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グレースケール画像の場合

ドキュメント内 wavelet2012proceedings (ページ 123-126)

LES LES

2. 基本的な演算

2.5 グレースケール画像の場合

ここまでの説明では,2値画像や構造要素を,画素位置を表すベクトルの集合として表 していた.これに対してグレースケール画像は,各画素に画素値が対応していることか ら,画素位置を表すベクトルの関数と考え,画素値を関数の値で表すことで定義される.

同様に,グレースケールの構造要素を考えることも可能である.

以下,グレースケール画像と2値構造要素を用いる

“function-set

演算

,構造要素もグ レースケールとした

“function-function

演算

にわけて説明する.

2.5.1 function-set

演算

グレースケール画像を画素位置ベクトル

x

の関数

f (x)

で表し,構造要素はこれまでと 同じく構造要素

B

で表す.2値画像

X

に対するエロ−ジョンとダイレーション,すな わち

(2.12) X # B ˇ = !

b∈B

X

b

(2.13) X ⊕ B ˇ = "

b∈B

X

−b

に対応して,関数

f (x)

の構造要素

B

によるエロ−ジョンとダイレーションを,

( , #

をそ れぞれ

inf, sup

におきかえて

(2.14) f # B ˇ = inf

b∈B

f (x + b)

(2.15) f ⊕ B ˇ = sup

b∈B

f (x + b)

U [ f ( x )]

x t’

t CSt[ f ]( x )

Fig. 3.

陰影とクロスセクション

と定義する.

2値画像の場合とグレースケール画像の場合との関係は,次のようなクロスセクション

(cross-section)

の考え方を用いると理解しやすい.グレースケール画像を表す関数

f (x)

対して,「しきい値

t

におけるクロスセクション」

CS

t

[ f ](x)

を次のように定義する*4

(2.16) CS

t

[ f ](x) = { x | f (x) ≥ t } .

3

は,クロスセクションの考え方を視覚的に表したものである.ここで,関数

f (x)

に 対して,下記のように陰影

(umbra)U[ f (x)]

を定義する.

(2.17) U [ f (x)] = { (x, t) | − ∞ < t ≤ f (x) } .

すなわち陰影とは,関数

f (x)

のグラフに対して,そのグラフより下の部分すべて(

−∞

で)を含む集合である.画素位置

x

が2次元である通常のグレースケール画像では,画素 値を縦軸で表すと,陰影は画素値を上面とし,

−∞

まで続く立体ということになる.この ような陰影を考えると,しきい値

t

におけるクロスセクション

CS

t

[ f ](x)

は,陰影

U[ f (x)]

を縦軸の位置

t

で切断した断面ということになる.

3

でもわかるように,クロスセクションには「縦軸の高い位置での断面は,低い位置 での断面に含まれる」という性質がある.すなわち,

(2.18) t < t

)

⇒ CS

t

[ f ] ⊇ CS

t)

[ f ]

である.

さて,あるグレースケール画像

f

について式

(2.14)

のエロ−ジョンを行うとする.エ ロ−ジョンの結果,ある画素位置

x

での画素値が

t

になるということは,原画像

f

におい て,構造要素

B

を位置

x

に移動させた

B

xの内部には,画素値

t

の画素が必ず含まれ,か

*4これは,「スタックフィルタ」などの非線形フィルタについていわれる「しきい値分解」と同じものであ る.

つ画素値

t

未満の画素は含まれない.したがって,この画像のクロスセクションについて 同じように

B

xの内部を考えると,しきい値

t

でのクロスセクション

CS

t

[ f ]

B

x の内部 すべてを含むが,

t

より大きなしきい値

t

) については,どのクロスセクション

CS

t)

[ f ]

に おいても,

B

xの内部にはクロスセクションに含まれない部分があることになる.

よって,各クロスセクションをおのおの2値画像と考えて式

(2.12)

のエロ−ジョンを行 うと,しきい値

t

でのクロスセクション

CS

t

[ f ]

のエロ−ジョン

CS

t

[ f ] # B ˇ

は位置

x

を含 むが,

t

より大きなどのしきい値

t

) のクロスセクション

CS

t)

[ f ]

についても,エロ−ジョ ン

CS

t)

[ f ] # B ˇ

を行うとそれらは位置

x

を含まない.

このことは,グレースケール画像を可能なすべてのしきい値によってクロスセクション に分解し,各クロスセクションについて式

(2.12)

の2値のエロ−ジョンを行なって,そ れらをクロスセクションとする陰影を再構成すると,それはグレースケール画像に対して 定義した式

(2.14)

のエロ−ジョンと同じであることを意味している.このような式

(2.12)

と式

(2.14)

の関係を,「式

(2.14)

がしきい値分解可能である

(commute with thresholding)

」 という.この関係は,ダイレーションについても同様である.

2.5.2 function-function

演算

グレースケールの構造要素は,グレースケール画像と同様に関数で表す.このとき,画 像

f (x)

と構造要素を

g(b)

とのエロ−ジョン・ダイレーションを,次のように定義する.

(2.19) { f # g ˇ } (x) = inf

b∈w(g)

{ f (x + b) − g(b) }

(2.20) { f ⊕ g ˇ } (x) = sup

b∈w(g)

{ f (x + b) + g(b) }

ここで,

w(g)

g

のサポートとよばれ,関数

g

の画素値

0

でのクロスセクションに相当 する.また,

g(b) ˇ = g( − b)

である.

上の定義は,先に述べた陰影を考えると,2値のエロ−ジョン・ダイレーションとの関 係が理解できる.陰影

U [ f ]

から関数

f

を復元するには,関数

f

が陰影

U [ f ]

の上面に対 応することから,

(2.21) f (x) = sup { t | (x, t) ∈ U[ f ] }

とすることになる.一方,画像と構造要素の陰影をそれぞれどうしのミンコフスキー和

U[ f ] ⊕ U [g]

を考え,それに対して式

(2.21)

のように関数を復元することを考えると,

(2.22) h(x) = sup { t | (x, t) ∈ U[ f ] ⊕ U [g] }

となる.ミンコフスキー和の式

(2.7)

の形の定義を用いると,上の式は

(2.23) h(x) = sup { u + v | (x − b, u) ∈ U[ f ] and (b, v) ∈ U [g] }

おけるベクトルの和

b + x

に対応付けるため,

U[ f ]

b

の位置に平行移動しているから である.したがって,

h(x) = sup

b∈w(g)

) sup { u | (x − b, u) ∈ U[ f ] }

+ sup { v | (b, v) ∈ U[g] } *

= sup

b∈w(g)

{ f (x − b) + g(b) } (2.24)

となるから,

h(x)

f

g

のミンコフスキー和と考えると,

g

を画素位置について反転さ せたものが式

(2.20)

のダイレーションとなる.すなわち,式

(2.20)

のダイレーションの 定義は,陰影に対するミンコフスキー和を考えると,2値画像・構造要素のダイレーショ ンの拡張になっていることがわかる.

一方,ダイレーションを陰影を用いて定義する場合は,「

U[ f ]

U [g]

の内部に沿って 動かし,共通部分をとる」というミンコフスキー差を用いた定義はできない.なぜなら ば,

U[g]

は画素値を表す座標の方向に

−∞

まで広がっているので,

U [ f ]

をそれに沿って

−∞

まで動かしてゆくと,共通部分はつねに空集合になるからである.

そこで,2値の場合のミンコフスキー差の,式

(2.4)

の形の定義を用い,2値のエロ−

ジョンを

(2.25) X # B ˇ = { x | x + b ∈ X, b ∈ B }

と表す.これにならって,陰影のエロ−ジョン

U [ f ] # U[ˇ g]

を考え,それに対して同様に 関数を復元することを考えると,式

(2.23)

の場合と同様に

k(x) = sup { t | (x, t) ∈ U [ f ] # U[ˇ g] }

= sup { u | (x + b, u + v) ∈ U[ f ] and (b, v) ∈ U [ˇ g] }

(2.26)

となる.上の式は,「

u + v

U [ f ]( x + b)

の上限に定められているとき,

v

U [ˇ g](b)

の上 限をとるならば,

u

の上限はどうなるか」と述べているわけだから,それは

u

の上限のう ちの下限をとることになる.すなわち,式

(2.21)

のように復元すると

(2.27) k(x) = inf

b∈w(g)

{ f (x + b) − g(b) }

となり,これは式

(2.19)

で定義されたエロ−ジョンである.

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