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事業全体の目標

ドキュメント内 平成19年3月13日 (ページ 55-59)

事業の目標は、中間評価(平成 16 年度)までに、熱電変換効率 12%の高効率熱電変換モ ジュールを開発し最終的(平成18 年度)に15%の高効率熱電変換モジュールの目処を確立する ことと、高効率熱電変換モジュールを用いたシステムを実証し実用化技術を確立することである。

熱電変換効率は次式で定義する。熱電変換モジュール両端の温度差は 550℃を基準とし、その 他の温度差のときは換算する。

モジュール放熱量   (%)

量  モジュールの発電電力

量  モジュールの発電電力  

熱電変換効率 

Qmc

Pm

Pm

= +

(図Ⅱ-1参照)

高効率熱電変換システムの開発に当たっては、産業用・民生用それぞれの適用システムごとに 求められる熱電変換モジュールの諸特性は異なる。多方面での高効率熱電変換システムの実用化 を進めるためには以下の観点から複数のモジュールの開発が必要となる。

・ 適用温度レベル(高温度域、カスケード用広温度域、低温度域)毎の効率最適化

・ 形状、寸法の最適化

・ 耐久性を有する素子構造、熱応力緩和技術

・ 低コスト化実現のために熱電変換モジュールの製造プロセス(素子材料創製法・モ ジュールの製法、電極・素子接合技術、実装技術等)の複数の方法の開発

適用熱源の排熱量=システムへの入熱量 Qsh

熱電変換システム モジュールへの入熱量Qmh

熱電変換 モジュール

モジュール 発電電力量:Pm

システム 発電電力量:Ps 電力変換ロス

モジュール放熱量:Qmc モジュール

損失熱量:Qml 熱交換効率:ηhx

=Qmh/Qsh

システム放熱量:Qsc (放熱装置からの放熱) システム

損失熱量:Qsl

(放熱装置以外からの放熱)

モジュール効率:ηm=Pm / (Qmc+Pm) システム効率:ηs=Ps / Qsh

図Ⅱ-1 熱電変換システム概念図と定義

事業目標達成のため、本プロジェクトでは 2010 年までに実用化し、二酸化炭素排出削減に大 きく寄与しうる高効率熱電変換モジュールとして、600℃以下排熱回収用には、

・ 高温域Zn-Sb系/低温域Bi-Te系

・ 高温域Co-Sb系/低温域Bi-Te系

・ 高温域シリサイド系/低温域Bi-Te系の各カスケードモジュール、

300℃以下排熱回収用には、

・ プロジェクターや小規模周辺機器等の低温域排熱利用Bi-Te系モジュール

・ 変圧器等社会インフラ関連機器用の低温域排熱回収Bi-Te系モジュール の開発を行うこととした。

高効率熱電変換モジュールの個別研究開発テーマを表Ⅱ-1に示す。

表Ⅱ-1 高効率熱電変換モジュールの個別研究開発テーマ 高効率熱電変換モジュールの開発

(1)高温域熱電変換モジュール&カスケード型熱電変換モジュール

①高温域Zn-Sb系、低温域Bi-Te系材料を用いたカスケードモジュールの開発

②高温域Co-Sb系、低温域Bi-Te系材料を用いたカスケードモジュールの開発

③高温域シリサイド系、低温域Bi-Te系材料を用いたカスケードモジュールの開発

(2)低温域熱電変換モジュール

①プロジェクター光源等の低温域排熱利用熱電変換モジュールの開発

②低温排熱(変圧器用等)回収熱電変換モジュールの開発

(3)熱電変換モジュール性能評価技術

低温域熱電変換モジュールの性能評価を行う定型 300℃級評価装置と評価技術の開 発、高温域熱電変換モジュール&カスケード型熱電変換モジュールの性能評価を行う 定型700℃級評価装置と評価技術を開発する。

これら世界最高レベルの評価技術を用いて、(財)エンジニアリング振興協会/

(独)産業技術総合研究所は、モジュールの統一的かつ公正な性能評価を行い、当該 性能評価結果を事後評価における達成度評価に供する。(図Ⅱ-2参照)

高効率熱電変換モジュールの個別研究開発テーマの最終目標を表Ⅱ-2に示す。

表Ⅱ-2 高効率熱電変換モジュールの個別研究開発テーマの最終目標 最終目標

分類 高効率熱電変換

モジュール 使用温度域

TH~TL(ΔT)

モジュール 効率[%]

ΔT=550K 相当効率[%]

Zn-Sb/Bi-Te カスケード

450℃~50℃

723K~323K(400K) 11.0 ※15.0

Co-Sb/Bi-Te カスケード

427℃~27

700K~300K(400K) 11.5 ※15.0

(1)

高 温 域 熱 電 変 換 モ ジ ュ ー ル

& カ ス ケ ー ド 型 熱 電 変 換 モ ジュール

シリサイド系/Bi-Te カスケード

580℃~30

853K~303K(550K) ※15.0 ※15.0

Bi-Te 200℃~50

473K~323K(150K) 5.3

(2)

低 温 域 熱 電 変 換モジュール

Bi-Te 130℃~30

403K~303K(100K) ※4.2

※目処をつける

民生及び産業の分野から発生する未利用熱エネルギーを、長期的に亘って効果的に電気エネル ギーに変換する高効率熱電変換システムの開発を行い、その実用化を図る。

具体的には、システム設計及び要素の開発、システム試作、評価と改良及び耐久性確認、実証 試験、経済性を含む総合評価等を行うとともに、熱電変換システムの普及に向けた調査研究を行 う。

高効率熱電変換システムの個別研究開発テーマを表Ⅱ-3に示す。

表Ⅱ-3 高効率熱電変換システムの個別研究開発テーマ 高効率熱電変換システムの開発

(1)産業用熱電変換システム

①抵抗加熱式工業炉用熱電変換システムの開発

②ディーゼルエンジンコージェネレーション向け高効率熱電変換システムの開発

③低温排熱(変圧器用等)回収熱電変換システムの開発

(2)民生用熱電変換システム

①プロジェクター光源等の低温域排熱利用熱電変換システムの開発

(3)熱電変換システム用途調査

①多用な適用に関する分析・まとめ

②コージェネレーションシステム(CGS)の検討

高効率熱電変換システムの個別研究開発テーマの最終目標を表Ⅱ-4に示す。

表Ⅱ-4 高効率熱電変換システムの個別研究開発テーマの最終目標 分類 高効率熱電変換システム 最終目標値

① 抵抗加熱式工業炉用熱 電変換システムの開発

温度差550Kでのモジュール効率15%相当の実現 を前提として、温度差モジュール端温度

600℃[873K]~50℃[323K]の輻射伝熱環境下で、

ユニット効率10%を与えうるユニットを開発す る。

② デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン コージェネレーション 向け高効率熱電変換シ ステムの開発

熱交換器効率 77%

高温源500℃[773K]~低温源50℃[323K]の条件 下で、システム効率4.3% 発電出力 3kW級

(1)産業用

③ 低 温 排 熱 ( 変 圧 器 用 等)回収熱電変換シス テムの開発

社会インフラ関連機器への適用熱電変換システム として、3.0%の目処を確立。コスト面では低温の 排熱回収システム89万円/kW(温度差100℃)

の目処を得る。

(2)民生用

① プロジェクター光源等 の低温域排熱利用熱電 変換システムの開発

高温源150℃[423K]~低温源50℃[323K]の条件下 で、システム効率3.2%

高温源200℃[473K]~低温源50℃[323K]の条件 下で、システム効率4.5%

ユニット:熱電変換システムの最小単位

図Ⅱ-2 および図Ⅱ-3 に、本プロジェクトで開発する高効率熱電変換モジュールの適用温度域 並びに適用する高効率熱電変換システムの関係を示す。

図Ⅱ-2 高効率熱電変換モジュール&システム適用温度域と相互関係

300 400 500 600 700 800 900[K]

Bi-Te

Bi-Te

Co-Sb/Bi-Te

カスケード

Zn-Sb/Bi-Te

カスケード

Silicide/Bi-Te

カスケード

eco21

宇部 コマツ 東芝

ヤマハ

T

h

Cooling Oil

変圧器 プロジェクター コージェネレーション

抵抗加熱式 工業炉

東芝 ヤマハ コマツ

IHI

図Ⅱ-3 高効率熱電変換モジュールと高効率熱電変換システムの適用温度域

ドキュメント内 平成19年3月13日 (ページ 55-59)

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