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ライフスタイルに関する睡眠時間、外遊びの時間、ゲームの時間、テレビ鑑賞の時間の平 均時間および標準偏差、ならびに朝食摂取ありの割合を表 4 に示した。睡眠時間は全体で 7.9±1.6(時間)で、小学3年生9.2 ±1.2、小学5年生8.8±1.0、中学2年生 7.6±1.3、高 校2年生 6.6±1.5 であった。多重比較(Games-Howell法,p<0.01)を行うと小3>小5

>中2>高2のように学年が上がるごとに有意に短くなっていた。外遊びの回数は小学生

>中・高校生で小学生が有意に長くなっていた。テレビは小3<小5、中2>高2であった。

ゲームは小3<小5=中2=高2となっていた。朝食摂取の割合は小3>小5>中2>高2 という傾向が認められた。

0 10 20 30 40 50 60 70 80

全体 3 5 2 2

全体

全体 3 5 2 2

70.3±15.1 73.0±16.3 73.5±17.0 70.2±14.7 66.9±12.6 70.4±15.5 76.0±15.7 73.2±17.3 68.4±14.9 66.8±12.8 全体 70.4±15.3 74.5±16.0 73.4±17.1 69.2±14.8 66.8±12.7

多重比較(Games-Howell法):小学生<中2<高2(p<0.01)

対応のないt検定:男女差なし

図11 GSEの学年別,男女別平均得点の比較

30

-15

表4 ライフスタイルの学年別平均時間と朝食摂取率

学年 睡眠(時間) 外遊び(回数/週) テレビ(時間) ゲーム(時間) 朝食摂取(%)

全体 7.9±1.6 2.5±2.6 2.4±1.7 1.5±2.1 90.4

3 9.2±1.2 3.8±2.3 2.4±1.5 1.1±1.8 95.9

5 8.8±1.0 3.6±3.4 2.7±1.8 1.5±2.6 93.2

2 7.6±1.3 1.7±2.0 2.5±1.7 1.7±1.8 89.7

2 6.6±1.5 1.5±1.9 2.1±1.7 1.6±2.1 85.7

6.QIDS-J,MEDSCI,AQ-J,GSEの相関関係

抑うつ症状、躁症状、自閉傾向、自己効力感の相互の関係を調べるために、QIDS-J、

MEDSCI(現在)、AQ-J、GSEの各スコア間において、ピアソンの積率相関係数を求

め、その結果を表5に示した。QIDS-JとMEDSCIの間で正の相関関係が(相関係数 0.33、p<0.01)、QIDS-JとAQ-Jとの間においても正の相関関係が(相関関係0.38、

p<0.01)示された。しかし、MEDSCIとAQ-Jでは意味のある相関関係は認められなかっ

た。また、QIDS-JとGSEの間で負の相関関係が(相関関係-0.29、p<0.01)、AQ-Jと GSEの間においても負の相関関係が(相関関係-0.47、p<0.01)認められた。

表5 QIDS-J,MEDSCI,AQ-J,GSEの相関関係

QIDS-J MEDSCI AQ-J GSE

QIDS-J 0.33 0.38 -0.29

MEDSCI NS NS

AQ-J -0.47

GSE

※ 値は相関関数を示す。有意確率p<0.01

※ NS: not significant

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-16

Ⅳ.考察

1.抑うつ症状

1)児童生徒の抑うつ傾向について

QIDS-Jの学年別、男女別平均得点は学年が上がるごとに有意に高くなっていた。ま

た、小学生では男女差はなかったが、中学2年生と高校2年生では女子が男子より有意に 高い値であった。この結果は、うつ病の有病率が児童期では男女差はないが、思春期にな ると女性の割合が高くなり、成人期には女性が男性の倍の有病率になるという事実を反映 するものである。また、QIDS-Jにおいて中等度うつ以上(≧11点)の抑うつ群の割合も 学年が上がるごとに増えることが確認された。抑うつ傾向をもつ児童生徒は一定の割合で 存在すると考えられる。この抑うつ傾向の値は成人と比較すると高いのだろうか。

われわれは、2011年に千歳市が行った健康診断の受診者に、問診票とともに今回用いら れたものと同じQIDS-Jを送付し、調査への協力が得られた4,258人の一般市民の抑うつ 症状について調査した18)。その結果、QIDS-J年齢別平均得点は、全体では3.5±3.4、20 歳代では4.3±2.8、30歳代では3.9±3.7、40歳代では3.6±2.8、50歳代では3.3±3.6、 60歳代では3.1±3.0、70歳代では3.6±3.3、80歳代では4.4±4.1であり、今回の児童生 徒の結果と比較すると低い値であった。小学5年生、中学2年生および高校2年生の

QIDS-J得点は千歳市の一般市民と比較して高い値であるということが明らかになったの

である(図12)。

全体 小3 小5 中2 高2 平均 4.7 3.4 4.1 4.8 6.0

0 2 4 6 8 10 12

図12 QIDS-J得点の児童生徒と一般市民との比較

小・中・高校生 一般市民

32

-17

抑うつ群(QIDS-J≧11点)の割合を千歳市民と比較すると、児童生徒の割合が千歳市 民より高いことがわかる(図13)。

しかし、自己評価尺度の高得点者がうつ病かというと、決してそうではないことに注意 する必要がある。スクリーニングテストの特性として、false positive(正常な人がうつ症 状をチェックしてしまうこと)が多くなる。自己評価尺度の高得点者の多くはうつ病では ない。中学生、高校生年代は自己の気分や感情に対してさまざまな興味や関心が出現する 時期であり、抑うつなどの感情に敏感になっている時期でもある。

われわれは2007年に、千歳市の小・中学生738 人(小4~中1)に対して、精神科医が 直接面接を行い、気分障害の有病率に関する疫学調査を行った。その結果、うつ病と診断 された児童・生徒は、小学4年生1人(0.5%)、小学5年生1人(0.7%)、小学6年生 4人(1.4%)、中学1年生5人(4.1%)という結果であった4)

以上のことを十分に理解したうえで、一定の抑うつ傾向を示す児童・生徒が存在すると いう事実をきちんと認識し、対策を考えていかなければならない。

2)どのような抑うつ症状を示すのか

QIDS-Jの各項目別の平均得点の上位は以下のようであった。第1位は項目11「自分につ

いての見方」であった。これは自己評価の低さ、自責感、無価値感を問う質問項目であ る。第2位は項目7「食欲増進」、第3位は項目1「寝つきの悪さ」、第4位は項目9

全体 小3 小5 中2 高2 9.2% 3.7% 7.2% 9.2% 14.3%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

図13 抑うつ群の児童生徒と一般市民との比較

小・中・高校生 一般市民

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-18

「体重増加(最近2週間)」、第5位は項目5「悲しい気持ち」であった。

自己評価の低さ、自責感、無価値感が強いことはきわめて重要な問題である。これに関 しては後述する「自己効力感」のところでも検討を行いたい。身体症状の訴えが上位3項 目と多く、児童・生徒は抑うつ状態を身体症状として訴えやすいことが示唆された。また 従来、児童・思春期においては、「抑うつ気分」を言語化することが難しいといわれてき たが、今回の調査では「悲しい気持ち(抑うつ気分)」が第5位に入っており、自らの抑 うつ気分を認識している児童・生徒が少なくないことが明らかになった。

3)死や自殺についての考え

項目12「死や自殺についての考え」は自殺念慮を推測するうえで重要な質問である。配 点2点の「自殺や死について、1 週間に数回、数分間にわたって考えることがある」、お よび3点の「自殺や死について1 日に何回か細部にわたって考える、または、具体的な自 殺の計画を立てたり、実際に死のうとしたりしたことがあった」を「自殺念慮あり」とす ると、全体では6.9%、小学3年生で2.5%、小学5年生で5.5%、中学2年生で7.7%、

高校2年生で10.5%であり、学年が上がるごとに自殺念慮の割合は増加していた。

また、「自殺念慮あり」(項目11が2点および3点の者)の割合を千歳市民と比較する と、児童生徒における「自殺念慮あり」の割合が高いことが確認された(図14)。

項目11に2点および3点をつけた者が実際に深刻な自殺の可能性のある人かといえば、

全体 小3 小5 中2 高2 3点 1.9 0.3 1.3 2.4 3.0 2点 5.0 2.2 4.2 5.3 7.4 0.0

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

図14 自殺念慮の児童生徒と一般市民との比較

小・中・高校生 一般市民

34

-19

必ずしもそうではない。しかし、現実に「死や自殺についての考え」にチェックした児童 生徒が一定数存在するという事実を十分に認識して、今後の対策を考えていかなければな らない。

2.躁症状

躁症状評価尺度(MEDSCI)において、現在の躁症状の平均得点および標準偏差は、対 象者全体では4.0±4.0、小学3年生は3.2±3.6、小学5年生は3.7±3.7、中学2年生は4.2± 4.0、高校2年生は4.5±4.5であり、小学3年生は小学5年生と有意な差はなく、中学2年生お よび高校2年の得点は小学生よりも有意に高くなることが確認された。また、MEDSCIの スコアを男女別に比較したところ、高校2年生において男子が女子より優位に高かった。

過去の躁症状の平均得点および標準偏差は、対象者全体では4.4±4.6、小学3年生は 2.7±3.6、小学5年生は3.8±3.8、中学2年生は4.5±4.6、高校2年生は5.9±5.2であり、中学 2年生は小学3年生より有意に高く、高校2年生は小学5年生および中学2年生よりも有意に 高いことが確認された。また、MEDSCIのスコアを男女別に比較したところ、有意な差は なかった。

児童・青年期の躁状態の診断は難しい。修学旅行前や運動会の前では、健康な児童・生 徒でも躁状態に近い状態を示すからである。自己記入式評価尺度ではfalse positive が多く なることは否めないことである。

2007 年に施行した小・中学生738 人(小4~中1)に対して精神科医が直接面接を行

った有病率調査においては、面接時に躁状態であった児童・生徒は皆無であり、過去に躁 状態があったと判断されたものは、全体で8人(1.1%)、小学4年生1人(0.5%)、小 学5年生1人(0.7%)、小学6年生3人(1.0%)、中学1年生3人(2.5%)であった。

以上のことを考慮したうえで、現在および過去において、いつもよりも高揚している、

あるいは開放的な気分を感じている児童・生徒が一定の割合で存在することを念頭に置い て、対策を考える必要がある。

3.自閉傾向

自閉症スペクトラム指数(AQ-J)の結果、平均得点は、全体では19.7±6.2点(小3は 18.2±6.5 点、小5は18.5±6.2 点、中2は20.1±5.9 点、高2は21.1±5.8点)であっ た。また、小学生<中学2年生<高校2年生と学年が上がるごとにAQ-Jのスコアが有意に高 くなることが確認された。さらに、「自閉傾向あり」を30 点以上とすると、全体で

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-20

5.1%、小3で3.0%、小5で4.1%、中2で5.4%、高2で7.0%が「自閉傾向あり」と考え られた。

文部科学省は平成24年12月、「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教 育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」について報告した12)。その調査結果に よると、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒の 割合は6.5%であることが明らかになった。このうち、学習面で著しい困難を示す児童生徒 の割合が4.5%、行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合は3.6%、「不注意」または

「多動性-衝動性」の問題を著しく示す児童生徒の割合は3.1%、「対人関係やこだわり 等」の問題を著しく示す児童生徒の割合は1.1%という結果であった。

今回の自閉症スペクトラム指数(AQ-J)の結果は、自己記入式であるため、児童生徒自 身が自らの自閉傾向に気づいている割合と考えられる。したがって、中学生、高校生と年 齢が上がるにつれ高くなっていると考えられる。上記の文部科学省の調査結果は、学級担 任が回答したものであるため、その結果の示す意味は異なるものである。また対象となっ た学年も異なっている。しかしながら、各学年3~7%の割合で自覚的ならびに他覚的に 学習面や行動面における困難あるいは生きづらさを感じている児童生徒が存在するという 事実は認識しておく必要があり、その上で対策を考えていく必要がある。

4.自己効力感

前回(平成23年)の調査と今回の調査で最も大きく異なる点は、今回は児童生徒の自己 効力感について検討したことである。これは、前回の調査においてQIDS-Jの下位項目であ る項目12「自分についての見方」、すなわち自己評価の低さ、自責感、無価値感を問う項 目がきわめて高い値を示したことによる。自己効力感や自己評価の高さは抑うつや自殺を 予防する大きな要因になり、逆にその低さは抑うつや自殺と関連があると考えられてい る。

今回の特性的自己効力感尺度(GSE)の結果は、平均得点において、全体で70.4±15.3

(男子70.3±15.1、女子70.4±15.5)、小学3年生で74.5±16.0(男子73.0±16.3、女子 76.0±15.7)、小学5年生で73.4±17.1(男子73.5±17.0、女子73.2±17.3)、中学2年生 で69.2±14.8(男子70.2±14.7、女子68.4±14.9)、高校2年生で66.8±12.7(男子66.9± 12.6、女子66.8±12.8)であった。学年別にみると小学生>中学2年生>高校2年生と学年 が上がるごとにGSEのスコアが有意に低下することが確認された(p<0.01)。男女差はな かった。

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