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ラグランジュの未定乗数法

ドキュメント内 Maxwell (ページ 42-46)

第 6 章 小正準集団の例題 – 2準位系 37

6.3 弱く相互作用した多準位粒子からなる系

6.3.1 ラグランジュの未定乗数法

この様な、拘束条件の下での最大値問題はラグランジュの未定乗数法 (Lagrange’s method of undetermined multiplier)を用いて解ける。最初に、

この方法の手順を説明して、その後に、どうしてこの方法で解が得られ るかを示す。

手順: (i)まず、束縛条件(6.18)および(6.19)に対応して2つの未定乗 数αおよびβを導入し、

S ≡ S −˜ αN −βE (6.25) を考える。

(ii)次に、束縛条件なしにS˜を最大にするpiを求める。即ち、それぞれ 独立で任意の変分δpiに対して、

δS˜=δS −αδN −βδE

=

i

(lnpi+α+βϵi)δpi = 0 (6.26) を満たすpiを求める。ただしα+ 1を改めてαと定義し直した。この解 piは未定乗数αおよびβに依存する。

(iii) 最後に、乗数αおよびβを束縛条件(6.18)および(6.19)を満たすよ うに決める。すると、その結果得られたpiは求める解になっている。

これが解になっていること: こうして得られたpiが束縛条件を満たす のは、未定乗数αβをそのように決めたのであるから、当然である。こ れが、束縛条件を満たす変分δpiに対して、δS = 0となることを示せば よい。

これは、以下のように簡単に示せる:このように求めたpiは式(6.26) を満たす。即ち、S˜は任意の変分に対してδS = 0なのだから、変分を束 縛条件を満たすものに制限してδpiとしてもやはりゼロ、即ち

δS˜=δS −αδN −βδE = 0 (6.27) である。一方、束縛条件を満たす変分δpiは式(6.22)および(6.23)を満 たしδN = 0およびδE = 0なので、結局式(6.27)よりδS = 0を満たす ことが分かる。

具体的計算: 式(6.26)は互いに独立で任意のδpiについて成り立つの で、δpiの係数がすべてゼロ

lnpi+α+βϵi = 0 (6.28) でなければならない。これより直ちに

pi =eαβϵi. (6.29) となり、piαおよびβの関数として求められる。このpiを条件式(6.18) および(6.19)に代入して、

1 = ∑

i

pi =∑

i

eαβϵi (6.30)

E

N =∑

i

ϵipi =∑

i

ϵieαβϵi (6.31) を得る。これらの式よりαβは決められる。まずαは、式(6.30)より

eα =∑

i

eβϵi ≡f (6.32)

βの関数として与えられる。一方βは、式(6.31)より E

N = 1 f

i

ϵieβϵi (6.33)

によって決められる(一般には陽な形には解けない)。結局、式(6.29)よ り、Sを最大にするpi

pi Ni

N = e−βϵi

f (6.34)

で与えられる。

未定乗数βの意味: 更に、エネルギー一定の条件に対する未定乗数β は、温度の逆数

β = 1

kBT (6.35)

となることが示される。

〔証明〕エントロピーSは式(6.16)で与えられ、これを式(6.20) のようにpiを用いて表すと、

S ≈kBlnW =−kBN

i

pi lnpi (6.36) となる。Wを最大にするpiは式(6.29)

pi =eαβϵi で与えられ、更にこの中のαおよびβ

1 =∑

i

pi, E

N =∑

i

pi ϵi (6.37) によりNEの関数として与えられるので、結局、piNEの関数である。

エントロピーの表式(6.36)より、温度は 1

T = dS

dE =−kBN

i

dS dpi

dpi dE

=−kBN

i

(lnpi + 1) dpi dE

=−kBN

i

(−α−βϵi+ 1)dpi dE

=−kBN(−α+ 1)∑

i

dpi

dE +kBN β

i

ϵidpi

dE (6.38) で与えられる。これに、式(6.37)の両辺をEで微分した式

0 = ∑

i

dpi

dE , 1

N = d(E/N)

dE =∑

i

dpi dEϵi

を用いると、

1

T =kBβ すなわち、 β = 1 kBT

が得られる。 証明終■

■ ラグランジュの未定乗数βが1/kBT であることの別の証明

系のエントロピーがNiの関数S(N1, N2,· · ·)を最大にするNiに対し て、S(N1, N2,· · ·)と与えられることを用いると、このことは以下のよう に証明できる。

〔別証〕系の粒子数N および系のエネルギーEも、Niの関数として N =N(N1, N2,· · ·), E =E(N1, N2,· · ·) (6.39) と表されているとする。これらの具体的な関数形は以下の議論で不要。

ラグランジュの未定乗数法では、未定乗数αおよびβを導入して、Ni は、関数

S(N1, N2,· · ·)

kB −αN(N1, N2,· · ·)−βE(N1, N2,· · ·) (6.40) を最大にするように決める。即ち、

Ni −→ Ni+δNi (6.41)

に対する変分がゼロ、即ち 1

kBδS−αδN −βδE = 0 (6.42) となるようにNiαβの関数として決められている。更に、αβ

条件(6.39)により、NとEの関数として決められている。

このNiからの変分δNiを、N は一定でEのみ変化するようにとった とする。すると、それに対するSEの変分は、式(6.42)でδN = 0と したもの

1

kBδS−βδE = 0 (6.43)

を満たすので、これから直ちに (∂S

∂E )

N

=kBβ (6.44)

が得られる。 証明終■

7 章 熱浴に接した系と正準

ドキュメント内 Maxwell (ページ 42-46)

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