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マイスリー錠の概要

ドキュメント内 p (ページ 48-53)

入眠剤 向 習 指 要旨

薬価:2000年11月 含量:5mg,10mg/錠

250

200

150

100

0

1984 87 90 93(年) 

59 100    

躁うつ病 

睡眠障害  不整脈  神経症  神経性  食欲不振  過敏性  大腸症候群  気管支喘息 

図1 睡眠障害による外来推計患者数の変化

(10万人対)

属する非ベンゾジアゼピン系について述べる。

BZ系,非BZ系睡眠薬は,脳内のBZ受容体を介し て大脳辺縁系や視床下部に作用し,その鎮静作用 により情動活動を低下させ,睡眠をもたらすとさ れている。

BZ系睡眠薬は,耐性や依存性を生じにくく,

大量服用してもそれだけで生命を失う危険性はき わめて低いなど,安全性の高い薬剤である。しか し,筋弛緩作用,持ち越し作用,呼吸抑制など,

まだまだ克服すべき多くの問題点が残されていた ため,これらの副作用を克服し,より自然な睡眠 を誘発する理想的な睡眠薬として,非BZ系睡眠 薬が開発された。

BZ系,非BZ系睡眠薬は,その消失血中半減期の 長さの違いから,超短時間作用型,短時間作用型,

中間作用型,長時間作用型の4つに分類される。

BZ系,非BZ系睡眠薬の消失半減期による分類 を表に示す5)

フランスのサンテラボ社(現サノフィ-サンテ ラボ社)では,ω受容体のサブタイプに選択的に 作用する薬剤を開発するために,ベンゾジアゼピ ン構造とは異なるイミダピリジンをプロトタイプ として1979年より研究を開始し,1980年ゾルピデ ムを発見した。ゾルピデムはω1受容体に特異性 が高く,動物実験で選択的な催眠鎮静作用を示す

マイスリー錠の概要

ことから,催眠鎮静剤として,ベンゾジアゼピン 系睡眠薬の欠点が改良される可能性が示唆され,

1982年より臨床試験が開始された。その結果,ベ ンゾジアゼピン系睡眠薬とは異なる特徴及び有用 性が確認され,フランスでは1987年6月に承認さ れた。

日本では,1987年5月より開発が始められ,不 眠症(精神分裂病及び躁うつ病に伴う不眠症は除 く)に対する有用性が認められ,2000年9月承認 を取得した。

現在,フランス,米国,イギリス,ドイツをは じめ世界77ヶ国で発売されている。

(参考)ω(オメガ)受容体について

中枢のGABA受容体のうち,ベンゾジアゼピン 系睡眠薬はGABAA受容体に関与する。GABAA受 容体は,BZ系・非BZ系睡眠薬が結合するBZ受容 体をはじめとする4つの受容体と複合体をなして おり,それをGABA-BZ受容体複合体とよぶ。ま た,BZ受容体はBZ系薬剤以外の化合物の中にも 結合するものがあるため,ω(オメガ)受容体とよ ばれるようになってきている。

ω受容体は更にω1,ω2に分類され,ω1受容体 は主に小脳,黒質,淡蒼球に,ω2受容体は脊髄,

海馬,線条体に多く存在する。

また,ラット・マウスを用いた研究から,ω1 受容体は鎮静・催眠作用を,ω2受容体は抗痙攣,

筋弛緩,運動失調,記憶障害作用などを担ってい 構 造 分 類 一 般 名 商 品 名 未変化体の半減期 活性代謝物の半減期

(時間) (時間)

非ベンゾジアゼピン系 zolpidem tartrate マイスリー 2 −

zopiclone アモバン 3〜4 −

超短時間型 triazolam ハルシオン 2〜3 4

brotizolam レンドルミン 7 −

短 時 間 型 etizolam デパス 6 18

lormetazepam エバミール 10 −

rilmazafone hydrochloride リスミー − 10

nitrazepam ベンザリン,ネルボン 21〜25 −

中 間 型 nimetazepam エリミン 21 −

estazolam ユーロジン 24 −

flunitrazepam ロヒプノール,サイレース 15 31

flurazepam hydrochloride インスミン,ベノジール 5〜9 41〜100

長 時 間 型 haloxazolam ソメリン − 42〜123

quazepam ドラール 37 38〜116

(文献5)を一部改変)

表 消失半減期による分類

ベンゾ ジアゼ ピン系

― 51 ― 都薬雑誌 Vol. 23 No. 3(2001)

ると推測されている。そのため,ω1選択性アゴ ニストは選択的な催眠鎮静作用を持ち,従来の睡 眠薬の持つ副次的な作用である健忘などの認知機 能への影響,耐性や依存性,反跳性不眠,抗痙攣 作用と断薬時の反跳性けいれん,筋弛緩作用によ る転倒,呼吸抑制作用,アルコールとの相互作用 が少ないことなどが期待された6)

【一般名】酒石酸ゾルピデム

【製造販売元】藤沢薬品工業株式会社

【製造承認年月日】2000年9月22日

【薬価基準収載年月日】2000年11月17日

【発売年月日】2000年12月13日

【識別コード】5mg錠:f 601,10mg錠:f 633

【作用機序】

本剤は,ω1(BZD1)受容体に対して選択的な 親和性を示し,GABAA系の抑制機構を増強する ものと考えられる。

H3C

CH3

COOH C OH C H H HO

COOH CH3 ・1/2

CH3

N N

CH2CON

【禁忌】

(1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患 者

(2)重篤な肝障害のある患者[代謝機能の低下 により血中濃度が上昇し,作用が強くあら われるおそれがある。]

(3)重症筋無力症の患者[筋弛緩作用により症 状を悪化させるおそれがある。]

(4)急性狭隅角緑内障の患者[眼圧が上昇し,

症状を悪化させるおそれがある。]

【原則禁忌】

肺性心,肺気腫,気管支喘息及び脳血管障害の 急性期などで呼吸機能が高度に低下している場合

[呼吸抑制により炭酸ガスナルコーシスをおこし やすい。]

【効能・効果】

不眠症(精神分裂病及び躁うつ病に伴う不眠症 は除く)

※効能・効果に関連する使用上の注意とその理由 本剤の投与は,不眠症の原疾患を確定してから 行うこと。なお,精神分裂病あるいは躁うつ病に 伴う不眠症には本剤の有効性は期待できない。

【用法・用量】

通常,成人には酒石酸ゾルピデムとして1回5

〜10mgを就寝直前に経口投与する。なお,高齢 者には1回5mgから投与を開始する。年齢,症 状,疾患により適宜増減するが,1日10mgを超 えないこととする。

【重要な基本的注意】

(1)本剤の投与は継続投与を避け,短期間にと どめること。やむを得ず継続投与を行う場 合には,定期的に患者の状態,症状などの 異常の有無を十分確認のうえ慎重に行うこ と。

(2)本剤を投与する場合,就寝の直前に服用さ せること。また,服用して就寝した後,患 者が起床して活動を開始するまでに十分な 睡眠時間がとれなかった場合,又は睡眠途 中において一時的に起床して仕事等を行っ た場合などにおいて健忘があらわれたとの 報告があるので,薬効が消失する前に活動 を開始する可能性があるときは服用させな いこと。

作用機序

マイスリーは,中枢神経系のGABA-ベンゾジア ゼピン受容体複合体のサブタイプであるω1受容 体に選択的に結合する(in vitro)ことで,催眠鎮 静作用を示すと考えられる。

参考

中枢のGABA-ベンゾジアゼピン受容体複合体にはω1受容体,

ω2受容体の2つのサブタイプがある。これらの受容体の脳 内分布は異なり,ω1受容体は小脳,嗅球,淡蒼球などに多 く分布し主に催眠鎮静作用に,ω2受容体は脊髄,海馬,綿 条体などに多く分布し主に筋弛緩作用に深く関与している。

監修:久留米大学医学部神経精神医学 助教授 内村直尚

(3)本剤の影響が翌朝以後に及び,眠気,注意 力・集中力・反射運動能力などの低下が起 こることがあるので,自動車の運転など危 険を伴う機械の操作に従事させないように 注意すること。

【相互作用(併用注意)】

1)麻酔剤:呼吸抑制があらわれることがあるの で,慎重に投与すること。

2)中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体,バ ルビツール酸誘導体等):相互に中枢神経抑 制作用が増強することがあるので,慎重に投 与すること。

3)アルコール(飲酒):精神機能・知覚・運動 機能等の低下が増強することがあるので,で きるだけ飲酒を控えさせること。

4)リファンピシン:本剤の血中濃度が低下し,

作用が減弱するおそれがある。

【副作用】

総症例1,102例(精神分裂病及び躁うつ病に伴 う不眠症を含む)中,副作用(臨床検査値の異常 変動を除く)は190例(17.2%)に348件報告され,

主な副作用は,ふらつき44件(4.0%),眠気38件

(3.4%),頭痛31件(2.8%),倦怠感31件(2.8%), 残眠感29件(2.6%),悪心23件(2.1%)等であっ た。臨床検査値の異常変動は,ALT(GPT)上昇 1.5%(12/778),γ-GTP上昇1.1%(8/702),

AST(GOT)上昇1.0%(8/777),LDH上昇1.0%

(7/700)等であった。(承認時:2000年9月)

【高齢者への投与】

運動失調が起こりやすい。また,副作用が発現 しやすいので,少量(1回5mg)から投与を開 始し,1回10mgを超えないこと。

※運動失調(ataxia):ふらつきのように,筋力低 下や麻痺がないのに筋群相互間のバランスや強調 運動の障害により随意運動を円滑に行えない状 態。

【妊婦・産婦,授乳婦への使用】

(1)妊婦等:妊娠または妊娠している可能性の ある婦人には,治療上の有益性が危険性を 上回ると判断される場合にのみ投与するこ と。[妊娠中の投与に関する安全性は確立し ていない。]

(2)授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けるこ

とが望ましいが,やむを得ず投与する場合 は,授乳を避けさせること,[母乳中ヘ移行 することが報告されており,新生児に嗜眠 を起こすおそれがある。]

【過量投与】

徴候,症状:外国における本剤単独の過量投与 では,傾眠から軽度昏睡までの意識障害が報告さ れているが,更に中枢神経抑制症状,血圧低下,

呼吸抑制,無呼吸等の重篤な症状があらわれるお それがある。

処置:呼吸,脈拍,血圧の監視を行うとともに,

催吐,胃洗浄,吸着剤,下剤の投与,輸液,気道 の確保等の適切な処置を行うこと。また,本剤の 過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフ ルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を 投与する場合には,使用前にフルマゼニルの使用 上の注意(禁忌,慎重投与,相互作用等)を必ず 読むこと。

※参考:本剤は透析では除去されない。

【適用上の注意】

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから 取り出して服用するよう指導すること。(PTPシ ートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入 し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合 併症を併発することが報告されている)

【その他の注意】

投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニ ル(ベンゾジアゼピン系受容体拮抗剤)を投与さ れた患者で,新たに本剤を投与する場合,本剤の 鎮静,抗痙攣作用が変化,遅延するおそれがあ る。

【臨床成績】比較試験を含む臨床試験(長期投与 試験は除く)における,精神分裂病及び躁うつ病 に伴う不眠症以外の不眠症での改善率は59.6%

(476例/799例)であった。

【使用期限】ケース等に表示(製造後3年)

【貯法・保存条件】室温保存,ただし錠剤分割後 は遮光保存

【包装】5mg錠:100錠(10錠×10),700錠(14 錠×50),1000錠(10錠×100),1000錠(バラ)

10mg錠:100錠(10錠×10),700錠(14錠×50), 1000錠(10錠×100),1000錠(バラ)

ドキュメント内 p (ページ 48-53)

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