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モルフォロジカル・ウェーブレット

ドキュメント内 wavelet2012proceedings (ページ 134-138)

LES LES

4. モルフォロジカル・ウェーブレット

ここまでの説明で,モルフォロジが「非線形で有界な世界」での演算の体系であり,完 備束での上限・下限演算を基盤として構成されていることを説明した.この説明では,も ともとは2値画像への「はめこみ」であり,論理演算によって定義されていたものが,グ レースケール画像,カラー画像と拡張されていき,最終的には一般的な完備束における上 限・下限演算に達している.

そこで,ウェーブレット解析においても,上限・下限演算(一般的な信号処理では最大・

最小演算)を導入して,モルフォロジと同様の「非線形で有界な世界」に適した演算を構 成しようという考えが生まれてくる.

例えば,もっとも簡単な例として,図

8

に示す

2 × 2

のサンプリング窓をもつ次の変換 を考える.

a = min(x, y, z, w) h = y − x

v = z − x d = w − x (4.1)

この演算で,

a

に相当する部分はダウンサンプリングによる近似画像であり,他は差分画

x y

z w

a b

c d

サンプリング窓

分解 再構成

近似画像 差分画像(横)

差分画像(縦) 差分画像(斜め)

Fig. 8. 2 × 2

のサンプリング窓をもつウェーブレット変換

像となっている.これらの画像に対して,

x = a + max( − d , − h , − v , 0) y = x + h

z = x + v w = x + d (4.2)

のように再構成を定義することができる.この演算は,2次元の

Haar

ウェーブレット変 換を,最大・最小演算におきかえて表したもので,モルフォロジカル・

Haar

ウェーブレッ ト変換とよばれている.

このような最大・最小演算にもとづく信号の分解・再構成の一般的な枠組みは,

Heijmans

らによって

[14, 15]

で議論されている.また,延原は,整数上の最大演算と加算だけから なるマックスプラス代数系においてモルフォロジカル・ウェーブレットを構成すること で,処理を簡素化し,動画像への適用も行っている

[10]

5. おわりに

本講演では,「有界で非線形な世界」を扱う体系を完備束における上限・下限演算で構 成しようというモルフォロジの思想を,基本的な演算から特徴的な応用例にわたって解説 した.線形演算という巨大な体系に対して,モルフォロジの体系はまだまだ発展の余地の あるものである.とくにモルフォロジカル・ウェーブレットに関しては,「多重解像度解 析に相当するものが非線形画像フィルタで行える」ということから,線形演算における周 波数をモルフォロジのサイズと結びつけるなど,さらに応用の可能性が広がっている.そ の可能性について,議論してみたい.

筆者にモルフォロジカル・ウェーブレットについてご教示くださった,筑波大学システ ム情報系・延原肇講師に,感謝いたします.

参考文献

[1]

小倉久和,情報の基礎離散数学,近代科学社,東京,

1999.

[2]

浅野晃、

マセマティカルモルフォロジーの思想

Fundamentals Review, vol. 4, no. 2, pp. 113–122, Oct. 2010.

[3] G. Matheron and J. Serra, “The birth of mathematical morphology,” Proc. 6th Inter-national Symposium on Mathematical Morphology, pp. 1–16, Sydney, Australia, Apr.

2002.

[4] J. Serra, Image analysis and mathematical morphology, Academic Press, London, 1982.

vances, Academic Press, London, 1988.

[6] H. J. A. M. Heijmans, Morphological Image Operators, Academic Press, London, 1994.

[7] P. Soille, Morphological Image Analysis: Principles and Applications, 2nd Ed., Springer-Verlag, New York, 2003.

[8] M. L. Corner and E. J. Delp, “Morphological operations for color image processing,” J.

Electron. Imaging, vol. 8, no. 3, pp. 279–289, Mar. 1999.

[9] G. Louverdis, M. I. Vardavoulia, I. Andreadis et al., “A new approach to morphological color image processing,” Pattern Recognit., vol. 35, no. 8, pp. 1733–1741, Aug. 2002.

[10]

浅野晃,浅野(村木)千恵,木森義隆,棟安実治,延原肇,藤尾光彦,非線形画像・

信号処理 モルフォロジの基礎と応用,丸善,東京,

2010.

[11] L. Li, A. Asano, C. Muraki Asano, M. Muneyasu, and Y. Hanada, “Dual Primitive Estimation of Textures,” IEICE Trans. Fundamentals, vol. E94-A, no. 4, pp. 1165–

1169, Apr. 2011.

[12] L. Yang, A. Asano, L. Li, C. Muraki Asano, and T. Kurita, “Multi-Structural Texture Analysis Using Mathematical Morphology,” IEICE Trans. Fundamentals, vol. E95-A, no. 10, pp. 1759–1767, Oct. 2012.

[13]

花田良子,棟安実治,浅野晃, テクスチャ画像における劣化画像のみを用いた荷 重メジアンフィルタの遺伝的アルゴリズムによる設計

,

電子情報通信学会論文誌

A

vol. J94-A, no. 1, pp. 18–29, Jan. 2011.

[14] J. Goutsias and H. J. A. M. Heijmans, “Nonlinear Multiresolution Signal Decomposi-tion Schemes

Part I: Morphological Pyramids,” IEEE Trans. Image Procees., vol. 9, no. 11, pp. 1862–1876, Nov. 2000.

[15] H. J. A. M. Heijmans and J. Goutsias, “Nonlinear Multiresolution Signal Decomposi-tion Schemes

Part II: Morphological Wavelets,” IEEE Trans. Image Procees., vol. 9, no. 11, pp. 1897–1913, Nov. 2000.

浅野 晃

(

関西大学総合情報学部

)

604-0933

大阪府高槻市霊仙寺町

2-1-1

E-mail: [email protected]

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