マルチキャスト機能とは、異なるネットワーク上に複数の受信者がいる場合に、動画や音声データなどを効率よ く配送することができる機能です。
配送される受信者が存在するインタフェースにだけパケットを複製して転送することで、通常のユニキャストに よるパケットの配送に比べて、ネットワークのトラフィックを削減することができます。
以下の図のように、ユニキャストによる配送では、送信元から受信者の数だけパケットが送出されるため、送信 元のトラフィックが受信者数に比例して増大してしまいます。マルチキャストによる配送では、 1つのパケット を必要な数だけ中継ルータでコピーして配送するため、ネットワークの負荷を軽減できます。
本装置には、マルチキャスト機能を動作させるマルチキャストルーティングプロトコルとして、以下の 2種類の プロトコルがあります。
• PIM-DM
• PIM-SM
また、本装置では、ルーティングプロトコルは使用しないで、スタティックにマルチキャスト経路を設定するこ ともできます。
以下に、それぞれのルーティングプロトコルについて説明します。
2.9.1 PIM-DM
PIM-DMは、会社の LANなど、十分な帯域と信頼性のあるネットワーク上で利用するプロトコルです。パケット
の配送は、送信元が配送樹の頂点となります。
受 信 者 否 受 信 者
受 信 者
受 信 者 送信元
受 信 者 否 受 信 者
受 信 者
受 信 者 送信元
ユニキャストによる配送 マルチキャストによる配送
パケットの流れ
中継ルータ
中継ルータ 中継ルータ
中継ルータ
中継ルータ 中継ルータ
受 信 者 否
受 信 者
受 信 者
受 信 者 送信元
パケットの流れ
中継ルータ
中継ルータ 中継ルータ
マルチキャスト機能
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2.9.2 PIM-SM
PIM-SMは、インターネットなど、十分な帯域を保証されないネットワーク上で利用するプロトコルです。パ
ケットは、送信元から RP(ランデブーポイント)に一度送られ、 RPが配送樹の頂点となります。
RPの情報は、 BSR(ブートストラップ・ルータ)によって広報されます。 PIM-SMを利用する場合、ネット ワーク上で 1つ以上の RPと BSRを動作させる必要があります。
マルチキャスト・パケットは、最初は RPを経由して転送されますが、その後最短経路( SPT: Shortest Path Tree)を経由して転送する経路に切り替わります。
受 信 者 否
受 信 者
RP
パケットの流れ 送信元
1
受 信 者 2
受 信 者 3 中継ルータ
中継ルータ 中継ルータ
受 信 者 否
受 信 者
RP
パケットの流れ 送信元
1
受 信 者 2
受 信 者 3 受信者2、3
への最短経路
受信者1への 最短経路
中継ルータ
中継ルータ 中継ルータ
マルチキャスト機能
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• マルチキャスト機能での配送は信頼性を持たないため、 パケットの消失や重複などが起こる可能性があります。これ らの信頼性の確保は、 アプリケーション側での責任になります。
• マルチキャストを利用する 場合は、隣接するすべてのルータ上でマルチキャスト機能を有効にしておく必要があります。
• 隣接するすべてのルータ上で、 同じプロトコルを選択する必要があります(本装置では PIM-DMと PIM-SMは併用 できません)。
• マルチキャストをスタティック経路で転送する場合は、 PIM-DM、 PIM-SMを併用することはできません。
• PIM-DM、 PIM-SMは、動作する際、ユニキャストのルーティングテーブルを参照するため、 ユニキャストの経路を
正しく設定してください。 このとき、 RIPや OSPFなどのユニキャスト・ルーティングプロトコルと併用することが できます。
• マルチキャスト・プロトコルにPIM-SMを利用する場合、ネットワーク上で 1つ以上の RPと BSRを動作させる必要 があります。 RPまたは BSRが消失した場合、既存の通信を含め、通信できなくなります。これを防止するためには、
RPおよび BSRを複数動作させます。
• マルチキャスト機能は、 マルチ NAT機能と併用することができません。
• IPアドレスが設定されていないインタフェースではマルチキャスト機能を使用することはできません。また、リモー トインタフェース上でマルチキャスト機能を動作させる場合は、 自側 IPアドレスと相手側 IPアドレスの両方を正し く設定する必要があります。
• 本装置で実装されている PIM-SMのバージョンは PIM-SMv2です。 PIM-SMv1の装置との接続は保証されません。
• PIM-SMでは、送信元と RPの間を PIM Registerパケットによって通信します。
PIM Registerパケットのチェックサムの計算範囲は、 RFC2362ではヘッダ部だけで計算するように定義されていま
すが、一部のルータはパケット全体で計算します。 このようなルータが RPを行う場合は、チェックサムの計算範囲 を「パケット全体」 に変更する必要があります。本装置は PIM Registerパケットの受信時には、ヘッダ部( RC2362 準拠)とパケット全体の 2つの方法で計算するため、本装置が RPを行う場合は、どちらの計算方法のパケットを受 信しても問題はありません。
• 転送経路を SPTに切り替える場合は、 一時的に複数のマルチキャスト・ルーティングテーブルを作成します。このた め、マルチキャスト・ ルーティングテーブルの上限数の通信ができなくなる可能性があります。
• SPTへの切り替えは、パケットの転送開始直後に行われます。パケット受信者の直前のルータで SPT切り替えを無効 に設定することによって、 SPTへの切り替えを無効にすることができます。
• インタフェースごとにパケットの TTL( Time To Live)しきい値を設定することによって、 特定の TTLのパケットを 遮断することができます。
• マルチキャスト・パケットは、パケット送信者側のルータと RP間を PIM Registerパケットによってカプセル化され、
ユニキャスト転送されます。このとき、トンネル用の仮想的なインタフェースとして、 registerインタフェースを使用 し ます。 registerインタ フェースに は通常のマ ルチキャ スト・インタフ ェースの設 定は適用さ れません。こ のため、
PIM Registerによってカプセル化されたパケットには、インタフェースの TTLしきい値の設定は適用されません。
• パケット送信者側のルータとRP間は、 転送開始時に PIM Registerによってカプセル化され、 ユニキャスト通信され ますが、転送開始直後にはマルチキャスト・ パケットによる通信に切り替わります。
BR500S コマンド設定事例集「 2.10 マルチキャスト機能を使う」( P.120)
BR500S Web設定事例集「 2.10 マルチキャスト機能を使う」( P.295)
VLAN機能
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