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3.2 事業者インタビュー

3.2.2 米国市場

日本におけるカーシェアリングは,ITS高度交通システム(Intelligent Transport Systems)の実用化や,電気自動車(EV)の普及に主眼を置いた技術開発型実験とし て1999年頃から始まった.このうちの1つであった横浜市のITS/EV社会実験を引き継 ぐ形で,わが国初のカーシェアリング事業会社が2002年4月に誕生した(ITS/CEVシテ ィカーシステム(シーイーブイシェアリング).また同年10月には福岡市でNGOと自治 体と企業のコラボレーションによるパイロット事業も始まった(NPO法人カーシェア リングネットワーク).その後も図2-8に示すとおり,日本におけるカーシェアリング 実験が各地域において行われている.

多くの実験は各自治体において推進されたが,その背景には環境問題,社会問題 が大きく影響している.国の二酸化炭素排出量のおよそ1 割が乗用車からのものであ り,一家庭からの二酸化炭素の年間平均排出量6tのうち,1/4が車の走行によるもの である.地球温暖化対策として,燃費改善などの自動車単体対策だけでなく,自動車 への過度の依存を抑制し,公共交通などの利用を促進するような施策が求められてい る.(交通エコロジー・モビリティ財団,2006).

図2-8 わが国のカーシェアリング/自動車共同利用の事例別実施時期

(出所:交通エコロジー・モビリティ財団,2006)

一方,図2-9にあるとおり,2012年3月の日本における自動車の保有台数は,普通 車・軽自動車合計で約7,560万台となる(一般財団法人 自動車検査登録情報協会).

2-9 車種別自動車保有台数の推移

(出所: 一般財団法人 自動車検査登録情報協会,2012)

2006年の伸びは鈍化しているが,車種別自動車保有台数の推移は1966年以降一貫し て成長を遂げている.この点からも,環境対策など様々な施策が求められている.

図2-10は,2002年から2012年にかけての日本におけるカーシェアリングの会員数と 普及台数の推移を示している.2002年当初の開始時点では,各自治体における社会実 験の要素が強く,かつその後EVを始めとした実験は継続されたが,2010年以降,駐車 場業を本業とするタイムズ24㈱,オリックス自動車㈱,カーシェアリングジャパン㈱

が大都市圏を中心に事業を開始し,大都市を中心に急激な普及が進んでいる.現在は これらの企業に加え,約30社が日本で事業展開を行っている.

2012年2月の調査では日本におけるカーシェアリングの車両台数と会員数は,車両 ステーション数は4,268ヶ所(前年比1.5倍),車両台数は6,477台(同1.7倍),会員数 は167,745人(同2.3倍)と増加している.しかし現時点での利用者は17万人弱と日本 人の0.13%であり,産業としては緒に就いたばかりである.他の国々も図2-11のよう に,消して高い普及状況ではないが,特に日本において認知されているまでには至っ

図2-10 わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移

(出所: 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団,2012)

図2-11 主要5カ国とわが国のカーシェアリングの普及状況の比較

(出所: 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団,2012)

ていない状況にある.(交通エコロジー・モビリティ財団,2006).

しかしその後,各自治体を中心とした長年の努力と,事業者側の努力があいまっ て,カーシェアリングに対する認知度は向上し,2.9「認知度・利用意向に関する調 査」で後述する,2009年12月の朝日大学マーケティング研究所の調査では,カーシェ アリングに対する認知度は90%まで向上してきた(朝日大学マーケティング研究所,

2010).

仲尾(2012)はカーシェアリングの地域ごとの会員数などが明らかにされていない ため,急速な成長と地域との関係を詳細な数値で確認することは困難であるが,近年 急速に会員数を伸ばしている最大手のオリックス自動車株式会社とタイムズ24 株式 会社(2 社合わせると調査時点の会員数が全体の70%以上を超える.)が大都市圏を 中心に展開していることや,約30 社のうち11 社が首都圏のみでカーシェアリングを 展開していることなどから考えて,近年のカーシェアリングの普及が都市部を中心に 進んでいると言うことは可能であると述べている.

カーシェアリングは利用者さえいれば,どこでも事業が成り立つビジネスであるが,

実際には大きな課題も多くある.創業段階における最大のものは,住民,企業を含め た市民の「認知度の低さ」に起因するものである.しかしその後,普及が進み,2009年 の認知度は図2-14で示すとおり,9割にまで達したが,利用意向のある人や,経験者 の少なさから,大きな課題はまだ残されている.したがって日本におけるカーシェア リング事業は図3-9で示したとおり,急速な伸びを示しているが,欧米と比べその普 及は遅れており,現時点ではまだ創業段階と言える(交通エコロジー・モビリティ財 団,2006に,筆者一部加筆).

図2-12 事業の成長曲線(出所: 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団,

(2006)に筆者一部加筆)

北米の日本市場のポジ ショニング 約516千人 日本の日本市場のポジ

ショニング 約167千人

交通が連携を図るモデル事業も実施された(オリックス自動車株式会社, 2007). 日本においては,2.6.2「日本でのカーシェアリングの普及状況」で先述したとお り,2010年以降,カーシェアリングの車両数と会員数は急速な伸びを示している.一 方,米国においては,その広大な国土から,2007年ごろから急激な伸びを示している.

2 .7.2 経済環境の変化

カーシェアリングの効果としては,環境への負荷低減,個人にとっての自動車利用 コストの削減,モビリティ(利便性)の向上,などが期待されている.カーシェアリ ングの正の効果が主張される時には,まず,カーシェアリングサービスの存在により,

自家用車保有量は減少することが前提とされる.このとき,カーシェアリング利用者 は,車体費用や各種税などの固定費用を負担しない.そのため,利用時間や距離に応 じた料金を支払う必要が生じることから,自動車利用に伴う限界費用は,自家用車保 有時の自動車利用の限界費用より高くなる.これによって自動車利用を減少させるイ ンセンティブが生じ,交通混雑の緩和やCO2 排出量の削減といった効果をもたらすと 考えられる.また,このような費用構造の変換により,自動車利用頻度が高くない層 にとってはコスト削減の余地が生じる(鈴木・鹿山・川野辺・楠本・加藤,2011).

一方ではガソリン価格の高騰も,車を所有から利用へと位置づけが変わった要因の

1つと言える.日本では約10年前ガソリン価格は\100/Lであったが,2008年頃には\180

円/Lとなり,現在は\140/Lとなっている.米国においても10年前と比べ約2倍に高騰 している. 米国市場の伸びは ガソリン価格の高騰が一因であるが,環境問題,交通 問題,社会問題等の諸問題に,積極的に取り組む人々の姿勢はスマートであるという 社会的な風潮もマッチしていると考えられている.

2 .8 カーシェアリング普及の内的要因 2 .8.1 利用者意識

車の日常使いにおいて,不定期での利用またごく短時間での利用であれば,車両の

購入費,諸税,保険料,駐車場代,ガソリン代,車検,その他からカーシェアリング の利用のほうが経済面でのメリットは大きい.

自動車の利用頻度が相当に高く自動車を保有したほうが低コストとなる場合もあ るが,年間の走行距離が 10,000km 程度であれば,一般にカーシェアリングのほうが 低コストであると述べている.

一例として国内のカーシェアリング最大手であるオリックス自動車「プチレンタ」

の場合,年間10,000kmペースでの毎月の費用は約34,000円である(個人向け/プラ ンA/SKクラスの料金.平均時速30km/hとして計算.初期費用を除く(2009年6月 20日時点)(住友信託銀行, 2009).

なお,カーシェアリングと自動車保有のトータルコストにおける損益分岐点は,図 2-13となる.

図2-13 CS(カーシェアリング)と自動車保有のトータルコストにおける損益分岐点

のイメージ(出所:(財)地球環境戦略研究機関,2005)

2 .9 認知度・利用意向等に関する調査

朝日大学マーケティング研究所ではカーシェアリングに関する調査を下記内容で 行った.以下にその結果を記す.

調査方法:WEBアンケート

調査対象:首都圏在住の20歳から59歳の男女で運転免許保有者 調査時期:2009年12月21日から2009年12月24日

有効回答数:合計400名(均等割付)

【内訳】

20代男性・・50名,30代男性・・50名,40代男性・・50名,50代男性・・50名 20代女性・・50名,30代女性・・50名,40代女性・・50名,50代女性・・50名 調査項目:

1. カーシェアリングの認知と興味 2. カーシェアリングの利用意向

3. 過去一年間のレンタカー利用経験とカーシェアリング利用意向

4. 自動車への意識,自動車以外にシェアするサービスがあったらいいもの