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下水・排水フィジビリティスタディ

ドキュメント内 【FS公開版】5-和_下水要約_old140926_ xdw (ページ 63-88)

5.1 F/S の範囲

F/S 調査の対象としては、C1 処理区の下水道施設とする。C1 処理区は現在の下水道整備区域で あるため、既設施設の改善及び増設を対象とする。既設の下水道はトイレ排水のみを収集するシ ステムであり、家庭雑排水は雨水排水路に無処理で放流されている。また、下水収集はエジェク ターシステムと呼ばれる独特のシステムが採用されている。このシステムは当初 19 世紀に英国に よって導入されたものであり、コンプレッサーの動力は 1960 年代に電力に切り替えられたものの、

エジェクターや圧送管などの施設は当初のものが未だに利用されている。エジェクターシステム は下水処理量 14,775 m3/日を対象に建設されたものであり、2040 年の C1 処理区の汚水量に対し ては能力不足となる。さらに、圧送管は耐用年数をはるかに超えており、内部の腐食や堆積物に ついても状況の把握が困難である。加えて、近年ではエジェクターの部品入手も困難となってい る。このような状況から、管路施設については全面的に新しい管網を建設することとする。なお、

各戸からの取り付けについては現状を調査した結果、トイレ排水および雑排水の取り付けますは 既設のものが利用可能であることが判明したため、それらを利用することとし、それらに接続す る枝管とマンホールを新たに建設することとする。

一方、下水処理場については既設処理施設が長時間ばっきの活性汚泥法により、建設されてい る。これらの施設は供用開始が 2006 年と新しく、現場調査の結果からも、土木構造物については 今後も利用可能であると判断された。機械設備については新規施設の供用開始時点ではすでに耐 用年数を過ぎること、改良施設と増設施設は標準活性汚泥法によることにより、全面的に入れ替 えることとする。したがって、下水処理場については利用可能な施設は最大限利用することとし、

不足部分については増設で対応する。

上記 C1 処理区の下水道施設建設に加え、YCDC から強い要望のあったカンドージ湖の水質汚濁 対策を F/S の対象とする。カンドージ湖はヤンゴン市民の貴重な憩いの場となっており、2012 年 の JICA 世帯訪問調査の結果でもこのことは裏付けられている。カンドージ湖は周辺地区からの家 庭雑排水や湖周辺に位置するレストラン等からの排水により、富栄養化が進み、アオコが水面一 面に発生するといった状況で、水質汚濁が進行している。カンドージ湖は雨季においても水の交 換が期待できないため、栄養塩の蓄積が進んでいると考えられる。したがって、抜本的な水質浄 化を図るには様々な方策を総合的に採る必要がある。カンドージ湖周辺は C2 下水道処理区に含ま れる。C2 処理区は 2040 年までの下水道整備区域に含まれ、さらに優先順位は C1、W1 についで第 3 位と評価された。しかし、M/P による実施計画では C2+E1 処理場の供用開始は 2027 年となって いる。抜本的な水質浄化には下水道整備を待たねばならないが、何らかの対策を講じないと水質 汚濁はますます進行し、貴重な資源を喪失することとなる。F/S では、考え得る対策とそれぞれ の水質改善効果、費用を検討する。

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上下水道改善プログラム協力準備調査 第 5 巻 下水道・排水(要約)

5-2 5.2 カンドージ湖水質改善

計画概要 5.2.1

カンドージ湖の環境改善対策として効果が期待される、遮集管の建設、浄化槽の設置、底泥の 浚渫およびカンドージ湖への導水について、検討を行った。

下記 4 方法の適用可能性を検討した結果、浄化槽および導水には、以下の課題および問題があ ると考えられる。したがって、水質改善の方法として、遮集管および浚渫を採用した。

浄化槽

- 改めて浄化槽を購入する場合、設置者(レストラン)に対し、高額な費用負担が発生す る(窒素・リン除去型で、1,200 万円-3,000 万円)

- 停電に対する対策として、発電機の設置が必要 - 専門技術者による、定期的な点検が必要

- 浄化槽の導入を促進するための補助金の給付制度を定める必要がある - 補助金給付については、その財源を確保する必要がある

導水

- アオコの成長阻害を目的とするには、119MGD の導水量が必要となる - このための水源の確保が必要

- 同時に、大規模な導水施設の建設が必要

これらに対し、遮集管および浚渫は、以下の特徴を持つ。

遮集管

- 口径が小さく、かつ比較的浅深度で設置できる

- このため、工事費用が通常の下水道より低く、また短期間で設置することができる

浚渫

- 機材は一般的な建設工事機材(バックホー、筏など)を利用することができるため、新 規に機材を購入する必要がない

- このため、費用を低く抑えることができる

遮集管 5.2.2

(1) 施設設計条件

遮集管施設設計においては、下記事項を設計条件とした。

1) 遮集対象施設

遮集対象施設は、カンドージ湖に流入している既存排水路のうち、生活雑排水の流入がある排 水路を対象とする。現地調査に基づき対象排水路を選定した結果、5 箇所の既存排水路が対象と なった。(また、遮集管より湖側にあり、直接湖に排水しているレストランも遮集対象とする。)

2) 放流先

遮集された汚水はポンプ施設に流入し、圧送管により放流される。放流先の位置選定は、ポン プ場施設運転に係る維持管理費に影響し、また、放流先には未処理汚水を送水することから、YCDC 職員の確認のもとに、放流先を決定した。

(2) 施設設計

図 S.12 に遮集対象施設、放流先及びポンプ場施設建設予定位置図を示す。

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出典:JICA 調査団

図 S.12 遮集管施設 一般図平面図

底泥の浚渫 5.2.3

(1)

YCDC

所有の浚渫装置による浚渫作業

1) 浚渫装置の能力

YCDC が保有している浚渫装置の能力は、以下のとおりである。

浚渫ポンプ能力 容量:140-170m3/h 揚程:20-28m

2) 必要とされる作業期間

YCDC の浚渫装置を用い、最小限の規模の天日乾燥施設を用いた場合の、必要とされる作業期間 は、以下のように推定される。

必要となる天日乾燥床面積

1 日の浚渫作業で発生する汚泥を処理するための必要面積は、以下のとおりである。

1 日に発生する汚泥量:840m3/日

この汚泥を、深さ 0.6m の天日乾燥床で処理する。必要な乾燥床面積は 1,400m2(約 37m×37m)

となる。

カンドージ湖の汚泥量は、323,749m3と推定される。したがって、カンドージ湖の汚泥を全て処 理するためには、汚泥の天日乾燥処理を 26 サイクル実施する必要がある。

ここで、11 月~5 月の 6 ヶ月間(乾季)のみ作業を行うとすると、カンドージ湖の汚泥処理を 完了させるには、5 回の乾季(5 年)を要すると推定できる。

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5-6 出典:JICA 調査団

図 S.13 天日脱水・乾燥処理サイトの配置図(案)

概算事業費 5.2.4

(1) 建設費

表 S.26 概算事業費(遮集管施設)

非公開情報

非公開情報

(2) 維持管理費

本遮集施設により建設される計画施設を運転・維持管理するために必要な運転・維持管理費を 下表に示す。運転・維持管理費は、人件費、電力費、保守管理費及び遮集管清掃費で構成される。

年間の維持管理費は 17.6 千 USD/年(180 万円/年)となる。

表 S.27 維持管理費(遮集管施設)

項目 金額(千 USD/年)

人件費 1.1

電力費 11.6

保守管理費 4.3

遮集管清掃費 0.3

その他 0.3

合計 17.6

出典:JICA 調査団

経済分析 5.2.5

(1) カンドージ湖の経済効果

次の表はカンドージ湖への一日当たりのタイプ別訪問者数とその支出額の推計である。カンド ージ湖のこれらの施設に直接インタビューを行い、平均利用者数と支出額を推計した。カンドー ジ湖には公園の入場料を払って散策したり、カフェを利用するタイプの訪問者、その他レストラ ン及びホテル利用客がいる。レストラン及びホテルの利用客は入場料を払わずに施設を利用する ことができる。こうした利用者の一日当たり支出額はおよそ、37 百万 Kyat、年間では 130 億 Kyat

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(約 USD15 百万)に達する。これは公園内だけの集計で湖周辺を全て含めるとその経済影響力は 非常に大きなものがある。仮に湖水水質の悪化が訪問客の 10%影響をあたえるとすれば、投資額 に匹敵するだけの経済インパクトを持っていることになる。

表 S.28 カンドージ湖の訪問者および経済効果推計 Category

Number of Visitors (No/day)

Unit Expenditure

(Kyat)

Value (Kyat/day)

Value (Million Kyat/Year)

Park Visitors 2000 300 600,000 219

(Caf Visitors) (800) 2000 1,600,000 584 Restaurants 1300 5000 6,500,000 2,373

Hotel 200 140000 28,000,000 10,220

total 3500 36,700,000 13,396

出典:JICA 調査団

(2) 経済分析

2015 年の一日当たりの訪問者は現在の推計値 3500 人/日を使用する。但し、2015 年の稼働日数 は工事のため,約半年になるのでこの値とする。以後は年率 2%の伸びを設定する。1 人当たりの 便益は訪問者のタイプにかかわらず 300Kyat とする。長い時間湖面に面して過ごすホテル客はこ れよりもかなり高い支払意思額を持つと考えられるが、ここでは保守的に最低限の値を採用する。

プロジェクト期間は完成後 40 年とする。次の表のようにキャッシュフロー表を作成し、経済投資 内部収益率(EIRR)を算出すると、18%という結果が出た。評価結果から投資効率の大変良いプ ロジェクトであると判断することができる。

(3) 財務分析

下水料金

下水料金をカンドージ湖に排出する住民全てから徴収できるかは十分な検討を必要とする問題 である。実際に下水は転流するだけで、環境負荷を社会全体として軽減する訳ではない。ただ、

市民の憩いの場の環境改善という名目はそれなりの説得力を持つことが期待される。排水料金と して、流域住民から USD0.02/m3を徴収すると想定する。これを基に財務キャッシュフローを作製 し、財務投資内部収益率(FIRR)を求めると、1.6%となった。この評価結果は民間でこの事業を 独立採算で運営するのは難しいが、もしも円借款のような低利の融資が可能で、公的機関が運営 するならばこのプロジェクトは事業運営、投資回収が可能であることを示唆している。

カンドージ湖の下水遮集排水による湖の浄化によって最も便益を得るのは中心地区にあって公 園と湖という絶好の環境条件を利用した商業を営む組織である。一番便益を受けている商業組織

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