全米における主要病院等に関する調査
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4 リテールクリニック概要
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利用者が、様々な医療機関の中からリテールクリニックを選んで利用する理由として挙げるの は、立地の便利さ、診療時間、アポ無しである点である。保険に加入していない低所得層は、低 費用で済むことを理由にリテールクリニックを利用しており、セイフティーネットにもなってい る。
ほとんどのリテールクリニックでは、民間保険やメディケアを受け付けており、60%がメディ ケイドを受け付けている。利用者は高所得層や子持ち世帯が多い。こうした特徴は、郊外の商業 施設というリテールクリニックの立地を反映している面がある64。
RAND によれば、リテールクリニック利用者延べ 130 万人のうち、18~44 歳の利用が 43%を 占める。一方家庭医にかかる同割合は 23%である。また。かかりつけ医がなく、健康保険でカバ ーされていない患者が多い傾向がある。一方で高齢者のリテールクリニック利用が最近増加傾向 にあり、2000~2006年には患者全体の7.5%を占めていたのに対し2007~2009年には14.7%とな った65。
リテールクリニックの大半は、薬局と大手小売業者により所有されているが、それぞれが異な る運営モデルを持っている66。しかし、いずれも、リテールクリニックの担い手となっているの は、NPや PAであり、リテールクリニックの現場で活動するのにふさわしい能力がある。しかし、
NP と PA については、州毎にライセンス取得に異なる規則があることが6768、リテールクリニッ クを全米に拡大する上で障壁となっている。2012年時点で、18州とコロンビア特別区においては、
NP による医師抜きでの診断、治療、薬の処方が認められているが、32 州ではそのいずれかある いはすべてについて医師の関与が必要とされている。
例えば、ワシントン州の場合には、NPが医師抜きで独力の治療をすることが許されている。し かし、アラバマ州では、NPによる治療に際して、医師がNPの治療時間の少なくとも10%につい てその場にいなければならず、治療現場を四半期に一度は訪問しなければならない。NPが実施可 能な治療の範囲については、17 の州で、看護師資格や薬剤師資格の認定機関による規制を求めて いる。
64 Robert Wood Johnson Foundation, "Building a Culture of Health, The Value Proposition of Retail Clinics", April 2015, pp.6
https://www.manatt.com/uploadedFiles/Content/5_Insights/White_Papers/Retail_Clinic_RWJF.pdf
65 http://www.rand.org/health/feature/retail-clinics.html Who uses retail clinicsの解答
66 Robert Wood Johnson Foundation, "Building a Culture of Health, The Value Proposition of Retail Clinics", April 2015, pp.8
https://www.manatt.com/uploadedFiles/Content/5_Insights/White_Papers/Retail_Clinic_RWJF.pdf
67 http://www.ccaclinics.org/images/Documents/NPPracticeRegulationsChart_July2014.pdf
68 http://www.ccaclinics.org/images/Documents/PAPracticeinRetailClinicsChart.pdf
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すべての PA は医師の監督下で治療に当たらねばならない。11 州では、1 人の医師が監督に当 たれるPAの人数に制限を設けていない。その他の州では、医師が監督できるPAの人数に制限を 設けている。ミシシッピ州では医師1人当たり PAは 2人(NPについても 2人)まで、テキサス 州では同7人までと、各州によって異なる69。
69 Robert Wood Johnson Foundation, "Building a Culture of Health, The Value Proposition of Retail Clinics", April 2015, pp.12
https://www.manatt.com/uploadedFiles/Content/5_Insights/White_Papers/Retail_Clinic_RWJF.pdf
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図表 12: 全米各州のリテールクリニック(2016年)
出典: RAND70
リテールクリニックの特徴は「立地」にある。リテールクリニックは薬局や大規模小売店の中 にあることから、1 ヶ所で買い物もついでに済ませることができ、非常に利便性が高い。Walmart の全米での 1週間の来店者は 1億4,000万人に上る。米国の上位 25薬局チェーンの店舗数は2万
8,000店に達する。全米最大の薬局チェーンWalgreensの1日当たりの来店者数は630万人であり、
米国人の3分の2はWalgreensの店舗から3マイル(約4.8km)以内に住んでいる。
リテールクリニックに今後期待されている役割は、低所得層を含めて広範な層に対して、様々 な医療や公衆衛生の改善を実現するために梃子になることだ71。例えば、薬局内に併設されてい るリテールクリニックでは、薬局との連携が容易になり、間違いなく必要な薬を処方してもらう ことができる。糖尿病などにおいては、薬局のアドバイスによるリテールクリニック活用、病院 での治療後の薬局とリテールクリニックによるフォローアップといった取り組みが進められてい る。また、リテールクリニックを併設する大型小売店では、糖尿病の食事制限に対応した体重や ライフスタイルの管理プログラムを、リテールクリニックの協力で実施しているところもある72。
70 http://www.rand.org/pubs/research_briefs/RB9491-2.html
71 Robert Wood Johnson Foundation, "Building a Culture of Health, The Value Proposition of Retail Clinics", April 2015, pp.15 https://www.manatt.com/uploadedFiles/Content/5_Insights/White_Papers/Retail_Clinic_RWJF.pdf
72 Robert Wood Johnson Foundation, "Building a Culture of Health, The Value Pr oposition of Retail Clinics", April 2015, pp.13
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リテールクリニックは、その手軽さと公衆衛生の観点からも、医療サービス提供の新しいアク セスポイントとして期待されている。ワクチンの接種で防げる病気で亡くなる米国人は年間 5 万 人である。しかし、2009 年の豚インフルエンザ(H1N1)の大流行までは、インフルエンザワク チンを扱う薬局はほとんどなかった。この反省から、2013年には、20万軒以上の薬局でワクチン が扱われるようになった。こうした公衆衛生の分野でも、リテールクリニックは地域の医療に貢 献する活動をおこなっている73。
リテールクリニックは手軽で便利だが、提供される医療サービスの質に対して、疑問を投げか ける声もある。特に、高齢者の尿路感染症は若年者とは異なり脱水症状や化膿症につながる場合 もあることや、慢性疾患の場合にはわずかな変化でも大きな症状の変化の兆しの場合もあるとい った問題もある。従って、リテールクリニックはプライマリーケアの代替手段ではなく、補完的 手段と捉えるべきだと考えられている74。