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H‑モルデナイトによるビフェニルのイソプロビル化反応 における3‑イソプロピルビフェニルの挙動

4‑1緒言

第3章においてH‑MORを用いたビフェニルのイソプロビル化について検討し、

4,4,‑DIPBの異性化反応が選択性に及ぼす影響を明らかにした。ここでは、形状選択 性発現機構についてより詳しい知見を得るため、中間生成物であるIPBが選択性に及 ぼす影響について検討を行った。4‑IPBは4,4,‑DIPBの前駆体であるから、触媒細孔 内において形状選択的に生成した4‑IPBの大部分が4,4,‑DIPBへと変化するであろう ことは想像できる。しかし、ある程度生成する3‑IPBが反応においてどのような挙動を示 すのかはっきりとはわかってはいない。液相だけでなく細孔内においても3‑IPBはある程 度存在するためその挙動が選択性に及ぼす影響は無視できない。そこで、H‑MORによ るIPBのイソプロビル化反応を行い、反応におけるIPBの挙動について検討を行った。

4‑2結果と考察

4̲2‑13‑/4‑IPB混合比の影響

H̲MORを用いた3‑/4一IPB混合物のイソプロビル化反応における3‑/4‑IPB混合比の 影響をFig.4‑1に示す。3‑′4‑比が8′2の場合、存在した4‑IPBはほとんどすべてが消 費され、尚且つ3‑IPBもある程度減少した。選択性については4,4'‑DIPB選択率は低く、

3,4,‑DIPBが多く生成した。3‑/4一比が5/5及び2/8の場合、存在した3‑IPBはほとんど 消費されずに残留し、4‑IPBだけが消費された。選択性については4,4'‑DIPB選択率 が3̲/4̲比の減少に伴い増加した。4‑IPBだけで反応を行った場合、結果は通常のビフ ェニルのイソプロビル化とほぼ同じであり、非常に高い4,4,‑DIPB選択率を示した。すべ ての3̲/4̲比においてビフェニル、2‑IPB、3,3,‑DIPB及びTIPBはほとんど生成しなかっ た。触媒細孔内の生成物分布は全ての3‑/4‑比でほぼ一定であり、4,4'‑DIPB選択率 は非常に高い値を示した。これらの結果は、3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応にお いて、基質として使用されるのは主に4‑IPBのみで、3一IPBは反応物規制によって触媒 細孔内への進入が困難であり、反応への関与が少ないことを示している。しかし、4‑IPB が消費され尽くすと、3‑IPBも僅かながら反応して3,4‑DIPBを生成し、4,4'‑DIPB選択

率低下の原因になると考えられる。

r十

H̲MORを用いた3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応における反応温度の影響を Fig.4‑2に示す。3‑/4‑IPB混合比は5/5である。2500Cまで3‑IPBはほとんど消費され ないが、2750C以上になると消費され始め、その存在比が急激に減少した。4‑IPBは 2500Cの時点でほとんど消費され尽くしており、それ以上の温度でも僅かしか存在しな

かった。どの反応温度においてもビフェニ、2‑IPB及びTIPBはほとんど生成しなかったこ

選択性については4,4,‑DIPB選択率が2500C以下では非常に高い値を示したが、

2750C以上において急激に減少した。これらの結果から、2500Cまでは反応物規制によ って4̲IPBのみが反応し、4,4,‑DIPBを選択的に生成したが、2750C以上になると触媒 外表面で3‑IPBがイソプロビル化し、3,4,‑DIPBや3,3,‑DIPBを生成し、4,4'一DIPB選 択率低下の原因となると考えられる。

高い反応温度における3‑IPBの減少について詳しく検討するため、触媒細孔内生成 物の分析を行った。H‑MORを用いた3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応における触 媒細孔内生成物に対する反応温度の影響をFig.4‑3に示す。反応温度の変化に関わ らずほぼ一定の生成物分布をしめし、4,4,‑DIPB選択率も非常に高かった。これは、触 媒細孔内においては4‑IPBを基質とした形状選択的な反応のみ進行しており、3‑IPB は細孔内に進入、反応することができないことを示している。

以上の結果から3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応において、3‑IPBは反応物規 制により触媒細孔内に進入できず、触媒外表面における反応が激しく起こる高い反応 温度においてのみ触媒外表面で反応し、3,4,‑DIPB及び3,3,一DIPBを生成すると考え られる。このことから、高い反応温度におけるビフェニルのイソプロビル化では、

4,4,‑DIPBの異性化反応だけではなく、3‑IPBのイソプロビル化反応も選択率低下の原 因の一つであると考えられる。

4̲2̲3 プロピレン圧の影響

H̲MORを用いた3‑〃トIPBのイソプロビル化反応におけるプロピレン圧の影響をFig・

4̲4に示す。3‑/4‑IPB混合比は5/5である。プロピレン圧の減少に伴い、3‑IPBはゆっく りと減少した。4‑IPBはすべてのプロピレン圧においてほとんど存在しなかった。選択性 については4,4,‑DIPB選択率は0.4MPaまでは高い値を示したが、0・2MPa以下にな

ると急激に減少し、かわって3,4,‑DIPBが急激に増加した。これらの結果から、3‑IPBは 反応物規制により触媒細孔内への進入が困難であり、反応が進行しなかったことを示し ている。また、低プロピレン圧において4‑IPBから生成した4,4,‑DIPBの異性化が進行し、

3,4,‑DIPBを生成するため4,4,‑DIPB選択率低下の一因になったと考えられる0

低プロピレン圧における4,4,‑DIPB選択率低下について詳しく検討するため、触媒細 孔内生成物の分析を行った。H‑MORを用いた3‑′4‑IPB混合物のイソプロビル化反応

以上の結果から3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応において、3‑IPBは反応物規 制により触媒細孔内に進入できず、反応には関与していないと考えられる。つまり、低い プロピレン圧における4,4,‑DIPB選択率低下は4,4,‑DIPBの異性化反応が原因であり、

3‑IPBから生成する3,4,‑及び3,3,‑DIPBが主たる原因ではないと考えられる。

4‑2‑4反応時間の影響

H̲MORを用いた3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応における反応時間の影響を Fig.4‑6に示す。3‑/4‑IPB混合比は5/5である。時間の経過に関わらず3‑IPBほとんど 減少しなかったが、360minでは若干減少した。4‑IPBは反応開始後10minで急激に 減少した。その後はゆっくりと減少し、360minでは僅かしか存在しない。4,4'‑DIPB選 択率は時間経過と共に緩やかに減少した。これらの結果は、3‑IPBは反応物規制により 触媒細孔内に進入、反応できず、ほとんど消費されないことを示している。しかし、360 minにおいては4‑IPBが消費され尽くしたため、ある程度消費されたと考えられる。

より詳しい検討を行うため、触媒細孔内生成物の分析を行った。H‑MORを用いた 3̲/4●IPB混合物のイソプロビル化反応における触媒細孔内生成物に対する反応温度 の影響をFig.4‑7に示す。時間の経過に関わらずほぼ一定の生成物分布をしめし、

4,4,‑DIPB選択率も非常に高かった。これは、触媒細孔内においては4‑IPBを基質とし た形状選択的な反応のみ進行しており、3‑IPBは細孔内に進入、反応することができな いことを示している。

以上の結果から3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応において、3ザBは反応物規

制により触媒細孔内に進入できず、4‑IPBが消費され尽くした場合にのみ触媒外表面 においてゆっくりと3‑IPBのイソプロビル化が進行すると考えられる。

4‑3 結論

H̲MORを用いた3‑/4‑IPB混合物のイソプロビル化反応における基質の3‑/4‑IPB混 合比、反応温度、プロピレン圧及び反応時間が選択性に与える影響について検討した 結果、次のような結論が得られた。

1.3̲IPBは細孔内に進入しにくいため通常は反応にあまり関与しないが、優先的に 反応する4‑IPBがほぼ反応し尽くした場合においては外表面でのみ反応し、

3,4‑DIPBおよび3,3,‑DIPBを生成することにより選択率低下の原因になっていると 考えられる。

2.3̲IPBは細孔内に進入しにくいため低い反応温度では反応にあまり関与しないが、

高い反応温度においては外表面で反応し、3,4‑DIPBおよび3,3,一DIPBを生成する。

3,4‑DIPBおよび3,3,‑DIPBを生成することにより、選択率低下の原因となると考えら れる。

E)$tributionofreactant$andprodLJCtS

′一・

□BP