い。
第三部 マネージメント
実地医家はどのように対応すればいいか
エビデンス・レポートをうけてだされた
Subclinical Thyroid Disease Clinical Applications Col NF, Surks MI, Daniels GH. JAMA 291:239, 2004
を中心に
潜在性甲状腺機能低下症 潜在性甲状腺機能亢進症
にわけて、マネージメントのフローを説明する
潜在性甲状腺機能低下症
血清TSH >4.5mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
スクリーニングでTSH上昇が発見されたとき
本当に甲状腺の異常か?
甲状腺以外の原因でTSHが上昇しているのではないか?
原因は?
治療が必要な状態はないか?
などを同時に考えて、診断、治療を進めるが、ステップバイス テップ方式で考えると、
TSHが著しく高値であれば、
すぐにFT4を測定し、治療
を開始する。そうでない場合は、
血清TSH >4.5mlu/L 2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
潜在性 甲状腺 機能低下症
TSHが著しく高値であれば、
すぐにFT4を測定し、治療 を開始する
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
No Yes
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
TSHが著しく高値であれば、
すぐにFT4を測定し、治療
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
FT4低値
(0.8ng/dl)? FT4低値
(<0.8ng/dl)?
L-T4で治療 L-T4で治療
Yes
Yes Yes
No
No No
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
FT4低値であれば、
原因を調べて治療する
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
FT4低値
(0.8ng/dl)? FT4低値
(<0.8ng/dl)?
L-T4で治療 L-T4で治療
Yes
Yes Yes
No
No No
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
FT4が正常範囲のとき
潜在性甲状腺機能低下症ということになる
• 本当に潜在性甲状腺機能低下症か?
• 潜在性甲状腺機能低下症の原因は?
本当に
潜在性甲状腺機能低下症か?
以下のTSH値上昇とは区別する
• NTIからの回復期の一時的なTSHの上昇
• 薬剤性(メトクロプラミド、ドンペリドン服用中)プリンペラン、ナウゼリン
• 破壊性甲状腺炎からの回復期
• TSH測定に関する干渉物質の存在(HAMAなど)
• 中枢性甲状腺機能低下症(FT4は通常低値)
• リコンビナントヒューマンTSHの注射をうけているもの
• TSH産生腫瘍、甲状腺ホルモン不応症
• うつ状態
潜在性甲状腺機能低下症の 原因は?
• 橋本病
• バセドウ病治療後
(アイソトープ治療,手術治療、抗甲状腺薬治療)
• 甲状腺機能低下症にたいする不十分な補充療法
• ヨード過剰(海藻類摂取過剰、ヨードを含む薬剤、造影剤)
• 炭酸リチウム治療
• 頚部外照射後
• 原因不明?
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
FT4低値
(0.8ng/dl)? FT4低値
(<0.8ng/dl)?
L-T4で治療 L-T4で治療
Yes
Yes Yes
No
No No
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
潜在性甲状腺機能低下症であることが明らかになった ヨード過剰の場合は、ヨード制限
この条件で、治療が必要なものは?
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
FT4低値
(0.8ng/dl)? FT4低値
(<0.8ng/dl)?
妊娠あるいは
妊娠を検討 L-T4で治療
L-T4で治療 妊娠あるいは
妊娠を検討
他の臨床所見 を参考に治療
を考える 治療する?
Yes
Yes Yes
Yes No
No
No No
No Yes
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
どのようなときに治療するのか?
TSH10μU/ml以下であるが
治療を試みても良いと考えられているもの
• 甲状腺機能低下症と一致する症状のあ るもの
に加えて
• 排卵異常を伴う不妊患者
• 高コレステロール血症
• 甲状腺腫が大きいもの
• 抗甲状腺抗体が陽性例
血清TSH >4.5mlu/L
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
2-12週後にTSH再検する、
FT4も同時に測定
6-12ヵ月後毎に 経過観察、数年間 血清TSH
4.5~10mlu/L
FT4低値
(0.8ng/dl)? FT4低値
(<0.8ng/dl)?
妊娠あるいは
妊娠を検討 L-T4で治療
L-T4で治療 妊娠あるいは
妊娠を検討
定期的に観察しながら L-T4治療を考慮
甲状腺機能低下症に 一致する症状、所見
6-12ヶ月毎に 血清TSHを測定
他の臨床所見 を参考に治療
を考える Yes
Yes
Yes Yes
Yes No
No
No No
No No
Yes
血清TSH
>10mlu/L
潜在性 甲状腺 機能低下症
いつまで治療を続けるのか?
TSH4.5-10 μ U/ml で治療を始めたとき
いつまで治療を続けるのか?
• 数ヶ月間治療する
• 治療を継続するかどうかは、症状が明らかに改善 したときである
• 症状の改善が軽度の場合、薬を続けるかどうかは、
不便さ、費用、治療することによるリスクとのバラ ンスである。
• 気をつけないといけないのは、治療を継続するこ
とにベネフィットがあるというエビデンスがないので、
薬の治療効果なのか、プラセボ効果なのかを見分 ける必要がある。
潜在性甲状腺機能亢進症
血清TSH <0.45mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症
最初にチェックするポイントは?
スクリーニングでTSH低値が発見されたとき
本当に甲状腺の異常によるものか?
原因は?
治療が必要な状態か?
を同時に考えて、診断、治療を進めるが、
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈
Yes No
潜在性 甲状腺
機能亢進症
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
Yes No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
潜在性 甲状腺
機能亢進症
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値 治療する
Yes
Yes No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
潜在性 甲状腺
機能亢進症
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
Yes
Yes
Yes No
No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
潜在性 甲状腺
機能亢進症
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
Yes
Yes
Yes No
No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
血清TSH 0.1~0.45 mlu/L 血清TSH <0.1 mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症
甲状腺ホルモン基準値内、TSH低値で
潜在性甲状腺機能亢進症ということになるが
本当に潜在性甲状腺機能低下症?
本当に
潜在性甲状腺機能亢進症?
他の原因によるTSH低値ではないかを考える
• Nonthyroidal Illness; NTI
• 妊娠中
• 中枢性甲状腺機能低下症
• グルココルチコイド、ドパミン、ドブタミン服用中
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
Yes
Yes
Yes No
No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
血清TSH 0.1~0.45 mlu/L 血清TSH <0.1 mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症
潜在性甲状腺機能亢進症である
原因は?
一過性のものではないか?
潜在性甲状腺機能亢進症の原因?
外因性
甲状腺ホルモン補充療法中(投与過剰)
甲状腺ホルモン抑制療法中
内因性
機能性結節性甲状腺腫 プランマー病
腺腫様甲状腺腫 バセドウ病
アイソトープ治療後 手術治療後
ユーサイロイドグレーブス病
一過性の TSH 低値をおこすもの
• 破壊性甲状腺中毒症
(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎)
• 甲状腺中毒症治療中、治療後
の下垂体TSH産生細胞の回復の遅れ
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
Yes
Yes
Yes No
No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
血清TSH 0.1~0.45 mlu/L 血清TSH <0.1 mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症
?
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
経過観察 治療は任意
バセドウ病 あるいはAFTN
治療を考える Yes
Yes
Yes Yes
Yes No
No
No
No
No
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
原因を調べる
(放射性ヨード摂取率、シンチグラム)
心疾患、骨粗鬆症
60歳以上、女性ホルモン欠乏
血清TSH 0.1~0.45 mlu/L
経過観察 治療は任意
血清TSH <0.1 mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症
?
血清TSH <0.45mlu/L
心疾患の症状、所見
(うっ血性心不全、心房細動、不整脈 2週間以内にTSH再検する
FT4、T3(FT3)も同時に
FT4あるいはT3高値
血清TSH基準値内
(0.45~4.5mlu/L)?
12ヶ月毎、症状発現 時にTSHを測定する
治療する
心疾患、骨粗鬆症 機能亢進症の症状 経過観察
治療は任意
バセドウ病 あるいはAFTN
治療を考える
原因を調べる 治療を考える Yes
Yes
Yes Yes
Yes No
No
No
No
No
No Yes
3-12週間以内にTSH再検する FT4、T3(FT3)も同時に
原因を調べる
(放射性ヨード摂取率、シンチグラム) 3-12ヵ月後、症状 発現時に経過観察
心疾患、骨粗鬆症
60歳以上、女性ホルモン欠乏
血清TSH 0.1~0.45 mlu/L
経過観察 治療は任意
血清TSH <0.1 mlu/L
潜在性 甲状腺
機能亢進症