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〈対象者〉

53歳 主婦

〈更年 期症状〉

介入前 . Kupperman指数-16点, 主たる症状-神経質, めまい, はきけ 介入後: Kupperman指数- 2点,

〈月経状態〉

閉経前

発症要因について, 生活環境が大きく影響していると医師より言われた. と言うのも子 育てや実母及び義母の介護に追われ, それが一段落着いた時, 突然のめまいに襲われた . 何か病気ではとホームドクターに相談して検査をしたが悪いところは無く, これまでの疲 れと更年期症状の一種でしょうと言われた. 振り返ってみると, 子育てや親の介護から看 取りまでを終えて, 肉体的には開放されたものの必要とされていた自分の存在が消え失せ たような思いにかられ, その時期が丁度, 更年期と重なったためこの ような症状が起きた のかなあと感じている.

更年期症状についての 知識や情報, また更年期症状と運動の関連についての情報も書物 やテレビなどから得ていた. 運動をすること によって精神的な充実感があるし, 運動を し ている間はいろいろな症状を忘れると言っていた友人の言葉も思い出している.

自身の体験を通した更年期症状への対処法については, 長く続けられる趣味を持つこと が大切だと思っている. それは動と静, 個と集団ということを心掛けて選ぶと多くの友 人 に恵まれて充実するのではと感じている. ま た, 更年期症状に関する知識を持ち, 自分だ けで悩まないことも重要と思っている.

101

事例1 0

〈対象者〉

51歳 主婦

〈更年期症状〉

介入前 Kupperman指数-11点, 主たる症状-不眠, 神経質 介入後: Kupperman指数-11点

〈月経状態〉

閉経前

発症要因に ついて, 生活環境と性格が影響していると感じ ている. 家族は4人家族で , 本人, 夫, 子供2人(息子, 娘)であるが子供は独立しており, 現在は2人暮しである. 最 近, 11歳年上の夫が退職し, 1日中家にいることになった. またその時期に子供たちも 独 立するなど家族環境に大きな変化があった. 夫が家にいると外出しづらいこと, また子 供 たちの独立は喜ぶべきことではあるが寂しいと感じることが多くなった. 一方, 性格的 に も楽天的であると思うが物事をきちんとしたい, 特に夫に対してきちんとしているとみら れたい気持ちが強く, ついつい頑張ってしま うことがよくある. 症状がひどい時は医師よ

り処方された薬を使用することもある.

更年期症状についての知識や情報, また更年期症状と運動の関連についての情報も市の 食生活改善に関するボランテイアをしているため, 講演会などでよく聞いていた. 従っ て 更年期の身体の変化を比較的自然に受け入れることができたと思っている.

今回, 運動を始めたき っかけは膝の半月板の手術をして医者より体重を落とすように言 われたことからである. 運動をすることで体 重が減少し大腿部の筋肉の強化されたため階 段の昇降などがとても楽になった. また, 運 動をすることによって疲れるため不眠で悩む ことが少なくなった. また教室を通した仲間ができ精神的にも充実し健康に対して自信が できた.

自身の体験を通した更年期症状への対処法については, 異年齢の友人を持つこと, 一番 身近かな夫と話し合うことが大切だと感じて いる. 年上の友人から更年期障害のことを聞 いていたことで突然の症状に戸惑うこと が少なかった. また症状がひどい時は医師に相談

し1 薬物を上手く利用することも大切だと思っている.

事例1 1

〈対象者〉

54歳 パート勤務

〈更年期症状〉

介入前: Kupperman指数-43点, 主たる症状ーほてりなど多症状あり 介入後: Kupperman指数-43点

〈月経状態〉

閉経後(2年経過)

発症要因について, 性格が強く影響していると感じている. 小さいことにもすぐくよ く よしてしまうこと, また孤独感がたびたびあり涙が出てくることがある. また, 52歳に脳 溢血で他界した実母が更年期障害がひどかったため, 親の年齢を越えるまでは健康面で と ても心配や不安が大きかった. 更年期症状は約1年前が一番ひどく, 最近は徐々に楽になっ てきている. 現在も医師による処方を受けている.

更年期症状についての知識や情報, また更年期症状と運動の関連についての情報もパー ト仲間から得ていた . 運動をすることによって最初は変化が感じられなかったが続けるに つれて徐々に緩和してきたが, それが医師による治療の効果か, 運動の効果かはよくわか

らない.

自身の体験を通した更年期症状への対処法については, 医師に相談したり, 運動を始め たりなどまず自分から行動を起こすことが重要だと感じている. そうすれば自分の納得 の いく道を見つけることができると思っている.

4 )考察

( 1 )インタビューによる「発症要因Jの分析

インタピューによる「発症要 因」について, 表5・6に示した. その結果, I発症 要 因」

については, 生 活環境にあ ると感じてい る者 が最も 多か った. こ れまでの報告(山岡,

1995)と同様に, 夫や子 供 など家族に関することが多く, 親の介 護を1人で背負ってい る ため外出できない状態が何年も続いているいったケースもあった. 心理的 要 因にもこれら の家族問題と関連する内 容があ り, この世代の女性にとって家族問題が身体の 不調に大き

く影響していることが示唆された. また, 本対 象者は専業主婦専業が多いことも影響して いるのかもしれないが, インタビュー中に「専業主婦なのだから, 体調が悪くても家事や 介護をきちんとこなさなくては.

かれたことも印象に残った.

(夫に悪い, 叱られる) Jといった言葉が頻繁に聞

表5-6 インタビューによる「発症要因Jの分析

発症要因 内分泌要因

生活環境要因 8

心理的要因 4

加齢(1) ほてり(1)

内容(対象数)

夫(退職, 単身赴任, 浮気, 不仲) (4) 介護(3)

仕事(1) 子供の独立(5)

健康への不安感(2) 寂家感(1)

完壁主義(1)

( 2 )インタビューによる「更年期症状の知識や情報jの分析

インタビューによる「更年期症状の知識や情報」について, 表5-7に示した. その結果,

症状を自覚する前に, ある程度の知識や情報を持っていた者がほとんどであった. それ ら の情報源は, 自分より年上で更年期症状の経験者である友 人や知人, また書物やテ レ ビ と いったマスコミ関連が多かった, 一方, 医師や看護婦などの医療関係者や講 演 会といった 正確な知識や情報が望める情報源から得ている者は少なかった. さらに, 更年期症状の知 識や情報を持っていなかった者では, 突然の身体の不調に戸惑い, 病院に行って初めて更 年期症状を知ったと述べている. このような ことからも, 更年期世代の健康教育の普及や 充実は重要であることが伺えた.

表5回7 インタビューによる「更年期症状の知識や情報」の分析

報一占月一

肘一刺

nu一h-一 矧一日対

情報源(対象数)

友人, 仕事仲間(5) 一物(4)

テレビ(4) 医療関係者(2) 講演会(1)

無し 1

( 3 )インタビューによる「運動に関連した知識や情報Jの分析

インタビューによる「更年期症状と運動に関連した知識や情報」に ついて, 表5-8に示 した. その結果 更年期症状と運動に関連した知識や情報を持っていたとする者が多か っ たが, その情報源は医療関係者が多かった. これは, 健康診断や他の疾患で病院に行った

際に, 運動は肥満の軽減 , コレステロールの低下及び生活習慣病の予防と合わせて更年期 症状に有効であると聞いたケースがほとんどであ った.

また, 実際に運動教室に参加 したことによる運動の効果の自覚については, 本対 象者の 更年期症状が軽度であ ったことも影響してい ると思われるが, 多くの者が運動によって症 状の軽減を感じていた. 症状別では筋肉や関節痛などの運動神経系症状の軽減を感じた 者 が2名いたが, 大半の者が症状は特定できないものの 運動をすることによ って心身とも に軽くなったり, す っきりすると 感じていた . また 教室に参加することが楽しく生活に

張りができて1日のリズムを作りやすかった, またストレスが解消できたとする者も多かっ た. MaAuley & Rudolph (1995)も, 身体活動は日常生活のスト レスの一種で ある 心 配事から「小休止」の機会を提供している可能性を示唆している. 一方では, 運動による 症状の軽減 が感じられなかった事例もあり, 症状に対する運動の有 効性は個人差が大き い ことも伺えた. 実 際, 総理府の調査(2000) でも 運動をしない理由に「運動が好きで は ないから」と回答した者が12.5%存在した. 前述したように運動による効果 , 特に心理 的な効果は, その人のその運動 に対する認識 や意味が関連する こと (Stephens,1988) も更年期症状への運動の効果に個人差がみられた大きな理由であろう.

表5-8 インタビューによる「運動に関連した知識や情報Jの分析

知識や情報 有り

無し

対象数

3

情報源(対象数)

友人, 仕事仲間(3)

物(3) テレビ(3)

医療関係者(3) 講演会(1)

( 4 )インタビューによる「更年期症状の対処法jの分析

インタビューに よる「更 年期症状 の 対 処法」につ いて ,表5 - 9に示した.その結果,悩 みを話せる人を 持 つこと,運動に限らず打ち 込 め る 何か,例えば文化的 な趣 味 を 持 つこ と によって症状が軽減したり,夫など 家族の理解 によって救われたと感じる者が多く いた.

これまでにも ,生 き が いが更年期症状の程度に影響を与え ることが報告されており(鳩野,

1999 :宮岡,2000) ,家族の理解や行政の支援,さらに は自分自身が積極的にそれらを

求めていくことも重要と考えられ る .さ らに 医師などの医療関係者 から,生 活習慣の改善 や薬物処方など正し い知 識 や 情 報 を得ることは何よりも不可欠であり,その個人 にあっ た 対処法を実践す ること が必要であろう.

表5-9 インタビューによる「更年期症状の対処法Jの分析

対処法(対象数) 打ち込める 趣味(生きがい)を持つ 悩みを話せる友人を持つ

家族(夫,子供)に理解をしてもら う 気分転換を上手くはかる

外出する

サークルにはいる

ストレスをためないようにする

更年期症状に関する 知識や情報を持つ 医師に相談する

規則正しい生活を送る

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