この章では、アプリケーションまたはモデルにおいて、コードが記述されたメソッドを作成するため に使用可能なアプリケーションビルダーのツールについて説明しています。 これらのツールは、
言語要素、自動コード記録、シンタックスチェック、検索ツール、デバッグツール、およびメソッドと ユーティリティクラスの作成、編集、テスト、およびデバッグのためのその他の機能を提供してく れます。
以下に、この章の構成を示します。
• 概要
• メソッドの作成
• アプリケーションのデバッグ方法
概要
アプリケーションビルダーは、アプリケーションが組み込み機能を拡張するタスクを実行するために使用するコードを記述する 目的でデザインされたツールとエディターウィンドウを提供しています。
メソッドエディタ―ウィンドウを開く
メソッドリボンツールバーからメソッドエディターツールをアクティブにします。 メソッドエディターウィンドウを開くには、タブをクリ ックするか、新規メソッドを作成するか、メソッドノードをダブルクリックするか、メソッドノードを右クリックして編集を選択します。
複数のメソッドエディターウィンドウを開くことができます。 メソッドエディターウィンドウのタブには、 ( アプリケーションメソッ ド用 )または ( モデルメソッド用 )とメソッドの名前が表示されます。
コーディングとメソッドの概要
アプリケーションビルダーでは、カスタムコードがメソッドノードで表されます。 コードを記述するには、最初にメソッドノードを作 成する必要があります。 メソッドノードを作成するには、リボンツールバーの新規メソッドのボタン( )をクリックするか、アプ リケーションビルダーウィンドウのメソッドノード( )を右クリックして新規メソッドを選択します。
新しいメソッドノードは、アプリケーションビルダーツリーのメソッドノードの下に表示され、アプリケーションメソッドを含んでいま す。 このようなメソッドは、全てのアプリケーションメソッドおよびフォームオブジェクトで使用することから、グローバルな利用 が可能です。 また、フォームの一部のフォームオブジェクトにローカルメソッドを作成することもできます。 ローカルメソッドは、
定義されているオブジェクトの外部でのアクセスや表示はできません。 これらのローカルメソッドは、チェックボックスの設定
( データ )が変更されたような場合に、フォームオブジェクト内のイベントに接続します。 メソッドノードは、コマンドシーケンス またはフォームオブジェクトのイベントからメソッドを参照するために使用されます。 モデルビルダーのモデルで使用する場合 は、モデルメソッドのためのモデルメソッドノードを作成することもできます。 モデルノードは、アプリケーションメソッドと同じよう に機能しますが、モデルビルダーで実行してCOMSOLマルチフィジックスモデルの一部を拡張またはカスタマイズすることが できます。
メソッドノードには、COMSOL Multiphysics®コードとJava®コードが含まれています。.アプリケーションビルダーウィンドウでダ ブルクリックするか、右クリックして編集を選択して、検査および編集を行うことができます。 メソッドを開くと、メソッドエディター ウィンドウにそのメソッドが表示されます。
エディタータブの中でコードに加えられた変更は、タブを閉じるかコードをコンパイルした後にアプリケーションビルダーモデル に格納されます。 コードのシンタックスをコンパイルしてチェックするには、リボンツールバーのシンタックスチェックボタン
( )をクリックします。 コードは、ApplicationMethod Javaクラスを定義します。 このクラスには、アプリケーションがそれ を実行するときにコマンドシーケンスが呼び出すexecuteというメソッドがあります。 典型的な使用例は、メソッドノードを作成
し、executeメソッドにコードを記述し、このコードをアプリケーションのユーザーインタフェースのフォームオブジェクトがトリガ
ーできるコマンドシーケンスにリンクすることです。 フォームオブジェクトの状態に影響するようなメソッドは、即座に適用されま す。
デフォルトの設定では、executeメソッド内に含まれるコードのみが表示されます。 全てのコードを表示するには、コード全表 示のチェックボックスをオンにします。 これは、環境設定ダイアログボックスのメソッドセクションにおける環境設定です。
アプリケーションの実行中にexecuteメソッドがトリガされる際に、modelはそのアプリケーションのモデルオブジェクトです。
このメソッドでは、フィジックスのフィーチャにアクセスしてパラメータを変更することができます。
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アプリケーションビルダーウィンドウ
アプリケーションビルダーウィンドウは、アプリケーションビルダーを使用しているときに、デフォルトでデスクトップの左端に配 置されているウィンドウです。 そのツリーには、アプリケーション内の全てのコンポーネント( フォーム、メソッド、ファイルなど ) のノードが含まれています。
Figure 4-1: アプリケーションビルダーウィンドウ
ツリー内のメソッドノードをダブルクリックすると、そのコードがエディタータブに表示されます。 ノードに関連付けられたエディタ ータブがすでに開いている場合は、タブにフォーカスが置かれます。 ツリー内のノードを右クリックすると、コンテキストメニュ ーが開きます。 このメニューには編集オプションがあり、これによってエディターが開かれもします。 コンテキストメニューに は、上へ移動、下へ移動、コピー、複製など、モデルビルダーツリーノードの標準オプションも含まれています。
エディタータブが開いている場合にツリー内のメソッドノードを選択すると、ノードに関連付けられているエディタータブにフォー カスが移ります。 同様に、エディタータブをクリックしてそこにフォーカスされると、それに対応するノードがアプリケーションビ ルダーウィンドウで選択されます。
メソッドウィンドウ
各メソッドにおいて、メソッドウィンドウにはメソッドのコードが含まれています。 手動でコードを入力したり、モデリング手順のコ ードを記録したり、モデルコード、モデル方程式、および言語要素ウィンドウからコードを挿入することができます。 メソッドエデ ィターウィンドウでは、シンタックスハイライトを使用します。 これは、環境設定ダイアログボックスで定義することができます
( シンタックスハイライトを参照 )。 メソッドエディターウィンドウでは、標準のキーボードショートカットとコンテキストメニューを 使用して、コードの一部を選択、コピー、カット、ペースト、および削除することができます。 コード行をトリプルクリックするか、メ ソッドエディターウィンドウの左側にある行番号をクリックすると、コード行全体を選択することができます。
メソッドツールバー
メソッドのコンテキストリボンツールバーは、メソッドの作成、編集、およびデバッグのためのほとんどの機能へのアクセスを提 供しています。 それは、メソッドエディターウィンドウがアクティブな場合に使用できます。 このセクションでは、メソッドツールバ ーのボタンについて簡単に説明しています。
メインセクション
このセクションには、別のウィンドウに移動して新規フォームとメソッドを作成するための以下のボタンが含まれています。
• モデルビルダーボタン( ): アプリケーションビルダーからモデルビルダーウィンドウ、および標準のCOMSOLデスクト ップに切り替えます。
• 新規フォームボタン( ): 新規フォームウィザードを使用して新しいフォームを作成します。 フォームの操作と新規フォ ームウィザードの使用を参照してください。
• 新規メソッドボタン( ): モデルに新しいメソッドノードを作成し、そのコードを新しいエディタータブで開きます。 メソッド ノードとメソッドエディターウィンドウを参照してください。
• データアクセスボタン( ): モデルに依存するデータとプロパティ、および実行中のアプリケーションからデータアクセス 機能を通して変更可能なアプリケーション固有のプロパティを追加します。 データアクセスを参照してください。
• メソッドを記録ボタン( ): 埋め込みモデルの操作の記録セッションを開始して、新しいメソッドを作成します。その後、
埋め込みモデルはそのメソッド内でコードとして利用できます。 記録が開始されると、そのボタンは記録停止ボタン( ) に変わり、クリックすると記録が終了します。 コードの記録を参照してください。
• 設定ボタン( ): 設定ウィンドウを開いたり閉じたりします。
• プレビューボタン( ): アプリケーションのフォームとメソッドのライブプレビューのためのプレビューウィンドウを、表示ま たは非表示にします。 プレビューウィンドウでは、スクロールしてアプリケーション内の全てのフォームとメソッドのプレビュ ーをみることができます。 例えば、フォームとやりとりするメソッドを操作している場合などに便利です。 プレビューウィンド ウでフォームのプレビューを表示するには、アプリケーションビルダーウィンドウでフォームまたはメソッドノードを選択しま す。
• エディターツールボタン( ): エディターツールウィンドウを表示または非表示にします。 エディターツールウィンドウで は、よく使うCOMSOLマルチフィジックスのモデル操作を選択してメソッドに挿入したり、それらに基づいてフォームオブジ ェクトを生成したりすることができます。 モデルコードとフォームオブジェクトの追加を参照してください。
ライブラリセクション
このセクションには、外部コードとユーティリティクラスを挿入するための以下のボタンが含まれています。
• ユーティリティクラスボタン( ): モデルに新しいユーティリティクラスノードを作成し、そのコードを新しいエディタータブ で開きます。 ユーティリティクラスノードを参照してください。
• 外部Javaライブラリボタン( ): モデルに新しい外部Javaライブラリノードを作成します。 外部Javaライブラリノード を参照してください。
• 外部Cライブラリボタン( ): モデルに新しい外部Cライブラリノードを作成します。 外部Cライブラリノードを参照して ください。
編集セクション
編集セクションには、次のボタンがあります。
• 保存状態に戻すボタン( ): メソッドを最後に保存してから行った変更を破棄し、保存したバージョンに戻します。
コードセクション
このセクションには、コードをより直接的に扱う以下のボタンが含まれています。
• 言語要素ボタン( ): 言語要素ウィンドウを表示または非表示にします。 ここで、言語要素を選択してメソッドに挿入す ることができます。 言語要素の追加を参照してください。
• モデル表現ボタン( ): モデル表現ウィンドウを表示または非表示にします。 ここでは、COMSOLマルチフィジックスの モデル表現を選択してメソッドに挿入することができます。 モデル表現の追加を参照してください。
• シンタックスチェックボタン( ): 作成した全てのメソッドのシンタックスをチェックします。 メソッドのシンタックスエラーと 警告は、エラーと警告ウィンドウに表示されます。 エラーと警告ウィンドウを参照してください。
• ノードへボタン( ): 選択したソースコードのモデルエンティティに対応する組み込みモデルのノードに移動します。 ソ ースコードがマップされるノードへ移動を参照してください。
• コードを記録ボタン( ): メソッドのコードとして後で使用できる埋め込みモデル操作の記録セッションを開始します。 記 録が開始されると、ボタンは記録停止ボタン( )に変わり、クリックすると記録が終了します。 コードの記録を参照してく ださい。