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近傍星のHR

主系列(Main sequence)星は左 上(高温で明るい領域)から右下 (低温で暗い領域)にのびる帯状 の領域に存在している。その主 系列は半径一定の線から少しだ け傾いており、質量の大きい明 るい主系列星ほど大きな半径を 持つ事を表している。

主系列星は、中心での水素核燃焼によるエネルギー発生率と表面からのエネルギー放出率(Luminosity) とが釣り合っている

L=

M

0

ndMr (1.8.1)

状態の星である。水素核燃焼によるエネルギー発生率nを近似的に

n=0ρTν (1.8.2)

のように表す(CNO-cycleではν 1618)と、(1.8.1)式から粗い近似を使って

L∝ρTνM ∝Mν+2R(ν+3) ≈M18R19 (1.8.3)

の関係が得られる。ここで、ρ∝M R3と静水圧平衡の式と理想気体の関係から得られるT ∝M/Rを 使った。さらに、最後の関係には典型的な値としてν= 16を使った。

さらに、放射によるエネルギーの流れの式(§1.3)から得られる関係

L∝M3 for κ=κel; L∝M5.5R0.5 for κ=κ0ρT3.5 (Kramers opacity) (1.8.4) を(1.8.3)式 と組み合わせると、主系列星に対するMass-Radius関係

R∝M15/19≈M0.8 for κ=κel; R∝M12.5/18.5 ≈M0.7 for κ=κ0ρT3.5 (1.8.5) が得られる。この関係から、主系列星の平均密度はρ∝M R3 ∝M1.4∼−1.1となり、質量の大きい星 ほど平均密度が小さい事が分かる。また、静水圧平衡と理想気体から得られる関係Tc∝M/R からは、

Tc∝M0.2∼−0.3 (1.8.6)

が得られ、中心温度は質量の関数としてゆっくり高くなる。核融合反応率は温度に敏感なので、わずか の温度の上昇でもエネルギー発生率の大きな増加となる。

さらに、mass-radius関係(1.8.5)式を(1.8.4)式に使うと、Kramars 型のopacityをもつ中小質量主 系列星に対してもMass-luminosity関係が決まり主系列星に対して

L∝M3 for κ=κel; L∝M5.1 for κ=κ0ρT3.5 (Kramers opacity) (1.8.40) という関係が得られる。これらの関係は、下図に表された観測的及び理論的関係を説明する。

Hansen et al. (2004)

下の図は1Mと10Mの星のゼロ年令主系列段階の内部構造を比較したものである。この図でmMrと同じ意味を持ち、lLr を表す。a)は密度分布、b)はMrと中心からの距離rの関係、c)は温 度分布、d)は核融合反応による単位質量あたりのエネルギー発生率、e)はLr/Lの分布を表す。

Kippenhahn & Weigert (1991)

b)図から、主系列星では、中心からの距離が全体の半径の半分程度の球に大半の質量が入っている ことが見て取れる。a)図c)図は、質量の大きい主系列星ほど平均密度は小さく、(1.8.6)式が示してい る程度に温度が高いことを示している。

水素燃焼は10Mの星ではエネルギー発生率の温度依存性が大きいCNO-cycle(n T16)によっ て起こり、太陽質量の星では温度依存性のさほど大きくないpp-chain(n∝T4)で起こっているので、

エネルギ−発生率の中心集中度は大質量星のほうが大きい。そのため、10M の主系列星では中心部の 約10%の質量で表面から毎秒放出されるenergy (luminosityL)のほとんどが作られているのに対し、太 陽質量の星では中心部の約30%の質量によって作られている(e図参照)。

次の図は、星の質量(横軸)に対して、内部の対流層の分布がどのように異なっているかを表したも のである。CNO-cycleによるエネルギー発生率は温度依存性が非常に大きいので、大中質量星では中心 に非常に近いところでほとんどのエネルギーがつくられる。(上の図の 0.9L の場所を示す dashed line 参照) そのため、中心部でエネルギーフラックスが大きく、それを輻射でだけで流すには、温度勾配が 急になりすぎるので、対流が発生し、エネルギーがおもに対流によって運ばれている。対流の起こって いる中心部(対流中心核)に含まれる質量は星の質量が大きくなるにつれて大きくなり、50Mではその 70%が対流中心核となっている。

それに対して、小質量星の中心部ではエネルギーは輻射で運ばれるが、外層で対流が起きている。こ れは、小質量星の表面温度が低いことに起因する。opacity は完全電離領域では温度が低い程大きい値 をもち、また温度が1万度程度で水素、数万度でヘリウムの電離のために大きい値を持つ。輻射で運ば れるエネルギーフラックスは温度勾配に比例し、opacity に逆比例するので、小質量星では外層で温度 勾配が急になり、対流が発生するのである。対流外層の質量比は質量が小さくなるほど大きくなり、質 量がM .0.3M の星では星全体が対流平衡となっている。

Kippenhahn & Weigert (1991)

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