国際協力部教官 亀卦川 健 一
第 めに
日本 中国 地理的ン歴史的に隣国 し 関係 深い。
法制度に い ,7世紀から8世紀ころ,当時の中国 唐 から 国 律令制度を 学び,7 年の大 律令を初め した成文法を制定し,その後,武家政治の 慣習 法 中心 っ 律令制度 形骸化した ,法制度的に 存続し 885年太政官制 廃 止され内閣制に移行するま 国 律令国家 あった。
世紀から2 世紀初頭,いち早く西欧法を取り入れ 近代化 を成し遂 た日本に 対し,遅れ 近代化 に取り組ん 中国 清 日清戦争 8 4年~ 5年 後の 変法運動 に い ,京師大学堂 現在の北京大学 に,日本から岡田朝太郎 刑法 , 松岡義正 民法 ,小河滋次郎 監獄学 ,志田鉀太郎 商法 いった学者を招 ,各 種法典の草案作成 を行い西欧の法制度を手本 した近代的法制度の構築を試 る , 辛 革命によっ 失敗に終わった。
これ ,もちろん現在の法整備支援 全く異 る ,清政府の依頼を日本政府 受け 人選を行い,東京帝国大学教授 あった岡田らを派遣し法典編纂や法曹養成教育に関わ らせたこ ,現在の法整備支援の手法に相通 るもの あり,法整備支援の しり 言 え くも い あろう。
このように法律面に い も交流のあった中国から,2 6年 国に対し 法整備 支援の要請 あり,2 7年 月から 中国民事訴訟法ン仲裁法改善プロジェクト
開始された。
以 にプロジェクトの概要や今後の展望 課題 につい 説明する。
本文中,意見にわたる部分 本職の個人的見解 あるこ をあらか め 断りし く。
第2 民事訴訟法ン仲裁法改善プロジェクトについ プロジェクト開始ま の経緯
(1)
中華人民共和国建国から 年代の 改革ン開放 法整備の関係4 年 月 日に建国された中華人民共和国 以 中国 いう。 に い ,54年憲法の ,初期に 劉少天らを中心に法律の制定 法制の健全化,
適法性 すべ の国家機関や公務員 法律に従っ 事を処理し けれ ら い , も くべ 法 く ら い , 法 あれ 必 これに従わ く ら い の重視 掲 られた ,その後の毛沢東や四人組らによるプロレタリア階級 文化大革命の中 政策 法律の魂 ある し 政治優先の原則 主張され,法律 の整備 遅れ長く社会の混乱 経済の 迷を招いた。
78年3月5日の第5期全国人民代表大会 以 全人代 いう。 第 回 会議に い 78年憲法 採択され,75年憲法 同様に共産党の指導ン地位ン役割 を国家の中心 据えつつ,文革路線からの離脱 四つの現代化 2 世紀中に農業 ン工業ン国防ン科学技術を現代化し社会主義強国を築 あ るこ を目指すため に 民主 法制 の再建強化 うたわれ,その路線を引 82年憲法の 刑事 法を中心 した立法や経済の改革ン開放 進められた。
しかし,都市 農村に ける経済的格差委の拡大,インフレ,官吏の汚職 社会 不正の増大をま , 民主 法制 も遅々 し 進ま かった。
こういった社会情勢に対し ,民主化を求め 集まった市民に対し 人民解放軍 武力弾 を行う いう第2次天安門事件 8 年6月3日 発生し,一層経済 ン社会の停滞を招いた ,これに危機感を抱いた鄧小 による南巡講話 2年 月 8日~2月2 日 を契機に 改革ン開放 再び加速化され,事実上, 市 場経済 年代に導入され いくこ った。
改革ン開放 市場経済 の深化に伴い, 年代に , 年4月民事訴 訟法改正, 6年3月刑事訴訟法改正, 7年3月刑法改正, 年4月行政不服審 査法改正 の改正や, 3年 2月会社法, 4年5月国家賠償法, 4年7月労 働法, 8年 2月証券法 の制定 矢 早に行われた。
憲法も3度改正され, 年第 期全人代第2回会議に 改正した憲法に 依 法治国 いう4字 挿入され, 中華人民共和国 法による国家管理を実行し,社 会主義法治国家を建設する 明確に規定されるにいたった。
,この改正の背景 った 7年 月の中国共産党第
15
期全国大会の政治 報告に い 江沢民 , 依法治国 のための法整備 常に共産党の指導 行われる べ こ や中国の 国情 から出発するこ を強調し り,法整備支援の視点から,中国 単純に欧米や日本 外国の法制や国際標準を導入するつもり いこ に注意 必要 あろう。
(2)
2 年WTO
加盟に伴う法整備中国 ,高度経済成長の維持を目指し ,一層の市場経済化や国際的相互依存の関 係を高めるように り,グローバリゴーションの流れの中 2 年 2月 日 に世界貿易機関 以
WTO
いう。 に加盟した ,それ 加盟国 の間に発生 する紛争 原則 しWTO
の紛争解決手続にした っ 処理されるこ を意味し,すべ の加盟国に求められる 公 合理的 司法審査 を保証するための国内法制 の整備や司法改革 急務 った。
そのため,中国 ,2 年を目途に社会主義市場経済に ける法システムの構 築を国家目標 し 掲 ,
WTO
加盟議定書 要求する2 年ま の段階的 市 場開放に則した新規立法や既存法の改正作業を 続し 実施する予定 ある。また,中国 市場経済化に伴い,様々 民事紛争 激増し いるにもかかわら ,
現行の民事訴訟法 条文 簡略 司法解釈 呼 れる最高人民法院の通達 これを補
っ いるこ や執行ン保全制度 整備され い いこ 多くの問題点をかかえ り,仲裁制度も含め広く民事紛争解決のための法整備 必要 考えられた。
そこ ,第
10
期全人代常務委員会 2 4年から2 8年の任期内に作業 行 われる立法計画76
件を策定し,特に優先度の高い 今期の全人代 審議される法案 第一類59
件の中に,民事訴訟法改正 仲裁法改正を位置 け,殊に民事訴訟法につい,
90
件もの議案を提出し 全面的改正を求めるに至ったこ から,全人代常務委 員会法制工作委員会 ,同議案に い 喫緊の改正課題 された民事執行 再審手続 につい の部分改正を2 7年に行い,さらにそれらを含めた全面改正を今後行う こ した。(3)
日本への法整備支援要請から支援開始まこのよう 状況の ,2 6年6月,民商事法の立法を担当し いる全人代常務 委員会法制工作委員会より,民事訴訟法及び仲裁法の改正につい 日本に対し
JICA
を通 技術協力の要請 された。中国 従前,
GTZ
チイツ やUSAID
アメリカ 民法や知的財産訴訟法の起草改正作業,法曹養成分野 協力支援関係を築い いる ,民事訴訟法につい こ れらの国に支援を求め ,日本に要請をし たの ,中国に 民事訴訟法につい 日本に留学経験を持つ者 少 から り,職権 知主義重視から当事者主義重視へ の転換を成 させた日本の体験 高く評価され いるこ ,中国 法制工作委員会 全人代に法案を提出する際,必 日本,アメリカ,チイツの法制資料を添付する慣 例に っ いるこ に加え,日本の対ベトナムンカンボジア等過去の 押しつけ い対話型 方式を採る法整備支援の実績を中国 評価したため 推察された。
日本に っ も,多数の日本企業 中国に進出し,知的財産権侵害や労務管理 紛争 多発し ら,法律の不備 それに伴ういわゆる 解釈 通達による行政的 裁判,裁判官の汚職,中央 地方の法意識の格差 のために予測困難 法的リスク を っ いる現状 対中投資の 害の つ あり,国際標準に沿った透明性の高く公 利用しやすい民事紛争解決制度,つまり不公正 裁判を行いにくい仕組 を作る こ 中国の裁判制度への信認の改善 あり,対中経済協力計画 2 年 月 閣議決定 に い 改革開放支援 し 市場経済化の担い手 ある民間の活動 を活発化させるために,経済活動を律する法制度の確立 ガバナンス 良い統治 を支援する。 方針 も合致する 考えられた。
そこ ,法務省 外務省,
JICA
協議の上, 者 中国からの要請に対し 積極的に対応し いくこ 合致し,2 7年6月 日から2 日ま の日程 中国に
JICA
社会開発部 現公共政策部 ,法務省民事局,法務総合研究所国際協力部,日本弁護士連合会の関係者から る事前調査団を派遣した。
事前調査団 ,全人代法制工作委員会民法室,最高人民法院,
JETRO
,本田技研工 業,弁護士事務所,中国人民大学,GTZ
を訪問し ヒアリングや協議を行い,そ の結果をも に 中国 民事訴訟法ン仲裁法改善プロジェクト を組 立 ,同年月カゞンターパート る全人代法制工作委員会
JICA
の間 実施協議議事録R
/
D
結 れた。2 プロジェクト概要
(1)
カゞンターパート る全人代法制工作委員会につい中国に対する 民事訴訟法ン仲裁法改善プロジェクト ,全国人民代表大会法制 工作委員会をカゞンターパート し いる。
そもそも中国に い , あらゆる権力 人民に属する いう人民民主主義独 裁 民主集中制 採られ り,全国人民代表大会 最高国家権力機関 ある され る。
全人代 ,国の立法権を行使し,憲法を改正し,憲法の実施を監督し,基本的法律 その他の法律を制定,改正する権限を持つ。
また,国の行政機関,裁判機関,検察機関,軍事機関の責任者を選出,決定する もに罷免する権限を持ち,国の行政機関,裁判機関,検察機関,軍事機関その他の 国家機関を監督し,それらの機関 全人代に対し 監督され報告する義務を っ い る。
国家権力 一体不可分 あり, 権分立 採用され ら ,立法,行政,司法 裁 判 ,検察の四権分業体制 採られ いるこ から司法権の独立 いった概念 直ち に導 出され い。
全人大 定数
3,000
人 ,省,自治区,直轄市,特別行政区,軍隊の選出した代表から構成され り,職業的政治家 い い。
その任期 一期5年 あり,会議 年に 回2週間程度開催されるの 通例 ある
,これ 十分 国家運営 いの ,全人代の常設機関 し 全国人民代表 大会常務委員会 ある。
常務委員会 ,2か月に 回程度開催され,全人代閉会中,代わっ 最高国家権力 ン立法権を行使する。
常務委員会 委員長,副委員長,秘書長,委員から構成され,全人代によっ 選出 され,それに責任を い,活動報告を行う職業的 政治家 ある。
常務委員会 全人代 ほ 同様の権限に加え,憲法ン法律の解釈権,行政法規や地 方法規の取消権,通常の法律の立法権,全人代 制定した基本的法律の改正権ま 有 する強大 機関 あり,その常務委員会に い ,事務機構 し 実際の法案起草
を行っ いるの 法制工作委員会 あり,民事訴訟法 を担当するの 民法室 ある。
(2)
プロジェクト目標ン期間ン成果ン支援体制本プロジェクトに い , 日本を含む国際的 ルール より調和的 効率的 民事訴訟制度ン仲裁制度の整備 進される。 こ をプロジェクト目標 し,さら に 中国に い ,公正かつ効率的 充実した審理に基 く迅速 民事紛争解決制度