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井戸型ポテンシャル

ドキュメント内 量子力学A (ページ 44-54)

になる。以上から,反射係数Rと透過係数T

R= |Jr|

|Ji| = |B|2

|A|2 =¯¯

¯¯1−f 1 +f

¯¯¯¯2, T =|Jt|

|Ji| =





|f|¯¯

¯¯ 2 1 +f

¯¯¯¯2, Kが実数の場合 0, Kが純虚数の場合

(5.6)

で与えられる。

まず,非相対論的運動エネルギーに対応するE−mがポテンシャルV0 よりも大きいE > V0+m の場合,K は実数になるからf は正の実数である。したがって0< R <1 であり

R= (1−f

1 +f )2

= 1 4f

(1 +f)2 = 1−T

R+T = 1であるから確率は保存する。E=m+εとし, mÀε > V0 の場合 f =

(E+m)(E−V0−m) (E−m)(E−V0+m) =

(2m+ε)(ε−V0) ε(2m+ε−V0)

ε−V0

ε したがって

R= (

ε−√ ε−V0

√ε+ ε−V0

)2

になり,シュレディンガー方程式の結果を再現する。

次に,E < V0+mに場合,E−mはポテンシャルの壁よりも低いから,非相対論的には透過は起 こらず R = 1 , T = 0 になる。相対論でも, K が純虚数の場合 f も純虚数になるから, (5.6)より R= 1 ,T = 0 である。K が純虚数になる条件は

(E−V0)2−m2<0,V0−m < E < V0+m

V0−m < mの場合,E > mであるからm < E < V0+mのとき全て反射する。これは非相対論か ら予想されることである。一方,斥力のポテンシャルが非常に強くV0>2mの場合,m < V0−m <

E < V0+mではR= 1 ,T = 0であるが,m < E < V0−mではKは実数になり透過が起こる。こ れは非相対論ではありえない。また,m+E−V0<0よりf は負の実数である。したがって,Jt<0, つまり,透過側から入射側に粒子が流入しR >1になる。入射粒子よりも反射粒子の方が多くなる という奇妙な現象が起こる。これをクラインのパラドクスという。E を Kで表すと

−m m 0

V0−m V0+m V0

E E+

E E± =V0±

K2+m2

+ が自由粒子の正エネルギー解, が負エネルギー解に対応す る。V0 >2mの場合, m < E < V0−mに対してはx < 0 の正 エネルギー解と同じエネルギーの“負エネルギー解”

m <

k2+m2=V0

K2+m2< V0−m

が存在するが(右図参照), “正エネルギー解”は存在しない。し たがって, x < 0 での正エネルギー解は x > 0 では“負エネル ギー解”になる。このため奇妙な現象が起こる。

ただし

D±(x) =(

V(x)−E )

である。このとき d dx

F2

D dF1

dx = 1 D

dF2

dx dF1

dx +F2

d dx

1 D

dF1

dx = 1 D

dF2

dx dF1

dx +D+F1F2

1と 2を入れ替えて差をとれば d

dx (F2

D dF1

dx F1

D dF2

dx )

= 0,F2

D dF1

dx F1

D dF2

dx =定数 束縛状態の場合|x| → ∞ではF 0 であるから 定数= 0である。したがって

F2dF1

dx −F1dF2

dx = 0

になるからF2∝F1 であり,シュレディンガー方程式と同様に, 1次元の束縛状態に縮退はない。

V(x) =V(−x)のとき(5.1)よりF(x)が解ならばF(−x)も解である。束縛状態では縮退はない から F(−x) =cF(x) とおける。これからF(x) =cF(−x) =c2F(x) になりc=±1 である。した がって,V(x) =V(−x)の場合,束縛状態のF(x)は偶関数か奇関数になる。(5.2)よりF(x)が偶関

数(奇関数)のときG(x)は奇関数(偶関数)である。F(x)と G(x)ではパリティが逆になる。

束縛状態を扱う場合(5.2)の代わりに

ϕd(x) =−i G(x)χd G(x) = 1 m−V(x) +E

dF

dx , χd =σxχu

とする。これはF(x),G(x)を実数にするためである。

井戸型ポテンシャル

V(x) =



0, |x|> a

−V0, |x|< a

, V0>0 (5.7)

の束縛状態を求める。これは V(x) =V(−x)を満たすから, 束縛状態の F(x),G(x) は偶関数ある いは奇関数になり,x≥0だけを考えれば十分である。x < a では(5.1)は

d2F dx2 +

(

(E+V0)2−m2 )

F = 0 になるから

F(x) =Asin(Kx) +Bcos(Kx), G(x) = K E+V0+m

(

Acos(Kx)−Bsin(Kx) )

ただし

K=√

(E+V0)2−m2 x > aでは V0= 0であるから自由粒子になり

F(x) =Ceq(xa)+Deq(xa), G(x) =− q m+E

(

Ceq(xa)−Deq(xa) )

ただし

q=√

m2−E2

x→ ∞F 0であるためには qは実数でD= 0でなければならない。したがって F(x) =Ceq(xa), G(x) =− q

m+ECeq(xa), ただし E2< m2

である。x=aF(x)G(x)は連続であるから Asin(Ka) +Bcos(Ka) =C , K

m+E+V0

(

Acos(Ka)−Bsin(Ka) )

= q

m+EC 偶関数の場合, A= 0より

Bcos(Ka) =C , K m+E+V0

Bsin(Ka) = q m+E C 両辺の比を取れば

tan(Ka) = q K

m+E+V0

m+E =

(m−E)(E+V0+m)

(m+E)(E+V0−m) (5.8)

である。奇関数ではB = 0より

cot(Ka) = q K

m+E+V0

m+E =

(m−E)(E+V0+m)

(m+E)(E+V0−m) (5.9) になる。

K が純虚数の場合K0 を実数として K=iK0 とおける。これから Ktan(Ka) =K01−e2K0a

1 +e2K0a <0, −Kcot(Ka) =K01 +e2K0a 1−e2K0a <0

−m < E < mより

qm+E+V0

m+E >0

になるから(5.8), (5.9)を満たすためにはK は実数でなければならない。したがって (E+V0)2−m2>0,E > m−V0 または E <−m−V0 E >−mであるから,束縛状態が存在する範囲は

−m < E < m かつ E > m−V0

になる。

−m−V0 m−V0

−V0

−m m 0

E1

E2

0< V0<2mの場合m−V0>−mよりm−V0< E < mで ある。非相対論と同様に,束縛状態のエネルギーはポテンシャ ルの底よりも大きい。一方,V0>2mではm−V0<−mであ るから −m < E < m が束縛状態の存在する範囲になる。非 相対論的に考えればm−V0 < E <−m にも束縛状態が存在 しそうであるが,これは許されない。原因はクラインのパラド クスと同じである。E をK で表すと

E±=−V0±

K2+m2

x < aにおいて振動する“正エネルギー解” E+V0>2mで はE <−mになり得る。E <−mの場合

−V0+√

K2+m2=

m2+k2

を満たす実数 kが存在する。したがって,x > a では振動する負エネルギー解になり束縛状態では ない。V0>2mでもE >−mならば上式を満たす実数kは存在しないから束縛状態である。上図 でE=E2 は束縛状態であるが,E=E1は束縛状態ではない。

下図に(5.8), (5.9)を数値的に解き,EV0の関数として図示した。実線が(5.8),破線線が(5.9) の解である。E のV0依存性,及び固有値の数は定性的にはシュレディンガー方程式と同様である。

シュレディンガー方程式では, V0 を大きくする程,より強く束縛し,V0→ ∞|x|< aに閉じ込め られ,エネルギーは

E−m=−V0+m 2

( 2ma

)2

, n= 1,2,3,· · · になる。一方,ディラック方程式ではE <−2mでは束縛状態ではなくなる。

正エネルギーの連続状態

負エネルギーの連続状態 m

0

−m

1 2 V0/m

mR= 5.0

図に示したように, ある状態が束縛状態であるためには Vmin < V0 < Vmax である。偶関数の場 合, 最小値Vmin は(5.8)で E=mとすると

tan (

a

Vmin2 + 2mVmin )

= 0,Vmin=

m2+

( a

)2

−m=m 2

( ma

)2

+· · · 最大値VmaxE=−mとするとtan

( a

Vmax2 2mVmax

)

= +より

Vmax=

m2+

(2n+ 1 2a π

)2

+m= 2m (

1 +1 4

(2n+ 1 2ma π

)2

+· · · )

同様にして,奇関数の場合は Vmin=

m2+

(2n+ 1 2a π

)2

−m= 1 2m

(2n+ 1 2ma π

)2

+· · ·

Vmax=

m2+

(n+ 1 a π

)2

+m= 2m (

1 +1 4

(n+ 1 ma π

)2

+· · · )

になる。ただしn= 0,1,2, · · · である。

E=m−εとする。0< ε < V0¿mの場合 K=√

(V0−ε)(2m+V0−ε)≈

2m(V0−ε)

(m−E)(E+V0+m) (m+E)(E+V0−m) =

ε(2m+V0−ε) (2m−ε)(V0−ε)

ε V0−ε であるから(5.8), (5.9)は

β =αtanα , β =−αcotα

ただし

α=√

2ma2(V0−ε), β =

2ma2ε , α2+β2= 2ma2V0

になる。したがって,シュレディンガー方程式の結果を再現する。

波動関数 偶関数の場合

F(x) =





Bcos(Kx) Ceq(xa)

G(x) =







K

E+V0+mBsin(Kx)

q

m+ECeq(xa) である。

cos2(Ka) = 1

1 + tan2(Ka) = (m+E)(E+V0−m) 2mV0

であるから

0

dx|F|2= B2 2

(

a+sin(Ka) cos(Ka)

K +cos2(Ka) q

)

= aB2 2

( 1 + 1

2ma

m+E m−E

)

0

dx|G|2= aB2 2

E+V0−m E+V0+m

( 1 + 1

2ma

m−E m+E

)

したがって

−∞

dx

(|F|2+|G|2)

=aB2 (

1 + 1 2ma

m+E

m−E +E+V0−m E+V0+m

( 1 + 1

2ma

m−E m+E

))

= 1 E≈ −mの場合E=−m+εとすると

√a B≈

α

1 +α−2m/V0, ただし α= 2ma2ε になる。tan(Ka)+であるからcos(Ka)0 になるが, 符号を考慮すると

cos(Ka)(1)n α 2ma

V02m V0

, ただし Ka→ (

n+1 2

)

π , n= 0,1, 2,· · · であるから

C

B = cos(Ka)(1)n α 2ma

V02m V0

, K

E+V0+mB≈

V02m V0

B q

m+EC= K

E+V0+mBsin(Ka)(1)n

V02m V0 B ε→0では B, C→0 になるが,C/B∝α∝√

εであるからCB に比べて早く 0に近づく。し たがってE≈ −mでは

F(x)≈



Bcos(Kx) 0

, G(x)≈

V02m V0



sin(Kx) , |x|< a (1)n+1 , x > a

上2成分の波動関数F(x)は|x|< aに閉じ込められるが,下2成分波動関数G(x)は非常に浅く束 縛された状態に対応する。

奇関数の場合

F(x) =





Asin(Kx) Ceq(xa)

G(x) =







K

E+V0+mAcos(Kx)

q

m+ECeq(xa) である。

sin2(Ka) = (m+E)(E+V0−m) 2mV0

であるから

0

dx|F|2=aA2 2

( 1 + 1

2ma

m+E m−E

)

0

dx|G|2=aA2 2

E+V0−m E+V0+m

( 1 + 1

2ma

m−E m+E

)

したがって,規格化条件は偶関数の場合と同じになる。これから E≈ −mのとき

F(x)



Asin(Kx) 0

G(x)≈

V02m V0



cos(Kx) , |x|< a (1)n+1 , x > a になる。

F(x),G(x)の数値計算例を次に示す。実線が

a F(x),破線が

a G(x)である。左側はn= 1の 偶関数,右側はn= 0の奇関数である。

V0/m= 2.3623 E/m=0.9916

0 0.5

0.5

1

x/a

V0/m= 2.1701 E/m=0.9911

0 1

0.5

1

x/a

6 中心力

6.1 動径方向の方程式

ディラック方程式の1つの重要な成果は,原子スペクトルの微細構造を説明したことである。原子 中の電子を扱う場合,負エネルギーの効果を無視してもよい近似であろうから,ディラック海の存在 は無視し,単に1電子のディラック方程式の正エネルギー解だけを扱う。中心力ポテンシャルV(r) , r=|x|の場合,解くべきディラック方程式は(2.13)で=V,A= 0 とした

H ψ(x) =E ψ(x), H =−iα·∇+βm+V(r) である。

交換関係

H が全角運動量 J =L+Σ/2とパリティ演算子 P =γ0P(0) と交換することを示す。軌道角運動 量L=−ix×∇,V(r)と交換するから

[H ,L] =−i[α·∇, L] =−i αk[k,L], k=

∂xk Lx=−ix23+ix32 の場合

[k, Lx] =−i[k, x2]∂3+ i[k, x3]∂2=−i δk23+ i δk32 であるから

[H , Lx] =−α23+α32=×∇)x したがって

[H , L] =α×∇ (6.1)

になる。Σx = 2γ3 = −i γ0γ2γ0γ3 = −i α2α3 であるから Σx, V(r) と交換する。した がって

[H , Σx] =[αk, α2α3]k αkα`= 2δk`−α`αk より

αkα2α3=(

k2−α2αk)

α3= 2δk2α3−α2(

k3−α3αk)

= 2δk2α3k3α2+α2α3αk であるから

[H , Σx] = 2(

α23−α32

)= 2 (α×∇)x つまり

[H ,Σ] = 2α×∇ (6.2)

(6.1)と(6.2)より

[H , J] = 0

である。H は L,Σ とは交換しないがJ =L+Σ/2とは交換する。

P(0)ψ(x) =ψ(−x) , P(0)V(r)ψ(x) =V(r)ψ(x)であるから HP ψ(x) =

(−iα·∇+βm+V(r) )

γ0ψ(−x) =γ0 (

iα·∇+βm+V(r) )

ψ(−x) P Hψ(x) =γ0P(0)

(−iα·∇+βm+V(r) )

ψ(x) =γ0

(−iα·(−∇) +βm+V(r) )

ψ(−x) 任意のスピノールに対して(HP −P H)ψ(x) = 0であるからHP は交換する。

角度部分の分離

H,J2, Jz,P の同時固有関数ψ(x)を2つの2成分スピノール ϕu,ϕd で表して ψ(x) =

( ϕu(x) ϕd(x)

)

(6.3) とする。ディラック表示では

J = (

j 0 0 j

)

, j=L+σ/2, P =γ0P(0)= (

P(0) 0 0 −P(0)

)

であるから

J2ψ=j(j+ 1)ψ , Jzψ=m3ψ , P ψ=η ψ , (η=±1 ) は

j2ϕu=j(j+ 1)ϕu, jzϕu=m3ϕu, P(0)ϕu=η ϕu

j2ϕd=j(j+ 1)ϕd, jzϕd =m3ϕd, P(0)ϕd=−η ϕd

になる。ϕuϕd は異なる軌道パリティの状態である。j2,jz,L2の同時固有関数である2成分ス ピノールをY`jm3(θ, φ)とする:

j2Y`jm3 =j(j+ 1)Y`jm3, jzY`jm3 =m3Y`jm3, L2Y`jm3=`(`+ 1)Y`jm3

Y`jm3 は軌道角運動量の固有関数である球面調和関数 Y`m とスピンの固有関数を合成したもので ある。j が与えられたとき,``±=1/2 の2つの値が可能である。したがって

ϕu(x) =F+(r)Y`+jm3+F(r)Y`jm3

とおける。P(0)Y`jm3 = (1)`Y`jm3 であるから

P(0)ϕu= (1)`+F+(r)Y`+jm3+ (1)`F(r)Y`jm3 = (1)`+ (

F+(r)Y`+jm3−F(r)Y`jm3

)

ϕuP(0) の固有関数であるためには

ϕu(x) =F+(r)Y`+jm3, または ϕu(x) =F(r)Y`jm3

でなければならない。ϕdϕuと逆の軌道パリティであるから ψ(x) =

( ϕu(x) ϕd(x)

)

, ϕu(x) =F(r)

r Y`jm3, ϕd(x) =i G(r)

r Y`0jm3 (6.4) とおける(後での便宜上, 1/r と虚数単位i を取り出した)。ここで

`0=



j−1/2, `=j+ 1/2 のとき j+ 1/2, `=j−1/2 のとき

あるいは `0 =



`−1, j=`−1/2 のとき

`+ 1, j=`+ 1/2 のとき

(6.5)

である。なお,`= 0の場合はj=`−1/2 の状態はない。任意のF(r),G(r)に対してψ(x)J2, Jz, P の同時固有関数である。ϕuϕd の各々は L2 の固有関数であるが, ϕuϕd` は異な るから, ψ(x)L2 の固有関数ではない。非相対論の場合,中心力のハミルトニアンHLと交 換するが, 相対論では中心力の場合でも HL と交換しない。後は H の固有関数になるように F(r),G(r)を決める。

動径方向の微分方程式 ディラック表示では

H =−iα·∇+βm+V(r) = (

m+V(r) −iσ·∇

−iσ·∇ −m+V(r) )

であるから=E ψ

(

m+V(r)−E )

ϕu iσ·∇ϕd= 0 (6.6)

−iσ·∇ϕu(

m−V(r) +E )

ϕd= 0 (6.7)

になる。

σ·x σ·∇=x·∇+iσ·(x×∇) =r∂

∂r σ·L=

∂rr+K , K=1σ·L K を全角運動量j=L+σ/2で表すと

j2=L2+σ2

4 +σ·L=L2+3

4 +σ·L,K=L2j21 4 になる。σ·x σ·x=r2 を使うと

σ·∇ϕu(x) = σ·x

r2 σ·x σ·∇ϕu(x) =σ·x r2

(

∂rr+K )

ϕu(x) である。

ϕu(x) =F(r)

r Y`jm3(θ, φ) とおくと

σ·∇ϕu(x) = σ·x r2

(dF

drY`jm3+F

rKY`jm3

)

になる。ところで

KY`jm3= (

L2j21 4

)

Y`jm3 =κY`jm3

ただし

κ=`(`+ 1)−j(j+ 1)1 4 =



(`+ 1), j=`+12 のとき

` , j=`−12 のとき

= (1)j+`+1/2 (

j+1 2

)

(6.8) であるから

σ·∇ϕu(x) = 1 r

(dF dr +κ

rF(r) )σ·x

r Y`jm3

になる。これを(6.7)に代入すると

−i r

(dF dr +κ

rF(r) )σ·x

r Y`jm3(

m−V(r) +E )

ϕd= 0 σ·xY`jm3/rrに依存しないから

ϕd(x) =−i G(r) r

σ·x r Y`jm3

とおける。これから

dF dr +κ

rF(r)(

m−V(r) +E )

G(r) = 0 である。次に, (6.6)を F(r),G(r)で表すと

(

m+V(r)−E )F(r)

r Y`jm3σ·∇σ·xG(r)

r2 Y`jm3= 0 である。

σ·∇σ·x=∇·x+iσ·(∇×x) = 3 +r∂

∂r +σ·L=

∂rr+ 1−K より

σ·∇σ·xG(r)

r2 Y`jm3= ( d

dr G

r +1−κ r2 G

)

Y`jm3= 1 r

(dG dr −κ

rG )

Y`jm3

になるから

dG dr −κ

rG(r)−(

m+V(r)−E )

F(r) = 0 である。まとめると, 中心力の場合

ψ(x) =



F(r)

r Y`jm3(θ, φ)

−iG(r) r

σ·x

r Y`jm3(θ, φ)



 (6.9)

とおけ,ディラック方程式は dF

dr =−κ rF(r) +

(

m+E−V(r) )

G(r) (6.10)

dG dr = +κ

rG(r) + (

m−E+V(r) )

F(r) (6.11)

になる。これからF(r)G(r)は実関数にできる。なお σ·x

r Y`jm3=− Y`0jm3

が成り立つ。したがって, (6.9)は(6.4)と同じである。

非相対論との比較

E=m+εとすると(6.10)より

G(r) = 1

2m+ε−V(r) (d

dr+κ r

) F(r) これを(6.11)に代入すると

(d dr−κ

r

) 1

2m+ε−V(r) ( d

dr+κ r )

F(r) =

(−ε+V(r) )

F(r) 2mÀ |ε−V(r)|の場合

1 2m

(d dr−κ

r ) ( d

dr+κ r )

F(r)≈(

−ε+V(r) )

F(r)

になる。 (

d dr−κ

r ) ( d

dr +κ r

) F(r) =

(d2

dr2 −κ(κ+ 1) r2

) F(r)

であるから (

1 2m

d2

dr2+κ(κ+ 1)

2mr2 +V(r) )

F(r)≈εF(r)

j=1/2 のどちらにしてもκ(κ+ 1) =`(`+ 1)になるから (

1 2m

d2

dr2 +`(`+ 1)

2mr2 +V(r) )

F(r)≈εF(r)

になり,動径方向のシュレディンガー方程式を再現する。シュレディンガー方程式では固有値は`に だけ依存し j には依存しない。V(r)はスピンに依存しないから, 非相対論的固有値は j に依存し ないことになる。一方, (6.10), (6.11) はκに依存するから, j=`+ 1/2 とj =`−1/2 の相対論的 固有値は一般には異なる。

6.1 次元解析により(6.10)と(6.11)を ~,c を明示した式にせよ。

6.2 Y= σ·x

r Y`jm3 とする。

j2Y=j(j+ 1)Y, jzY=m3Y, P(0)Y= (1)`+1Y

を示せ。したがって,N を比例定数としてY =NY`0jm3 である。|N|= 1を示せ。ただし

π 0

0

sinθY`jm 3Y`jm3 = 1 である。Y`jm3 の具体形を使うとN=1を示せる。

6.3 波動関数の規格化 (6.9)より

d3x ψ(x)ψ(x) =

0

dr (

F2(r) +G2(r) )

を示せ。

ドキュメント内 量子力学A (ページ 44-54)

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