新築・売却型マイホームリースの仕組み
住宅保有法人 JTI
住宅売主 空き家 保有者
中古流通型
新築長寿命住宅型(セールリースバック方式)
メーカー
住宅ローン+所有 vs. マイホームリース
住宅ローンで所有権を買う
マイホームリースで居住(期間所有権)を買う
住宅ローン+所有 vs. マイホームリース
生涯コストの比較
得・損ではなく、
ライフスタイルの問題
前提
取得価額 3,500万円 5,000万円
金利 2%
自己資金 350万円 500万円
借入額 3,150万円 4,500万円
借入れ時年齢 40歳
35年住宅ローン
月返済額 104,348円 149,068円 総返済額 43,826,064円 62,608,663円
65歳時残高 11,340,491円 16,200,701円 定年後返済額合計 12,521,733円 17,888,190円25年リース
月リース料 104,348円 149,068円 総リース料 31,304,332円 44,720,474円
65歳(リース満了)時債務額 0 0
地方圏 大都市圏
リースの導入によって、住宅事業者の仕事のやり方 が大きく変わることはない。
ローンを組みますか? 展示場 リースにしますか?
請負契約締結 住宅完成・引渡 住宅ローン借入 リースの場合もロー
ン審査
住宅保有法人 JTI介在
住宅展示場
住宅セール リースバック
住宅ローン 債務引受
これまで通りの営業
債務引受型住宅ローン
実質的な購入者が借り入れた住宅ローンを引渡と同時に住宅保有主体が債務引受。
•
有利な条件の住宅ローンをそのまま住宅保有主体の調達に活用。
•
リース期間満了時に買取オプションを行使するときは、そのまま住宅ローンの再引受す ればよい。
中途解約時やリース債務不履行による強制解約時には、JTIが借上げ保証を行うことから、
「事実上貸し倒れないローン」が実現。
•
重畳的債務引受を行い、借上家賃を担保化するだけであり、特段追加的な商品開発は不 要。
•
JTIの借上げ家賃による事実上のノンリコース型ローンは、住宅機構の家賃返済型フラッ
ト35や常陽銀行・埼玉りそな銀行の家賃返済型リバースモーゲージに商品化がなされて
いる。
マイホームリースの問題
借地借家法 第三十八条 (定期建物賃貸借)
1 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面に よって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないことと する旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじ め、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の 満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付し て説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこと とする旨の定めは、無効とする。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物 の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」
という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知を しなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸 人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通 知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸 借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物 に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情に より、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったとき は、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合にお いては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係 る特約がある場合には、適用しない。
逆に言えば、中途退去時の再運用さえ確実に保証できれば、「返せなく なったら造作を放棄して出ていけばよいだけの住宅金融」が実現!
発想そのものは10年前か らあった。
小規模住宅にかかる定期借家契約 の入居者には事実上の中途解約権 がある。
長期契約では解約権を認めること に相応に合理性。
再運用を確実に行える体制の確立
が制度導入上必須。
JTIによる再運用リスクの吸収にめど
再運用リスクの分析
通常の集合住宅の借上げと異なり、長期定期借家の再運用リスクに は特殊な考慮が必要である。ここでは、全国に十分に分散された借 上げポートフォリオを前提に、次のようなモデルを構築しシミュレー ションを実施した。
1. 土地建物の取得価額は以下の3種類とし、それぞれがポートフォ リオに占める件数割合はA地域:50%、B地域30%、C地域20
%とする。
シミュレーションの前提
2. 土地と構造躯体の費用を50年借入れ(年利2%)でリース主体 が調達し、残額は入居者が負担するものとする。月返済額はABC の順位に、79,137円、108,154円、134,533円となる。
3. JTIは自らリース主体となるか、リース主体とユーザーの間に介 在し、上記家賃額面100%を空き家の場合にも支払うことを保 証するものとする。リース料は家賃差額が5%となるように決定 する。入居者が内装・設備について物件取得総額の1割程度の自 己負担をした上で、残額を20年の借入れで調達すると仮定した 場合の各地域における正味負担月額(租税負担・管理費・メン テナンス費用を除く)のイメージは下表の通りである。
4. 長期リース契約にかかるやむを得ない事情による中途解約率は 年率3%、また、リース料の債務不履行により解約となる率は年 率1.5%とする(参考:住宅金融支援機構の初期延滞を含む総延 滞率は約1.5%、繰上償還(最終貸倒れ)に至る比率は約0.3%
程度)。
5. 長期リース契約が解約された場合には発生時期にかかわらず爾 後は3年の定期借家契約で再運用するものとし、当初入居者決定 までに平均180日(標準偏差30日)を要するものとする。なお、
家賃水準はもともと非常に安定していることに加え、一般に短 期運用のほうが高めの家賃をとることができるので、今回のシ ミュレーションでは家賃変動リスクは考慮せず、中途解約率を保 守的に設定することにした。
6. 再運用契約の家賃水準は、物件が築浅の優良物件であることか ら、実際には長期リースより高めの設定が可能と考えられるが、
同水準でしか運用できないものとし、家賃差額も本来の10%で はなく5%しかとれないものとする。
7. 再運用後は、半年に12%程度の解約が生じ、再募集にはJTIのこ れまでの実績値を踏まえ平均100日(標準偏差70日)かかるも のとする。この期間についても、最低保証家賃ではなく、長期 リース契約の家賃額面100%を保証するものとする。
8. 以上の前提に基づき、家賃差額から空き家負担を除いた積立金 の20年目ならびに25年目における残高のシミュレーションを実 施。シミュレーションにあたっては最も変動が大きいと考えら れる ⑤と⑦の空き家期間について、その分布を対数正規分布 と仮定して1万回程度の試行を行った。
シミュレーションの結果
シミュレーションの結果、20年目の積立金残高はゼロとならない ことがわかった。また、25年目の積立金残高が負値となる確率は1.5
%程度である(98.5%パーセンタイルの安全率)ことがわかった(右 図)。いいかえれば、上記前提であれば基本的には国の債務保証基 金に手を付けることなく収支相等以上の運営を行うことができる。
大垣尚司「長寿化社会における定期借家制度の新たな位置づけ公的定額借上げ制度を活用したマイホームリースの可能性」立命館法学355号124-162頁より(一部編集)
構造躯体 内装設備
60% 40%
150,000 60 9,000,000 35,000,000 21,000,000 14,000,000 B 500,000 40 20,000,000 35,000,000 21,000,000 14,000,000 C 1,000,000 30 30,000,000 35,000,000 21,000,000 14,000,000
土地 建物
坪単価 面積(坪) 価格 価格
自己資金
5% 10%
借入
年数 月返済額 正味 月負担
RHC 入居者
借入額 借入 金利
借入
年数 月返済額 借入額 借入
金利
マイホームリースの理想型
住宅保有法人の設立と低利資金調達の実現
•
当面は債務引受方式を活用してJTI自身が住宅保有法人の役割を果たす仕組み(自己信託を活用して倒産隔離を 実現可能)を採用しパイロット事業を展開。•
ただし、理想的には特別法に基づくREIT的な法人がセールリースバックの相手方となり、JTIはバックアップ借 上げ機能の提供に特化することが望ましい。•
この場合、住宅保有法人のエクイティー持分を立ち上げ時に政府が保有し、10年〜15年程度の期間をかけて漸 次証券市場に売り出していくことにより(一種のresidential REIT)、同法人の資金調達を支援すると同時に、その価格形成を通じて戸建住宅の収益還元価値のインデックスとしての役割を果たさせることが考えられる。
メーカー 工務店
注文主 買主
住宅保有法人
購入 リース
リース料 売却
バックアップ借上げ
(中途退去リスクの吸収)
長寿命 住宅
デット 調達 持分
証券市場
政府
当初出資 漸次売出
基金保証