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1.建設業法違反と監督処分

建設業法第 28 条は、建設業を営む者に対する監督処分のうち、指示処分及び 営業停止処分について定めています。罰則が法律上の義務に違反した者に対し、

相当の刑罰または過料を課すことにより法律上の義務違反を一般的に予防しよ うとするのに対し、行政処分として行われる監督処分は、建設業者による一定 の行為について、許可行政局が「指示又は営業の停止、許可の取り消し」等の 行政処分を適格に運用することにより、不適正な者の是正を行い、または不適 格者を建設業から排除することを目的として行われるものです。

国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者が指示処分を受けたのもかかわ らずその指示に従わないときは、その建設業者に対し、1 年以内の期間を定めて その営業の全部又は一部の停止を命ずることができるとされています(建設業 法第 28 条)。また、都道府県知事は、許可を受けないで建設業を営むことので きる者が指示処分を受けたにもかかわらずその指示に従わないときは、1 年以内 の期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができると定められて います。

営業の停止処分は、建設業者等に建設工事の施工に関し、特に不適切な行為 等がありその改善又は是正を求める場合において、行為の内容から判断して指 示処分では十分担保し得ず、一定の期間、建設業の営業を停止することにより、

その改しゅんを促がすことが必要であるとき、又は建設業者が法令に違反した こと等を理由に指示処分を行ったにもかかわらず、その指示に違反し、あるい は指示が徹底しないときに、一定の期間、建設業の営業を停止することにより、

指示内容の遵守、徹底を図ろうとするものです。

指示処分の対象となる不正行為は次のとおりです。

1.建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼし たとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。

2.建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。

3.建設業者(建設業者が法人であるときは、当該法人又はその役員)又は 政令で定める使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法及び これに基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認

不正行為に対する監督処分とは

指示処分

指示処分の対象となる不正行為

められるとき。

4.建設業者が第 22 条の規定(一括下請の禁止)に違反したとき。

5.主任技術者又は監理技術者が工事の施工管理について著しく不適当であ り、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。

6.建設業者が、許可を受けなければならないのに許可を受けずに建設業を 営む者と下請契約を締結したとき。

7.建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が政令 定める金額以上となる下請契約を締結したとき。

8.建設業者が、営業の停止を命ぜられている者、又は営業が禁止されてい る者と下請契約を締結したとき。

平成 23 年6月に建設産業戦略会議において取りまとめられた「建設産業の再 生と発展のための方策 2011」において、「建設産業行政担当部局が、社会保険等 担当部局における加入徹底の取組みと連携して、建設産業の健全な発展を促進 する観点から指導監督していく枠組みが必要である。」との方針が示されました。

これを踏まえ、平成 24 年 11 月以降、社会保険未加入業者に対する指導監督 を実施することとしているため、「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基 準について」(平成 14 年 3 月 28 日国総建第 67 号。以下「基準」という。)につ いて、所要の改正を行うとして、建設業者の不正行為等に対する監督処分の基 準の一部が次のように改正され、平成 24 年 11 月 1 日以降に行われた社会保険 未加入業者の不正行為等について、次の基準により監督処分を行うとしていま す。

(1)役員等が懲役刑に処せられた場合

健康保険、厚生年金保険又は雇用保険法に違反した役員等が懲役刑に 処せられた場合は、7日以上、それ以外の場合で役職員が刑に処せられた ときは3日以上の営業停止処分を行う。

(2)社会保険加入の指示に従わない場合

健康保険法、厚生年金保険又は雇用保険に未加入であり、かつ、保険 担当部局による立入検査を正当な理由がなく複数回拒否する等、再三の 加入指導等に従わず引続き健康保険等に未加入の状態を継続し法令に違 反していることが保険担当部局からの通知により確認された場合は、「指 示処分」とする。指示処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を 行うこととする。この場合において、営業停止期間は、3日以上とする。

社会保険未加入と監督処分

2.違法就労とペナルティー

違法就労とは法規範に反する働き方をいいます。違法就労の典型とされるの が「偽装請負」「偽装派遣」「偽装委託」「労働者供給事業」です。

こうした違法就労が行われる背景には、一般的には国際社会におけるコスト 競争のなかで、競争に打ち勝つために経費のかさむ直用型労働者を雇用せず、

意図的な偽装による請負、労働者派遣、業務委託等の方法を用いてコストを抑 え、低コストで得た労働力を活用することにより社会・労働保険、源泉徴収費 用などの間接費用を削減しようという狙いがあるものと考えられています。

また外部労働力を活用することにより、労働基準法をはじめ社会保険等の労 働関係法の規制の枠からはずれ、企業の負担を可能な限り軽減したいという思 惑もあるとみられています。

しかし、建設業の場合「偽装請負」「偽装派遣」「偽装委託」「労働者供給事業」

に該当する働き方でであっても、従来からの慣習としてそのまま引き継がれ、

違法就労とは知らずに行われている場合もありますので、十分な指導が必要に なります。

建設業法 24 条の6は、特定建設業者に対して、「特定建設業者は建設工事の 施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する 労働者の使用に関する法令で定める基準に下請負人が違反しないように指導に 努めるとともに、違反していると認められるときは、当該下請負人に対してそ の違反の事実を指摘し、是正を求めるよう努めなければならない。」と定めてい ます。そして特定建設業者が、下請負人に対してその違反の是正を求めたにも かかわらず、下請負人が違反している事実を是正しないときは、国土交通大臣

(大臣許可業者)又は都道府県知事(知事許可業者)にその事実について通報 しなければなりません。

こうした違法な就労は、労務に従事する労働者の生活を不安定にするばかり でなく、社会秩序を保つ上からも見過ごすことのできない重要な問題であるこ とから、違法行為に対しては刑事罰を含めた厳罰をもって望むとされています。

《建設業法による罰則》

特定建設業者が、建設業法 24 条の6の規定により下請負人の違反事実を発見 したにもかかわらず、国土交通大臣(大臣許可業者)又は都道府県知事(知事 許可業者)にその事実を通報しなかった場合は、建設業法第 28 条による「指示 処分」の対象となります。

特定建設業者の違反事実の是正及び指導義務

(1)偽装請負

偽装請負とは、契約の形式は請負としながら、請負契約の相手方を注文者が 直接指揮命令して従属的に労働に従事させることを言います。

本来の請負契約は、請負人が注文者から独立して自らの裁量と責任において 仕事を完成させる、いわゆる民法第 632 条による請負人としての働き方でなけ ればならないため、注文者と請負人の間に“注文者が請負人を指揮命令して従 属的に労働に従事させる”という使用従属関係は発生しません。

使用者と労働者との間に指揮命令権が発生するのは「雇用契約」「派遣契約」

「出向契約」のいずれかに該当する契約のみとされています。

労働契約か請負契約かが問題にされるのは、労働基準法その他の法律の適用 を免れるための作為的な脱法行為、あるいは労働・社会保険、税法などの適用 を免れるため意図的に契約を偽る場合が多いためとされています。

偽装請負の判断は、たとえば請負契約書を作成して請負の名称で就労してい たが、その作業の実態は使用者の指揮命令に基づく従属労働による就労と判断 された場合に、形式上の請負契約の注文者が“使用者”とみなされ、請負人と されていた者は指揮命令を受けて労働に従事する“労働者”とみなされます。

偽装問題をめぐって、裁判や行政指導等によって合法か違法かの判断が行わ れる場合には、契約の形式ではなく労働の実態によって判断されることになり ます。

そして違法と判断された場合には、使用者に対して割増賃金の支払が命じら れ、あるいは使用者に刑事罰が課せられることがあります。

偽装請負は、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法、労働安全衛生法等に 抵触し、事業主の責任の所在が曖昧になるばかりでなく、低賃金や割増賃金の 支払いなどの問題を引き起こすことが少なくありません。

また労働安全衛生法等に定める事業主責任の所在が曖昧になれば、必要な措 置が行われないばかりか、死亡事故をはじめとする重篤な労働災害の発生など に対する安全衛生体制の確立、あるいは労働条件の確保などの面で問題が顕著 化すると指摘されています。

このため厚生労働省では、「偽装請負の解消に向けた当面の取組について(平 成 18 年9月4日付基発第 0904001 号・職発第 0904001 号)の通達により、労働

偽装請負とは

偽装請負の判断

違法性がもたらす影響

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