第 4 章 一過性高強度運動によるリンパ球減少に対する酸化ストレス及びリン
4.2. 一過性高強度運動によるリンパ球減少に対するリンパ球アポトーシ
4.2.2. 方法
4.2.2.1. 対象
対象者は,喫煙・服薬及び運動習慣のない若年健常男性10 名[年齢 23.7±
1.1 歳,身長 170.0±5.8 cm,体重 65.8±9.1 kg,体脂肪率 16.2±4.3 % (平均 値±標準偏差)]とした.対象者には測定前日から測定終了までアルコール・
カフェインの摂取及び激しい運動を控えるように指示した.対象者に対して,
事前に実験の趣旨,実験方法,起こりうる危険性及び参加の任意性について十 分説明し,文書による参加の同意を得た.本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に従 い,且つ筑波大学大学院人間総合科学研究科研究倫理委員会の承認を得て実施 した.
4.2.2.2. 実験デザイン
運動負荷,血液採取とサンプル調整は実験1-1と同様の方法を用いた.
(4.1.2.2.1. 運動負荷,4.1.2.2.2. 血液採取とサンプル調整 参照)
4.2.2.3. 測定項目
4.2.2.3.1. リンパ球数
実験1-1と同様の方法を用いた.(4.1.2.3.1. リンパ球数 参照)
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4.2.2.3.2. リンパ球スーパーオキシド
分離したリンパ球1,000,000 個をRPMIに再浮遊させ,そのうちの495 µlを5 µmol・L-1 dihydroethidium(D23107; Introgen Corp, CA, U.S.A.)5 µlに加えて,37゜
Cで15 分反応させた.反応後,リンパ球はRPMIで洗浄して再び再浮遊させた.
この溶液をフローサイトメーターにて分析し,PREの値を100 %とした相対値を 算出した.
4.2.2.3.3. アポトーシスマーカー
アポトーシス誘導因子であるCD95の測定には全血染色法を用いた.全血染色 法は,先行研究において用いられている方法にしたがって行った.全血100 µl をPE標識抗ヒトCD95モノクローナル抗体(clone 7C11;Immunotech, Marseille,
France)2 µl入りチューブに分注混和し,室温にて15 分間暗所に静置した.さ
らにlysing solution(0.15 mol・L-1 NH4Cl,10 mmol ・L-1 KHCO3,0.1 mmol ・
L-1 EDTA-2Na)1 mlを加えて転倒混和し,さらに室温にして10 分間暗所に静置
した.20 ゜C,3000 rpmで5 分間の遠心後,白塊が沈殿していることを確認し,
上清を取り除き,PBS(0.1 % 胎児血清アルブミン,0.1 % NaN3)1 mlを加えて 洗浄後,上記のPBSを300 µlを加えてFACS用チューブに分注した.
アポトーシスの構造変化を検出するAnnexin Vは,Annexin FITC(Immunotech,
Marseille,France)キット (124)を用いて検出した.アポトーシスの初期段階に おいて,細胞膜の内側に存在するホスファチジルセリン(phosphatidylseline: PS)
が細胞表面上へ露出する.Annexin VはPSに高い親和性を持ち,特異的に結合
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する.本研究ではこの細胞表面上のPSに結合したAnnexin Vを検出することに よってアポトーシスを評価した.分離されたリンパ球はRPMIで洗浄し,3000 rpmで5 分間,遠心して上清を取り除いた.分離したペレットはバインディン グバッファー5 ×106 /ml濃度に調整されて氷上で安置した.Annexin V FITC 1 µl とヨウ化プロピジウム5 µlを濃度調整した100 µlに加えて,氷上,暗所で15 分 間反応させた.リンパ球溶液はバインディングバッファー400 µl を加えて混和 し,FACS用チューブに分注した.
4.2.2.3.4. フローサイトメトリー解析
全てのリンパ球分画の分析はフローサイトメーター(FACSCalibur, Becton Dickinson Immunocytometry System, CA, U.S.A.)で分析した.フローサイトメー ターによってレーザー光を照射し,散乱光及び蛍光を検出した.さらに散乱光 によって細胞の直径及び細胞内部構造を判別しリンパ球を検出した.検出され たリンパ球のみを抽出し,細胞表面に結合した各蛍光抗体の発光限度を蛍光に より検出した.FITC/PE標識 抗ヒトIgGをネガティブコントロールとして用い た.1 サンプルあたりリンパ球10000 個における陰性及び陽性細胞の割合を,
ソフトウェア(Cell Quest, BD Bioscience, U.S.A.)を用いてヒストグラム及びド ットプロットに示し,解析した.リンパ球分画の各細胞の絶対値は,リンパ球 の絶対値(cells/µl)と各分画の陽性細胞率(%)との積を用いて算出した.
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4.2.2.4. 統計処理
全ての統計量は平均値±標準偏差で示した.運動前後の変数の比較には反復 測定の一元配置分散分析を行い,有意水準はP< 0.05を用いた.Post-hocテスト
にはBonferoni/Dunn法の検定を用い,有意水準はP< 0.0033とした.全ての統計
処理には,統計解析ソフトウェアStatView5.0日本語版(SAS Institute Inc,North
Carolina,U.S.A.)を用いた.またP値が0.1 未満で有意な差を示さないものに
ついては効果の大きさを検討するためにCohenのD値 (10)を用いた.