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HOMO LUMO 選択

2) 一重項の生成確率

σ

/ σ

Polymer 1 / 0.7 Small molecule 1 / 3 r

-1

∝ 1/n ( n :共役長 ) r

-1

= σ

/ σ

ref) M. Wohlgenannt, et. al.,

Phys.Rev.Lett.2002, 88, 197401

図 III.2-1-1-④-1.高分子有機 EL 素子における分子量と発光効率

高い分子量を得る重合法に関しては、上述の重合方法の項でまとめた。

ii) 高い結合エネルギーを有するユニットの探索

一方で、励起状態の結合エネルギー(Binding energy)の大きなユニットを探索することが、高い再 結合確率ひいては高い発光効率を与えると推定される。有機EL素子では、電荷が分子上で再結合し、

励起子を生成した後、発光に至るが、有機EL素子には、非常に高い電界が掛かっている状態であるた

37

め、一旦生成した励起子が、強電界により電荷分離を起こし、発光に関与しない場合が考えられるから である。

結合エネルギーを評価する方法としては、熱刺激電流法(TSC 法)が知られているが、専用の測定系 を構築する必要があり、かつ測定に非常に時間がかかることから、本プロジェクトにおいては、より簡 便な方法として、高分子有機EL素子に逆バイアスを印加したときのPL強度の変化を測定することに よって、結合エネルギーの評価することとした。

通常の有機EL素子では、陰極にマイナス電圧、陽極にプラス電圧を印加するが、本測定では、陰極に プラス電圧、陽極にマイナス電圧を印加する(逆バイアスの印加)。電圧を変えながら、素子の透明 電極側から、励起光(350nm)を照射し、生じる蛍光の強度を測定する。本測定の原理を図 III.2-1-1-④-2 に示した。

励起子のbinding energy等 により割合が変化。

逆バイアス時のPL強度の測定

陽極

陰極

UV

蛍光 電界がない場合

励起状態生成

無輻射失活 PL発光 陽極

陰極

UV

蛍光 電界がない場合

励起状態生成

無輻射失活 PL発光

陽極

陰極

+ UV

逆バイアスの 電界をかけた場合

無輻射失活

励起状態生成

蛍光

PL発光 電荷分離

図 III.2-1-1-④-2.逆バイアス印加時の蛍光強度測定の測定原理(結合エネルギーの評価)

本測定法は、励起光を照射することによって、発光層に励起子を生成させ、この励起子に電界をかけ ることによって、励起子から電子と正孔の電荷分離を生じさせるという、光電変換の原理を適用したも のである。電荷分離を起こした励起子は、蛍光を示さないことから、電界強度を変えることで、PL強 度を変化させることが出来る。結合エネルギーの大きな材料ほど電荷分離を起こしにくく、電界強度に

38 よる蛍光強度の減少の程度が小さいと考えられる。

この測定方法は、結合エネルギーの定量的な評価は出来ないが、材料による結合エネルギーの大きさ の相対比較には、十分適用可能であると考えられる。また、評価に必要な素子は、新たに作成する必要 はなく、通常の材料の有機EL素子評価用に作成した素子をそのまま適用できることから、非常に効率 的に材料が有する結合エネルギーの相対値の比較が可能である。

この測定によって得られた結果を、図 III.2-1-1-④-3 に示した。これは、フルオレン誘導体と芳香 族アミンの共重合体において、芳香族アミン種を変えたときの、逆バイアス印加電圧とそのときに得ら れるPL強度の変化違いを比較したものである。共重合する芳香族アミンによって、PL強度の電圧依 存性が大きく異なることが分かる。このPL強度の変化量の小さいユニットが、結合エネルギーの大き な材料であり、高分子有機EL素子としたときに、高い効率を与えることが予想される。実際、これら の発光材料を用いた場合のEL素子での発光効率(外部量子収率)を表 III.2-1-1-④-1 に示したが、

PL強度の電圧依存性の小さな材料の方が、高効率であることが分かった。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-20 -15

-10 -5

0

逆バイアス(V)

P L 強度相 対値

逆バイアス( PL 強度測定)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

-20 -15

-10 -5

0

逆バイアス(V)

P L 強度相 対値

逆バイアス( PL 強度測定)

▲ ポリマー(アミン1)

◆ ポリマー(アミン2)

■ ポリマー(アミン3)

図 III.2-1-1-④-3.逆バイアス印加時の PL 強度のアミン共重合体による違い

表 III.2-1-1-④-1.アミン共重合を用いた高分子有機 EL 素子の外部量子収率 外部量子収率(%)

ポリマー(アミン1) 2.7 ポリマー(アミン2) 5.0 ポリマー(アミン3) 5.6

39 ロ. 電荷のバランス関する検討

上述したように、正負の電荷のバランスを制御することは、高性能な高分子EL発光材料を得るた めには、非常に重要である。本プロジェクトでは、様々な正孔注入・輸送を与るユニットと電子注入・

輸送に与るユニットの探索を行った。

正孔注入・輸送を担うユニットとして、通常の場合芳香族アミンが用いられる。本プロジェクトで は、種々の芳香族アミンを開発した。

これらのアミンをフルオレンと共重合させ、ユニットとしての正孔注入性を評価した。正孔注入性 は、材料の有するHOMO(最高占有分子軌道)が指標となるが、その測定を光電子分光測定装置(A C2:図 III.2-1-1-④-4)を用いて行った。その結果を表 III.2-1-1-④-2 に示す。探索したユニッ トは5.7~5.1eVのHOMO準位を有することが分かる。

図 III.2-1-1-④-4.光電子分光装置(AC2)

表 III.2-1-1-④-2.フルオレン-アミン共重合体のHOMO-LUMO準位

2.59 2.27

5.18 アミン2

2.67 2.21

5.23 アミン3

2.60 2.24

5.46 アミン8

2.46 2.21

5.51 アミン7

2.57 2.29

5.43 アミン6

2.50 2.18

5.35 アミン5

2.48 2.21

5.30 アミン4

2.34 2.45

5.17 アミン1

LUMO**

LUMO*

HOMO アミン

2.59 2.27

5.18 アミン2

2.67 2.21

5.23 アミン3

2.60 2.24

5.46 アミン8

2.46 2.21

5.51 アミン7

2.57 2.29

5.43 アミン6

2.50 2.18

5.35 アミン5

2.48 2.21

5.30 アミン4

2.34 2.45

5.17 アミン1

LUMO**

LUMO*

HOMO アミン

*HOMOレベルと吸収端から求めたLUMO

**CV法の還元電位から求めたLUMO

40

また、これらのユニットの正孔注入性をより素子に近い状態で比較するために、正孔オンリー素子を 作成し、その電流-電圧曲線から、芳香族アミンの正孔輸送能を評価した。その結果を図

III.2-1-1-④-5 に示す。ここに示す通り、様々な正孔注入性を有するユニットを開発することが出来た。

Hole Only Device ITO/PEDOT/LEP/Au

1.00E-06 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02 1.00E+03

0 50 100 150 200

Electric Field (V/μm)

current density (mA/cm2)

*アミン1を用いた共重合体

■アミン2を用いた共重合体

▲アミン3を用いた共重合体 Hole Only Device

ITO/PEDOT/LEP/Au Hole Only Device ITO/PEDOT/LEP/Au

1.00E-06 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02 1.00E+03

0 50 100 150 200

Electric Field (V/μm)

current density (mA/cm2)

*アミン1を用いた共重合体

■アミン2を用いた共重合体

▲アミン3を用いた共重合体

正孔注入性大

Hole Only Device ITO/PEDOT/LEP/Au

1.00E-06 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02 1.00E+03

0 50 100 150 200

Electric Field (V/μm)

current density (mA/cm2)

*アミン1を用いた共重合体

■アミン2を用いた共重合体

▲アミン3を用いた共重合体 Hole Only Device

ITO/PEDOT/LEP/Au Hole Only Device ITO/PEDOT/LEP/Au

1.00E-06 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02 1.00E+03

0 50 100 150 200

Electric Field (V/μm)

current density (mA/cm2)

*アミン1を用いた共重合体

■アミン2を用いた共重合体

▲アミン3を用いた共重合体

正孔注入性大

図 III.2-1-1-④-5.種々の芳香族アミン共重合体の正孔オンリー素子の電流-電界曲線

また、正孔注入・輸送特性は、ユニットの共重合比率によっても大きく変化させることが可能であ る。図 III.2-1-1-④-6 には、芳香族アミンの共重合比率とタイムオブフライト法によって測定した 正孔の移動度との関係を示した。正孔の移動度は、アミンの組成比によって、10-7~10-3cm/Vs の 4 桁 の範囲で制御できることが分かる。また、移動度は5~10%のところで最低となる。一方で、同じ 共重合体を用いて、通常の発光素子(バイポーラ素子)を作成したところ、正孔の移動度が極小にな った組成比で、最大の発光効率を与えることが分かった(図 III.2-1-1-④-7)。正孔の移動度が発光 効率に強い影響を与えることが分かる。

41

10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3

Hole Mobility (cm2 /Vs)

60 50

40 30 20

10 0

Content of Hole Transoprting Unit (%)

@0.5MV/cm

芳香族アミン組成 移動度最低

正孔移動 度

10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3

Hole Mobility (cm2 /Vs)

60 50

40 30 20

10 0

Content of Hole Transoprting Unit (%)

@0.5MV/cm

芳香族アミン組成 移動度最低

正孔移動 度

図 III.2-1-1-④-6.芳香族アミン誘導体の組成比と移動度(TOF 法)

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.0

Efficiency (cd/A)

50 40

30 20

10 0

Content of Hole Transporting Unit (%)

芳香族アミン組成 効率最大

効率

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.0

Efficiency (cd/A)

50 40

30 20

10 0

Content of Hole Transporting Unit (%)

芳香族アミン組成 効率最大

効率

図 III.2-1-1-④-7.芳香族アミン誘導体の組成比とバイポーラ素子の効率

電子注入・輸送に与るユニットの電子注入・輸送機能は、正孔の評価の場合と同様に、電子オンリ ー素子を作成し、評価した。その結果を図 III.2-1-1-④-8 に示した。

上述の劣化解析の結果から、素子駆動中には電子注入の変化が、素子としての劣化の一つの要因で あることがわかっており、電子注入性の高いユニットを探索していくことは高効率化と同時に長寿命

42 化に対しても非常に重要である。

1.0E-13 1.0E-12 1.0E-11 1.0E-10 1.0E-09 1.0E-08 1.0E-07 1.0E-06 1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02 1.0E-01

0 5 10 15

V(V)

Electroncuurent dendity(mA/cm2)

Electron Only Device Al/LEP/Ba/Al

電子注入性大

1.0E-13 1.0E-12 1.0E-11 1.0E-10 1.0E-09 1.0E-08 1.0E-07 1.0E-06 1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03 1.0E-02 1.0E-01

0 5 10 15

V(V)

Electroncuurent dendity(mA/cm2)

Electron Only Device Al/LEP/Ba/Al

電子注入性大

図 III.2-1-1-④-8.種々の高分子発光材料を用いた電子オンリー素子の電流-電圧曲線

以上のように、それぞれのユニット毎の電荷注入・輸送能を評価し、その組成比依存性から、適切 なユニット適切な比率で組み合わせることにより、電荷のバランスを制御できる可能性が示され、こ の指針に則って材料開発を進めた。

ハ. 高い量子収率を有するユニットの探索

高発光効率の高分子発光材料を得るためには、薄膜状態において本質的に高い量子収率を有する発光 材料を探索する必要がある。そこで、本プロジェクトでは、積分球を用いて合成した種々の高分子発光 材料の薄膜の絶対量子収率を測定した。(図 III.2-1-1-④-9)

本プロジェクトで検討した高分子発光材料は、いずれも、ほぼ50~70%の範囲の量子収率を与えて おり、まだまだ改善の余地があるものの、比較的高い量子収率を有していることが分かった。

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