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ワイヤ駆動アームの質量特性

第7章 各アームの安全に関する特性評価

7.2 ワイヤ駆動アームの質量特性

次に4章から6章まで述べてきたアーム機構の質量特性を2章の方法で評価し,可動範 囲における接触時の伝達エネルギーの分布および安全な速度について検証していく.

ワイヤ駆動アームの質量特性の評価は以下の条件において行う.

・手首の3軸分の関節は固定とする.

手先速度への影響が大きい,肩と肘の合計4軸分の関節を動かすものとして行う.

・力の作用点はハンドの先端とする.作用点の並進速度を考える.

今,座標系をFig.7.1のように,DH法で設定し,図のようなリンクパラメータとする.

なお,ベース座標系はθ1 = 0 degの時の第1軸座標系と同一とする.

i [mm] [deg] [mm] [deg]

1 0 0 0

2 -120 90 0 +90

3 0 90 210

4 0 -90 0

Fig.7.1 Link Parameter

第j軸の方向から第j軸の方向への回転行列を とすると,それぞれの回転軸の方向の変換 行列は式(7-1)のように表される.

90

90 90 (7-1)

90

よって各軸の方向ベクトル をベース座標系で表すと,式(7-2)のようになる.

0 0 1

, 0

0 1

, 0 0 1

, 0

0

1 (7-2)

各リンクのベース座標系での慣性テンソル [kgm2]はそれぞれ式(7-3)のように表される.

87 0.00189 0.00098 0.00112

0.00098 0.00197 0.00146 0.00112 0.00146 0.00558

0.00026 0.00011 0.00009 0.00011 0.00028 0.00008 0.00009 0.00008 0.00014

(7-3)

0.00122 0.00006 0.00002 0.00006 0.00135 0.00003 0.00002 0.00003 0.00009 0.03775 0.00122 0.00985

0.00122 0.00228 0.00105 0.00985 0.00105 0.03614

関節軸jからリンクiの重心までのベクトルr は式(3-7)と同様に求まり,3.3節と同様にして 手先位置に関する一般化慣性楕円体が求まる.これよりアーム手先の接触方向の仮想質量 が求まる.Fig.7.2に手先位置における仮想質量最大値の分布を示す.なお,2次元平面上

(ベース座標系のZ-X平面)で傾向を確認するため,アーム姿勢の と は0とし, と を 変えて解析を行った.この分布の平均値をとると,2.29kgとなった.また,この分布を見 ると,手先位置がアーム基部から離れるほど仮想質量が大きくなる傾向があることがわか る.さらに,許容接触エネルギー内での最大速度の分布をFig.7.3(上腕接触を考慮した場合),

Fig.7.4(顔接触を考慮した場合)に示す.なお,Fig.7.3の最大速度の平均値は0.85m/s,また Fig.7.4の最大速度の平均値は0.26m/sであり,目標としていた0.25m/sを達成している.

次にアームの関節速度で評価する.式(2-5)で表される接触許容エネルギーとの比率 を 求めてプロットした結果をFig.7.5,Fig.7.6に示す.Fig.7.5は,上腕接触を基準として可動 範囲にわたって 1となる関節速度 78deg/s , , , 78deg/s)を総当りで求め,この 速度条件のもとで をプロットしたものである.また,Fig.7.6は,顔接触を基準として可 動範囲にわたって 1となる関節速度 30deg/s , , , 30deg/s)を総当り的に求め,

この速度条件のもとで をプロットしたものである.この関節速度以内で動作させれば,そ れぞれの接触許容エネルギー以下でアームを駆動できることになる.また,エネルギーの 分布を見ると,θ2軸から離れるにしたがってエネルギーは大きくなっており,さらにθ1

軸線上から離れるにしたがってエネルギーが大きくなっている.関節構成がモータ関節配 置型アームと似ているため,似たような分布の傾向となっている.

3章で述べたモータ関節配置型アームと比較した表をTable 7.1に示す.またグラフにし たものをFig.7.7に示す.この結果より,ワイヤ駆動アームのほうが,仮想質量を約64%に 低減でき,約1.5~1.7倍の速度で駆動できることがわかり,質量特性の向上度合がわかる.

Fig.7.8に各機構の効果とそれによる安全性を考慮した特性向上結果の関係を示す.各機 構の効果により,質量の低減,モータの低出力化,構造の小型化が図られ,その結果,本 節で述べたような安全性を考慮した特性の向上が見られた.代表的なものとして,仮想質 量は基準アームと比較して,-36%,顔を考慮した接触許容速度は +73%となっている.

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Fig.7.2 Virtual Mass (Average 2.29kg)

Fig.7.3 Max Velocity (upperarm, Average 0.85m/s) Fig.7.4 Max Velocity (face, Average 0.26m/s)

Fig.7.5 Evaluation result (upper arm) Fig.7.6 Evaluation result (face)

θ1=0deg, -210deg<θ2<0deg, θ3=0deg,

-120deg<θ4<0deg,

78deg/s , , , 78deg/s

θ1=0deg, -210deg<θ2<0deg, θ3=0deg, -120deg<θ4<0deg,

30deg/s , , , 30deg/s

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Table 7.2 Simulation Result

仮想質量平均 平均接触許容手先速度 接触許容関節速度 上腕基準 顔基準 上腕基準 顔基準 モータ関節配置型

アーム(基準) 3.57 kg 0.58 m/s 0.15 m/s 52 deg/s 20 deg/s ワイヤ駆動アーム 2.29 kg 0.85 m/s 0.26 m/s 78 deg/s 30 deg/s 基準からの比率 64 % 149 % 173 % 156 % 157 %

Fig.7.7 Simulation Result

Fig.7.8 Features of the mechanism and its effect 3.57

2.29

モータ関節配置型 アーム(基準)

ワイヤ駆動 アーム 仮想質量平均[kg]

0.58

0.15 0.85

0.26

上腕基準 顔基準

平均接触許容手先速度[m/s]

モータ関節配置型 アーム(基準)

ワイヤ駆動 アーム

52

20 78

30

上腕基準 顔基準

接触許容関節速度[deg/s]

モータ関節配置型 アーム(基準)

ワイヤ駆動 アーム

仮想質量平均 -36%

許容速度(顔) +73%

・ワイヤ経路の工夫、

ワイヤ自由度配置、

絞り機構

・張力自動調整機構

・オフセット関節

質量の低減

モータ低出力化 構造の小型化

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