• 検索結果がありません。

第 5 章

結論

・コールセンター(カスタマーサポート)

・事業者は会員に事業者のルールを示し,会員は利用者マナーとしてルール を遵守する.

・事業者が求めるルールには,損傷時の報告,利用後の清掃,禁煙,必要に 応じた燃料補給,返却時間の厳守,ペットの持ち込み時の注意がある.

・米国の大手事業者米Z社が求めるルールは厳格である.一方日本にも,ル ールは存在するが,米Z社ほど厳密なルールは定められていない.

SRQ2

カーシェアリングにおける利用者マナーの教育に,事業者はどのように,取り組ん でいるのか?

Answer

・米国米Z社の事例ではまず入会審査を厳しくし,問題を起こしそうな人を事前に排 除することで,トラブル防止や,会員間の満足度向上に取り組んでいる.また厳格 なルールを設定し,明確化することで利用者マナーの教育を徹底させている.同時 に教育を通じて,高い会員制サービスの提供に努めていることをアピールしている.

一方,コールセンターでも ICT ベースの利用者に対するサービスを強化している.

ほかにもパーティ等で利用者同士が知り合うことで,共有意識・コミュニティ意識 を高める努力を行っている.これらの取り組みも利用者マナーへの取り組みの一環 と言える.

・日本では米Z社ほどの厳格なルールはない.これは国民性に起因する可能性がある 現在行われている利用者マナーの教育は,入会時におけるルール説明が主体である.

2010年ごろまではカーシェアリング利用者は環境意識も高く,同時にマナー意識も 高かった.急速な普及が始まった 2010 年以降は,車自体に慣れていない新たな層 の入会が増加し,遅延や清掃を中心とした利用者マナーの問題が目立ちつつある.

しかし,これらは現在のところ事業者側の想定内にある.現状は定期的なコミュニ ケーションとして適時注意喚起を行ってはいるが,米Z社ほど大々的な利用者マナ ーの教育は行われていない.

SRQ3

事業者がカーシェアリングに求めるマナーに関して,利用者はどのように考えてい るのか?

Answer

・各人が考える利用者マナーには幅がある.先行研究では「利用者マナーに関して他 人との共同利用自体に抵抗感を抱く人がいるが,これらの層はカーシェアリング自 体への加入の程度は低い」と考えられる.利用者の多くは,遅延と清掃を始めとし た利用者側にとっての利便性の向上に向けて,事業者の一層の努力を求めている.

・総論的には,米Z社のカーシェアリングサービスは合理的であり,優れたサービス であると言える.そしてこのシステムを維持するためには,入会時の審査や,遅延 等のルール違反によっては,ペナルティを支払わなくてはならないシステムである ことを,理解・納得している.

・ルールに関しても,一部徹底されていない点もあるが,自分が利用する際に迷惑を 被ることを考えると,遵守すべきものとして会員は受け入れている.米Z社では一 定のフィルターに掛けられた人が入会している会員制システムであることと,契約 を重んじる国でもあり,利用者マナーは総じて日本以上に前向きに捉えられている.

MRQ

カーシェアリングに求められる利用者マナーは,どのように成立しているのか?

Answer

・カーシェアリングのビジネスモデルは,「顧客との共同生産」において成立してい る.事業者は「ルール」という基準を利用者に示し,利用者はそのルールを守るべ き「利用者マナー」として受け入れている.日本においてこのルールの多くは暗黙 知であり,米国においてはZipcarのsix simple rulesのように,明示化された形 式知と言える.

・共同で利用する利用者全員が,定められたルールに従い,利用者マナーを守るとい う信頼のもとで,このビジネスモデルは成立している.事業者はカーシェアリング サービスの成立に向けて,ICT ベースのコールセンターと定期的な保守・メンテナ ンスの両面から利用者を支援している.遅延と清掃を始めとした利用者側にとって の利便性の向上に向けた取り組みが,利用者マナーに及ぼす影響は大きい.

・日本における認知度の向上は大きく改善され,利用者も増加はしたが,現在の利用 率の水準ではまだ微々たるものである.利用者にとって利便性の高いビジネスモデ ルは年々進化を遂げるが,利用者マナー推進の柱となるものは,他人と共同利用す る「心理的抵抗感」の払拭への工夫(教育・ICT)である.