単連結コンパクト5次元スピン多様体の微分同相類の決定[Smale S (1962)]
2連結コンパクトC∞6次元多様体の微分同相類の決定 [Smale S (1962)]
1963 n−1連結2n次元多様体の微分同相類の決定[Wall CTC (1962)]
• n−1連結2n+ 1次元多様体の微分同相類の決定[Tamura I(1963), Wall CTC (1963)]
手術手法の開発[Kervaire MA and Milnor JW (1963)]
Atiyah-Singerの指数定理[Atiyah and Singer (1963)]
1981 4次元Poincare予想の解決[Freedman MH(1982)]
1982 R4の異なる微分構造の存在[Donaldson SK (1983)]
1985 Donaldson多項式[Donaldson SK]
1987 4次元h同境定理の反例[Donaldson SK]
【定理 4.2】 M をn次元C∞多様体とするとき,M 上にMorse関
数が存在する.
【定義 4.3 (多様体の三つ組み)】
1. WをコンパクトなC∞多様体として(連結でなくてもよい),その 境界∂W(空集合でもよい)を連結成分の和集合で表される2成分 V0, V1の分解する:
∂W =V0∪V1, V0 ∩V1 =∅. このとき,(W;V0, V1)をC∞多様体の三つ組という.
2. C∞多様体の三つ組み(W;V0, V1)上のMorse関数が次の条件を満た すとき,fを(W;V0, V1)に適合するMorse関数という:
i) f(W) = [a, b] (a < b).
ii) V0 =∅のとき,V0 =f−1(a).V1 =∅のとき,V1 =f−1(b).
【定理 4.4】 C∞多様体の三つ組み(W;V0, V1)に対して,それに適
合するMorse関数が常に存在する.
4.3 5 次元以上の多様体
4.3.1 h同境定理
【定理 4.5 (h同境定理)】 Wnをコンパクトなn次元C∞多様体,
(Wn;V0, V1)をC∞多様体の3つ組とするとき,この3つ組が次の3 条件を満たしていれば,Wn =V0×Iが成り立つ.特に,V0 =V1で ある.
i) Wn, V0, V1はすべて連結かつ単連結である.
ii) n≥6.
iii) Hq(Wn, V0) = 0 (q= 0,1,2,· · ·).
【定義 4.6(h同境)】 n次元閉(可微分)多様体V, Vが同境V∪V =
∂Wn+1でかつ,包含写像V → Wn+1,V → Wn+1が共にホモト ピー同値写像となるとき,V とVはh同境であるという.このと
き,H∗(Wn+1, V) = 0が成り立つ.
【定理 4.7 (Smale:可微分多様体のh同境定理)】 V, Vを連結かつ単 連結な閉じたn次元C∞多様体とする.もしも,n≥5であってV と Vがh同境ならば,V とVはC∞同相である.[Smale, S.: On the structure of manifolds, Amer. J. Math. 8, 387-399 (1962); Smale, S.: Lectures onh-cobordism theorem,Princeton Univ. Press (1965)]
[田村一郎:微分位相幾何学]
【定理 4.8 (Kirby-Siebenmann:位相多様体のh同境定理)】 V, V を連結で単連結なn次元位相多様体とする.n ≥ 5でV とV が h同境なら,V とVは同相である.[Kirby, R.C. and Siebenmann, L.C.: Foundational Essays on Topological Manifolds, Smoothings, and Triangulations, Ann. Math. Studies 88, Princeton (1977)]
4.3.2 Poincare予想
【定理 4.9 (Stallings 1960; Zeeman 1961)】 Mnを次元n ≥ 5の 有限単体複体でSnと同じホモトピー型をもち,局所的にEuclid空 間とPL同型であるとする.このとき,MnはSnと同相で,1点以 外ではPL同型となる同相写像が存在する.[Stallings J 1960[Sta60];
Zeeman CW 1961[?, ?]]
【定理 4.10 (Smale 1960)】 Wnを連結でコンパクトなn次元C∞ 多様体とする.このとき,次の3条件が満たされればWnはn次元 球体DnとC∞同相である:
i) n≥6.
ii) Wnは単連結で,Hq(Wn) =Hq(Dn)(q= 0,1,· · ·).
iii) ∂Wnは単連結.
【定理 4.11】 Mnを連結かつ単連結で,Snと同じホモロジーをも つn次元C∞多様体とする.もし,n = 5または6ならば,コンパ クトで可縮なn+ 1次元C∞多様体Wn+1で∂Wn+1 =Mnとなるも
のが存在する.
【定理 4.12 (n ≥5に対する一般化されたPoincare予想[Smale])】 Mnは連結で単連結な閉じたn次元C∞多様体で,Snと同じホモロ ジー群をもつとする.もし,n ≥ 5ならMnはSnとC0 同相であ る.特に,n= 5,6ならMnはSnとC∞同相である.[Smale S 1960,
1961[Sma60, Sma61]]
【定理 4.13】 W5を連結でコンパクトな5次元C∞多様体とする.
このとき,次の2条件が満たされればW5は5次元球体D5とC∞同 相である:
i) W5は単連結で,Hq(W5) =Hq(D5)(q= 0,1,· · ·).
ii) ∂W5はS4とC∞同相.
【定理4.14(Schoenfliesの定理)】 f :Sn−1 →SnをC∞埋め込みとす と,f(Sn−1)はSnを2つの連結成分に分ける:Sn−f(Sn−1) =A1∪A2. もし,n ≥ 5なら,M1 = A1∪f(Sn−1)とM2 ∪f(Sn−1)は共にDn
にC∞同相である.
4.4 4次元多様体
4.4.1 基本事項
【定義4.15(整係数ユニモジュラー対称2次形式)】 Q:Zm×Zm →Z を整数係数ユニモジュラー対称2次形式とする.
1) 任意のv ∈Zmに対してQ(v, v)≡0(mod2)が成り立つときQはII 型,II型でないときI型という.
2) Qの正固有値の数と負固有値の差を符号数(signature)という.
【命題 4.16 (整係数ユニモジュラー対称2次形式の性質)】 Qを整
係数ユニモジュラー対称2次形式とするとき次の命題が成り立つ:
1) QがII型なら,その符号数は8の倍数である.
2) QがII型で不定値なら,Qはいくつかの(1)と(−1)の直和に同型 である.
3) QがI型で不定値なら,QはいくつかのE8と(0 11 0)の直和に同型で ある.
4) 正定値ないし負定値で既約な整係数ユニモジュラー対称2次形式の 同型類は無限個ある.
4.4.2 Rokhlinの定理
【定理 4.17 (古典的Rokhlinの定理)】 向きのついた4次元C∞閉多 様体がスピン多様体であれば,その符号数は16で割り切れる.
【定理 4.18】 E8を交点形式として持つ単連結な4次元C∞閉多様
体は存在しない.
4.4.3 4次元位相多様体の分類
【定理 4.19 (ホモトピー類[Milnor (1956)])】 単連結4次元閉多様 体M, Nがホモトピー同値であることと,交点形式が同型であるこ
とは同値である.
【定理 4.20 ([Wall(1964)])】 単連結4次元閉多様体M, Nがホモト ピー同値なら,h同境である.また,MとN がh同境なら,ある自 然数kが存在して,M k(S2×S2)≈N k(S2×S2)となる.
【定理 4.21 (Freedmanの定理[Freedman (1982)])】 Cassonハンド ルはD2×R2に同相である.
【定理 4.22(4次元位相h同境定理[Freedman])】 Nを5次元境界付き 単連結コンパクト位相多様体,∂N =M+∪M−,M+∩M−=∅,M± は単連結,H∗(M−;Z)→H∗(N;Z)が同型とすると,NはM−×[0,1]
に同相である.[Freedman, M.H.: The topology of 4-dimensional manifolds, J. Diff. Geom. 17 (1982), 357-453.]
【定理 4.23 (固有h同境定理[Freedman(1982)])】 単連結4次元閉 C∞多様体M, Nがh同境なら,それらは同相である.
【定理 4.24(4次元Poincare予想の解決[Freedman (1982))】 ]S4に ホモトピー同値な4次元位相多様体はS4に同相である.[Freedman, M.H.: The topology of 4-dimensional manifolds, J. Diff. Geom. 17
(1982), 357-453.]
【注 4.25 (4次元異種球面)】 4次元異種球面が存在するかどうか
は不明である.
【定理4.26(Freedman-Quinnの定理[Freedman (1982), Quinn (1982)])】 任意のユニモジュラー2次形式に対して,それを交叉形式とする 単連結で閉じた4次元位相多様体が存在する.さらに,単連結閉4 次元位相多様体Xに対して,ks(X) ∈ H4(X;Z2)をそのKirby − Siebenmann類とするとき,次が成り立つ:
i) ks(X)と交叉形式で単連結閉4次元位相多様体の同相類が一意的に 決まる.
ii) ks(X) = 0とX×S1が可微分構造を持つことは同値である.
iii) 交叉形式がI型の時,与えられた交叉形式に対して,ks(X) = 0,1 となる2つの位相多様体が存在する.
iv) 交叉形式がII型の時,ks(X)の値は交叉形式の符号数の1/8倍とな り,単連結閉4次元位相多様体の同相類が交叉形式のみで一意的に 決まる.
[Freedman, M.H. and Quinn, F.: Topology of 4-manifolds, Princeton
Math. Ser. 39, Princeton, 1990]
4.4.4 Donaldson理論
【定理 4.27 (Donaldsonの定理[Donaldson(1983,1987)])】 閉じた 4次元C∞多様体の交点形式bが負定値ならば,b∼= (−1)⊕(−1)⊕
· · · ⊕(−1). bが正定値の場合についても同様の結果が成り立つ.
【定理 4.28 (Donaldson(1983), Taubes(1986))】 R4に同相であるが 微分同相でない4次元C∞多様体が非可算個存在する.(4次元以外 では存在しない[Kirby and Siebermann (1977), Moise(1952)]