択は,Opera,Scope等では既存の携帯電話機のWEBブラウザに近 い,ページのスクロールとリンクの選択が混在した方式(スクロール混在型選択方 式)と,jig 等では画面中央に表示されたポインタ上に,選択したいリンク部分を スクロールさせて重ねる方式(ポインタ型選択方式)がある.

図 2.12 リンク選択方式の例

ポインタ型選択方式 (SiteSneaker)

スクロール混在型選択方式 (NetFront) ポインタ型選択方式

(SiteSneaker)

スクロール混在型選択方式 (NetFront)

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フルブラウザのリンク選択方式は,主に前述のポインタ型選択方式とスクロール混 在型選択方式がある.次に,各方式の詳細について考察する.

• ポインタ型選択方式

画面中央にポインタがあり,画面をスクロールさせ,選択したいリンク部分 をポインタに重ねることによりリンクの選択を行う.リンクの位置や数に依存 しない画面のスクロールができ,閲覧性が向上する.また,地図データのよう な位置を特定するための選択も可能となる.主にPC型閲覧方式で用いられる.

しかし,PC のようにポインタが移動するのではなく,画面をスクロールさせ てポインタに合わせるため,画面が小さく,スクロールに十字キーを用いる携 帯電話機では,リンクとポインタを合わせにくい問題がある.

• スクロール混在型選択方式

十字キーのクリックにより,リンクがページ上部から下部に向けて,順次選 択される.リンク選択とスクロールが伴うため,リンクの数(密度)によりス クロール速度が変化する.このため,リンクの数が多いとスクロール速度が遅 くなり,十字キーの操作も増えるため,閲覧しにくい問題がある.

2.5.3 利用環境における課題(非同期通信)

通信状況や利用状況が常に変化するモバイル環境では,従来の WEB ブラウザの通 信方式では,作業の中断やオフラインでの閲覧が十分考慮されていない.このため,メ ールを利用した非同期通信により情報を取得する次のような方式がある.

(1) メール変換方式

メールを利用し,非同期に処理結果を受け取るサービスとして,Google モバイ ル検索メール[59],Yahoo!モバメル探[60],ニワンゴ[61]等がある.メールの本文にキ ーワードを記述しサーバに送ると,検索結果のメールが返信される.クライアント 及び通信にメールを使用し,サーバで検索処理を行うため,検索処理中でもクライ アントの処理がブロックされない.また,返信結果はメールとして端末内に保存さ れるため,オフライン時での閲覧が可能である.しかし,これらは検索に特化した 処理しかできず,WEBページの閲覧はできない.

メールによるWEBブラウジング方式として,Agoraサーバ[62]がある.URLを

記述したメールをAgoraサーバに送信すると,該当URLの HTMLデータがテキ ストメールとして Agora サーバから返信される.テキスト形式のメールのため,

画像などのデータは含まれず,WEBページとして閲覧するためには,一旦ファイ ルに保存し,WEBブラウザで閲覧する必要がある.

画 像 を 含 ん だ WEB ペ ー ジ を HTML メ ー ル に よ り 閲 覧 す る 方 式 と し て

WEB2HTML[63]がある.サーバに登録されているURLへ定期的にアクセスを行い,

画像データを含めたWEBページをMIME形式のHTMLメールに変換し,クライ アントに配信する.しかし,あらかじめ登録されたWEBページの配信しかできな いため,インタラクティブなWEBブラウジングができない.

ユーザの多様な嗜好や,位置・時間ユーザ行動などの刻一刻と変化するユーザコ ンテキストに対して,自由にサービスの切替や相互接続を行い,ユーザビリティの 向上を行う研究として,柔軟なインタフェース適応のためのWEBサービスグルー プ管理システム[64]がある.WEBコンテンツ側にあらかじめサービスが記述された メタデータであるオントロジ記述が必要となるため,既存のWEBページの閲覧に は適合できない.

図 2.13 メール変換方式の例

Googleモバイル検索メール Yahoo!モバメル探 ニワンゴ

Googleモバイル検索メール Yahoo!モバメル探 ニワンゴ

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