(1)中小企業が行う EV、FCV 開発における課題
公道を走行する自動車の製造・販売は、道路運送車両法等の基準をクリアした製品として開発する 必要があります。また、開発・試験・認証・品質・販売・保証・アフターサービス等の多くの業務を ほぼ完璧に実施する必要があります。これを実現するためには「組織・技術・設備・資本」等、解決 すべきハードルがあり、中小企業にとって多くの困難が伴います。
近年のガソリン自動車等から電気自動車への改造が増加しつつあることから、国土交通省では、電 気自動車に改造するに当たって関係する保安基準(自動車の構造基準)、検査等に係る手続き等につ いて、「電気自動車への改造に当たっての留意点」として取りまとめ、公表されています。また、コン バージョン EV は、道路運送車両法関係法令に適合するよう製作することが必須ですが、不特定多数 のユーザーへ販売するといった事業としてコンバージョンが行われることを想定した場合、一層の安 全性・信頼性の確保が必要であるため、一般社団法人電気自動車普及協議会においては、「コンバージ ョン EV のガイドライン」及び協議会会員向けの「コンバージョン EV のガイドライン教本」が作成、
公表されています。
このように、法的な課題に対しては、参考となる資料の整備が進められてきているところです。
〇電気自動車への改造に当たっての留意点
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/denkijidoshanokaizo.pdf
〇コンバージョン EV のガイドライン
https://www.apev.jp/guide/pdf/guideline20110427.pdf
(2)プロジェクトの採択事業者に対するアンケート結果の概要
大阪産 EV 開発プロジェクト、水素インフラ等開発支援プロジェクト、次世代電動車両等開発プロジ ェクトに採択された事業者に対して、「事業の進捗状況・課題・対応策等」、「おおさか地域創造ファンド や広域支援機関に対する意見等」についてアンケートを行いました。その結果の概要は次のとおりです
(注:回答者が特定されないように回答内容を要約しています)。
【事業の進捗状況・課題・対応策等】
○採択年度以降も継続して研究を続け、試作車を完成した。世界的な EV 化の潮流、大手自動車メーカ ーの参入の中で、オンリーワン技術を持たない中小企業は苦戦を強いられることから、オンリーワン 技術に昇華しにくい技術から特化し易い技術に開発の方向性をシフトした。
○事業化を目指し試作を進めてきた結果、着実に事業化に進んでいる。今後の方針は、海外への販売 展開並びにバリエーションの拡充を行っていく。
○コンバート EV を製作し、公的機関に寄贈し公用車として使用してきたが、鉛バッテリー使用によ る性能上の問題等で公用車として使用するには困難が多く、5 年後には廃車した。
○コンバート EV のビジネス展開を目標としたが、コンバート EV の認可が非常に厳しくなった。また、
38 大阪産業の活性化を目指して 1
はじめに
大阪府では、公益財団法人大阪産業振興機構が運営する「おおさか地域創造ファンド」を活用して、
EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、水素インフラ分野における有望な研究・技術シーズを持つも のづくり中小企業やベンチャーを対象に、資金面での助成が行われるとともに、専門的な技術・人材を 有する広域支援機関と連携し、技術的な支援等が行われています。
大阪府立大学研究推進機構次世代電動車両開発研究センター(当初は EV 研究開発センターとして発 足)は、「おおさか地域創造ファンド」の重点プロジェクトにおいて、大阪府知事から、専門人材や事業 実績を有する中核的な機関として「広域支援機関」に認定され、重点プロジェクト事業である大阪産 EV 開発プロジェクト等の採択事業者の支援を行ってきました。
支援した重点プロジェクトは、2010 年度から 2012 度は「大阪産 EV 開発プロジェクト」、2013 年度か らは、2011 年度から大阪商工会議所を広域支援機関として実施されていた「水素インフラ等開発支援プ ロジェクト」を統合するとともに、新たに FCV も対象とした「次世代電動車両等開発プロジェクト」で、
EV 分野及び FCV 分野の関連部品の試作品等の開発やそれに伴う事業に対して、一体的に支援しました。
大阪産 EV 開発プロジェクトがスタートした前年の 2009 年に世界初の量産型 EV「アイ・ミーブ(三菱 自動車)」が発売され、2010 年には、「リーフ(日産自動車)」が日本と北米で発売されました。
当初の EV は走行距離が短いこと、電池が高価なうえに充電に時間がかかり、充電できる場所も限ら れている等の弱点があり、環境性能や加速性能等が評価されながらも普及が進まない状況にありました。
EV と並び実用化が始まった FCV は、2002 年にトヨタ自動車、本田技研工業がリース提供を始め、13 年に及ぶ実証試験、改良を経て、2014 年 12 月にはトヨタ自動車が国内で MIRAI を発売しました。また、
ホンダも 2016 年 3 月からクラリティ・フューエルセルのリース提供を開始し、2017 年度下期から一般 販売される予定と聞いています。国内における FCV の年間生産台数は、2020 年までにトヨタが数千台、
ホンダが数百台の計画であり、水素ステーション等のインフラ整備の進展等にも課題がある状況ですが、
FCV の普及に向け技術情報を公開する等の取り組みも進められています。
しかし、世界の EV、FCV を取り巻く環境は、大きく変化しました。2017 年にフランス、イギリスの両 政府が 2040 年には化石燃料を用いる内燃機関の自動車販売を禁止することを明らかにしました。また、
中国も同様の規制を明らかにしました。この影響は大きく、EV、
FCV への転換に向けてさらに加速されるものと考えられます。
EV、FCV を取り巻く環境が、大きく変化したこの 8 年間に、これ までの 3 つのプロジェクトに採択され、助成及び支援を行った 29 事業者の成果等について、今後の両分野におけるものづくりの参 考とするため、当センターの 8 年間に亘る取り組みについて、総 括的な取りまとめを行いました。
この報告書が、中小企業の柔軟な発想力や独創性、専門分野にお ける技術力等を活かし、EV、FCV 分野への参入の一助になれば幸い
です。 大阪府立大学 研究推進機構
次世代電動車両開発研究センター センター長 森本 茂雄
(工学研究科教授)
38
第3章 中小企業の EV、FCV ビジネス
(1)中小企業が行う EV、FCV 開発における課題
公道を走行する自動車の製造・販売は、道路運送車両法等の基準をクリアした製品として開発する 必要があります。また、開発・試験・認証・品質・販売・保証・アフターサービス等の多くの業務を ほぼ完璧に実施する必要があります。これを実現するためには「組織・技術・設備・資本」等、解決 すべきハードルがあり、中小企業にとって多くの困難が伴います。
近年のガソリン自動車等から電気自動車への改造が増加しつつあることから、国土交通省では、電 気自動車に改造するに当たって関係する保安基準(自動車の構造基準)、検査等に係る手続き等につ いて、「電気自動車への改造に当たっての留意点」として取りまとめ、公表されています。また、コン バージョン EV は、道路運送車両法関係法令に適合するよう製作することが必須ですが、不特定多数 のユーザーへ販売するといった事業としてコンバージョンが行われることを想定した場合、一層の安 全性・信頼性の確保が必要であるため、一般社団法人電気自動車普及協議会においては、「コンバージ ョン EV のガイドライン」及び協議会会員向けの「コンバージョン EV のガイドライン教本」が作成、
公表されています。
このように、法的な課題に対しては、参考となる資料の整備が進められてきているところです。
〇電気自動車への改造に当たっての留意点
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/denkijidoshanokaizo.pdf
〇コンバージョン EV のガイドライン
https://www.apev.jp/guide/pdf/guideline20110427.pdf
(2)プロジェクトの採択事業者に対するアンケート結果の概要
大阪産 EV 開発プロジェクト、水素インフラ等開発支援プロジェクト、次世代電動車両等開発プロジ ェクトに採択された事業者に対して、「事業の進捗状況・課題・対応策等」、「おおさか地域創造ファンド や広域支援機関に対する意見等」についてアンケートを行いました。その結果の概要は次のとおりです
(注:回答者が特定されないように回答内容を要約しています)。
【事業の進捗状況・課題・対応策等】
○採択年度以降も継続して研究を続け、試作車を完成した。世界的な EV 化の潮流、大手自動車メーカ ーの参入の中で、オンリーワン技術を持たない中小企業は苦戦を強いられることから、オンリーワン 技術に昇華しにくい技術から特化し易い技術に開発の方向性をシフトした。
○事業化を目指し試作を進めてきた結果、着実に事業化に進んでいる。今後の方針は、海外への販売 展開並びにバリエーションの拡充を行っていく。
○コンバート EV を製作し、公的機関に寄贈し公用車として使用してきたが、鉛バッテリー使用によ る性能上の問題等で公用車として使用するには困難が多く、5 年後には廃車した。
○コンバート EV のビジネス展開を目標としたが、コンバート EV の認可が非常に厳しくなった。また、
38 大阪産業の活性化を目指して 1
はじめに
大阪府では、公益財団法人大阪産業振興機構が運営する「おおさか地域創造ファンド」を活用して、
EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、水素インフラ分野における有望な研究・技術シーズを持つも のづくり中小企業やベンチャーを対象に、資金面での助成が行われるとともに、専門的な技術・人材を 有する広域支援機関と連携し、技術的な支援等が行われています。
大阪府立大学研究推進機構次世代電動車両開発研究センター(当初は EV 研究開発センターとして発 足)は、「おおさか地域創造ファンド」の重点プロジェクトにおいて、大阪府知事から、専門人材や事業 実績を有する中核的な機関として「広域支援機関」に認定され、重点プロジェクト事業である大阪産 EV 開発プロジェクト等の採択事業者の支援を行ってきました。
支援した重点プロジェクトは、2010 年度から 2012 度は「大阪産 EV 開発プロジェクト」、2013 年度か らは、2011 年度から大阪商工会議所を広域支援機関として実施されていた「水素インフラ等開発支援プ ロジェクト」を統合するとともに、新たに FCV も対象とした「次世代電動車両等開発プロジェクト」で、
EV 分野及び FCV 分野の関連部品の試作品等の開発やそれに伴う事業に対して、一体的に支援しました。
大阪産 EV 開発プロジェクトがスタートした前年の 2009 年に世界初の量産型 EV「アイ・ミーブ(三菱 自動車)」が発売され、2010 年には、「リーフ(日産自動車)」が日本と北米で発売されました。
当初の EV は走行距離が短いこと、電池が高価なうえに充電に時間がかかり、充電できる場所も限ら れている等の弱点があり、環境性能や加速性能等が評価されながらも普及が進まない状況にありました。
EV と並び実用化が始まった FCV は、2002 年にトヨタ自動車、本田技研工業がリース提供を始め、13 年に及ぶ実証試験、改良を経て、2014 年 12 月にはトヨタ自動車が国内で MIRAI を発売しました。また、
ホンダも 2016 年 3 月からクラリティ・フューエルセルのリース提供を開始し、2017 年度下期から一般 販売される予定と聞いています。国内における FCV の年間生産台数は、2020 年までにトヨタが数千台、
ホンダが数百台の計画であり、水素ステーション等のインフラ整備の進展等にも課題がある状況ですが、
FCV の普及に向け技術情報を公開する等の取り組みも進められています。
しかし、世界の EV、FCV を取り巻く環境は、大きく変化しました。2017 年にフランス、イギリスの両 政府が 2040 年には化石燃料を用いる内燃機関の自動車販売を禁止することを明らかにしました。また、
中国も同様の規制を明らかにしました。この影響は大きく、EV、
FCV への転換に向けてさらに加速されるものと考えられます。
EV、FCV を取り巻く環境が、大きく変化したこの 8 年間に、これ までの 3 つのプロジェクトに採択され、助成及び支援を行った 29 事業者の成果等について、今後の両分野におけるものづくりの参 考とするため、当センターの 8 年間に亘る取り組みについて、総 括的な取りまとめを行いました。
この報告書が、中小企業の柔軟な発想力や独創性、専門分野にお ける技術力等を活かし、EV、FCV 分野への参入の一助になれば幸い
です。 大阪府立大学 研究推進機構
次世代電動車両開発研究センター センター長 森本 茂雄
(工学研究科教授)
38
第3章 中小企業の EV、FCV ビジネス
(1)中小企業が行う EV、FCV 開発における課題
公道を走行する自動車の製造・販売は、道路運送車両法等の基準をクリアした製品として開発する 必要があります。また、開発・試験・認証・品質・販売・保証・アフターサービス等の多くの業務を ほぼ完璧に実施する必要があります。これを実現するためには「組織・技術・設備・資本」等、解決 すべきハードルがあり、中小企業にとって多くの困難が伴います。
近年のガソリン自動車等から電気自動車への改造が増加しつつあることから、国土交通省では、電 気自動車に改造するに当たって関係する保安基準(自動車の構造基準)、検査等に係る手続き等につ いて、「電気自動車への改造に当たっての留意点」として取りまとめ、公表されています。また、コン バージョン EV は、道路運送車両法関係法令に適合するよう製作することが必須ですが、不特定多数 のユーザーへ販売するといった事業としてコンバージョンが行われることを想定した場合、一層の安 全性・信頼性の確保が必要であるため、一般社団法人電気自動車普及協議会においては、「コンバージ ョン EV のガイドライン」及び協議会会員向けの「コンバージョン EV のガイドライン教本」が作成、
公表されています。
このように、法的な課題に対しては、参考となる資料の整備が進められてきているところです。
〇電気自動車への改造に当たっての留意点
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/denkijidoshanokaizo.pdf
〇コンバージョン EV のガイドライン
https://www.apev.jp/guide/pdf/guideline20110427.pdf
(2)プロジェクトの採択事業者に対するアンケート結果の概要
大阪産 EV 開発プロジェクト、水素インフラ等開発支援プロジェクト、次世代電動車両等開発プロジ ェクトに採択された事業者に対して、「事業の進捗状況・課題・対応策等」、「おおさか地域創造ファンド や広域支援機関に対する意見等」についてアンケートを行いました。その結果の概要は次のとおりです
(注:回答者が特定されないように回答内容を要約しています)。
【事業の進捗状況・課題・対応策等】
○採択年度以降も継続して研究を続け、試作車を完成した。世界的な EV 化の潮流、大手自動車メーカ ーの参入の中で、オンリーワン技術を持たない中小企業は苦戦を強いられることから、オンリーワン 技術に昇華しにくい技術から特化し易い技術に開発の方向性をシフトした。
○事業化を目指し試作を進めてきた結果、着実に事業化に進んでいる。今後の方針は、海外への販売 展開並びにバリエーションの拡充を行っていく。
○コンバート EV を製作し、公的機関に寄贈し公用車として使用してきたが、鉛バッテリー使用によ る性能上の問題等で公用車として使用するには困難が多く、5 年後には廃車した。
○コンバート EV のビジネス展開を目標としたが、コンバート EV の認可が非常に厳しくなった。また、
大阪産業の活性化を目指して 39
コンバート EV の製作台数も増えないため、コストダウンも進まず経済性の観点からも事業化が困難 である。
○今後は他企業と連携したオープンイノベーション活動で、新規格に合致した超小型 EV の開発を目 指したい。
○コンバート EV については EV 製作を複数受注しており、概ね満足している。EV を生産するためには 大きな資金が必要であり、金銭面でのバックアップがなければ単独では事業化が困難である。そのた め事業化に興味を持っている企業との話し合いを随時行っているが、様々な情勢変化が原因となって、
一般向けの EV を中小企業が生産することは現実的に難しくなっている。
○EV の製作において、電池にリチウムイオンを採用した場合、部品の品質と費用対効果の影響が大き く、リチウムイオンバッテリとバッテリ・マネジメントシステムのメンテナンスの方法を熟知してい ないと保有期間の短縮化となるので、ノウハウの蓄積が必要である。
○大手が製作する本格 EV 市場へ参入するため、コストと品質力のある車載部品製造メーカーとタイ アップする等の対応で、事業化を目指している。
○開発した部品については、これから拡販できるものと考えている。課題は、高度な機能が故に、実 機検証データを増やすことが必要であり、そのために市場での試用の機会を増やし、技術実績を積む 必要があると考えている。
○採択された事業については開発が終了した。課題はあるが、販路拡大に繋げていきたいと考えてい る。
○採択された事業については、量産に適した微細加工と高精度加工の技術難易度が高いこと、中国、
韓国の台頭により、実用化を採り上げる見込みが立たないことにより、検討を中止した。
○当初の計画どおり、試作品を製作することができた。この技術を利用してさらに開発を進め、実証 を進めている。
○試作は完了したが、課題が発生し、試作にて終了となった。その後、他の企業との協業により、本 プロジェクトとは違う製造技術にて製品化を行い、協業先ブランドにて製品化を行った。
○補助金支給対象となった装置については販売を開始し、関西ものづくり新撰に選定される等、技術 力に関する評価は高くなった。
○試作開発の段階は完了したものとし、事業化に向けたユーザー評価のフェイズへと移行している。
国内自動車メーカーに対し、販促活動を展開し、自動車メーカー主体による性能評価を実施している が、現状は正式採用には至らず量産化の目処は立っていない。
○採択された事業により一定の成果は得られたが、認可を取得するためには試験費用等がかかるとこ ろから、助成金及び技術的な支援が不可欠となっている。
○本事業にて開発した部品が使用され、実使用上問題がないことを確認している。
○本プロジェクト事業により、部品を開発した。課題についてはさらに研究開発を進めたい。
○採択された部品の開発については、現在複数の顧客より試作依頼を受けており、製品化に向けて対 応中である。今後の方針、方向性は、顧客より技術課題のフィードバックを受け、適宜開発を実施し ており、合わせて展示会等でも積極的に技術 PR を実施し、新規顧客開拓も行っている。
大阪産業の活性化を目指して 39大阪産業の活性化を目指して 1
はじめに
大阪府では、公益財団法人大阪産業振興機構が運営する「おおさか地域創造ファンド」を活用して、
EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、水素インフラ分野における有望な研究・技術シーズを持つも のづくり中小企業やベンチャーを対象に、資金面での助成が行われるとともに、専門的な技術・人材を 有する広域支援機関と連携し、技術的な支援等が行われています。
大阪府立大学研究推進機構次世代電動車両開発研究センター(当初は EV 研究開発センターとして発 足)は、「おおさか地域創造ファンド」の重点プロジェクトにおいて、大阪府知事から、専門人材や事業 実績を有する中核的な機関として「広域支援機関」に認定され、重点プロジェクト事業である大阪産 EV 開発プロジェクト等の採択事業者の支援を行ってきました。
支援した重点プロジェクトは、2010 年度から 2012 度は「大阪産 EV 開発プロジェクト」、2013 年度か らは、2011 年度から大阪商工会議所を広域支援機関として実施されていた「水素インフラ等開発支援プ ロジェクト」を統合するとともに、新たに FCV も対象とした「次世代電動車両等開発プロジェクト」で、
EV 分野及び FCV 分野の関連部品の試作品等の開発やそれに伴う事業に対して、一体的に支援しました。
大阪産 EV 開発プロジェクトがスタートした前年の 2009 年に世界初の量産型 EV「アイ・ミーブ(三菱 自動車)」が発売され、2010 年には、「リーフ(日産自動車)」が日本と北米で発売されました。
当初の EV は走行距離が短いこと、電池が高価なうえに充電に時間がかかり、充電できる場所も限ら れている等の弱点があり、環境性能や加速性能等が評価されながらも普及が進まない状況にありました。
EV と並び実用化が始まった FCV は、2002 年にトヨタ自動車、本田技研工業がリース提供を始め、13 年に及ぶ実証試験、改良を経て、2014 年 12 月にはトヨタ自動車が国内で MIRAI を発売しました。また、
ホンダも 2016 年 3 月からクラリティ・フューエルセルのリース提供を開始し、2017 年度下期から一般 販売される予定と聞いています。国内における FCV の年間生産台数は、2020 年までにトヨタが数千台、
ホンダが数百台の計画であり、水素ステーション等のインフラ整備の進展等にも課題がある状況ですが、
FCV の普及に向け技術情報を公開する等の取り組みも進められています。
しかし、世界の EV、FCV を取り巻く環境は、大きく変化しました。2017 年にフランス、イギリスの両 政府が 2040 年には化石燃料を用いる内燃機関の自動車販売を禁止することを明らかにしました。また、
中国も同様の規制を明らかにしました。この影響は大きく、EV、
FCV への転換に向けてさらに加速されるものと考えられます。
EV、FCV を取り巻く環境が、大きく変化したこの 8 年間に、これ までの 3 つのプロジェクトに採択され、助成及び支援を行った 29 事業者の成果等について、今後の両分野におけるものづくりの参 考とするため、当センターの 8 年間に亘る取り組みについて、総 括的な取りまとめを行いました。
この報告書が、中小企業の柔軟な発想力や独創性、専門分野にお ける技術力等を活かし、EV、FCV 分野への参入の一助になれば幸い
です。 大阪府立大学 研究推進機構
次世代電動車両開発研究センター センター長 森本 茂雄
(工学研究科教授)