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回のペースで日中合同セミナーを開催してきた。今後の 5 年間でもこのペー スでセミナーを開催していくことを計画している。

3-2-2 Evaluation of effectiveness of measures and systematization of comprehensive measures to combat desertification

(2)セミナー

これまで年 1 回のペースで日中合同セミナーを開催してきた。今後の 5 年間でもこのペー

5.今後の交流で見込まれる成果

今後の交流で見込まれる成果及び今後の改善点は、以下の通りである。

(1) 交流による学術的な影響

・ 日本側研究者には科学研究費補助金等、中国側研究者には中国科学院等の競争的 研究資金の獲得に向けた努力を呼びかけている。今後、これらの中から今まで以上に 日中国際共同研究プロジェクトが生まれて来ることが期待される。

・ 若手研究者の学術的交流を促している。研究申請書を作成する際にアドバイスを与え ること等により日中の若手同士の国際共同研究プロジェクトの創成を積極的に支援す る。

(2) 共同研究を通じて発表される研究業績

・ これまで査読付き論文は 277 編(うち SCI 誌は 138 編)、その他 61 編の研究業績が生 産されてきた。今後の 5 年間は、さらに加速して研究業績が生産されることは確実であ る。

・ とくにインパクトファクターの高い SCI 誌への投稿と日中共著論文の作成を研究者に促 しているところであり、今後の 5 年間でその成果が期待される。

(3)セミナーの成果

・ 今後とも年 1 回のペースで日中合同セミナーを開催する。

・ 平成 18 年度は、とくに砂漠と砂漠化に関する国際年であることから乾燥地科学と砂漠化 対処に関する国際シンポジウムを日本で開催することにより、本事業の成果が広く世界に 発信されることが見込まれる。

(4)若手研究者の交流に関する成果

・ 中国人研究者が日本に留学する機会を増やすため、拠点大学及び協力大学の留学生 枠を最大限活用する。このことにより、大学院修士・博士課程の留学が増えることが見込 まれる。

・ 日中公開セミナーでの若手交流の場を活用することにより、さらに若手研究者の公私に わたる交流が盛んになることが見込まれる。

(5)交流を通じての相手国からの貢献

・ 中国側研究者が政府の専門委員会等に参加することにより、本事業の成果が政府の砂 漠化対策に貢献することが見込まれる。

・ 中国側研究者が本事業により得られた成果にもとづき砂漠化対策に関する報告書を中

国政府に提出することにより、本事業の成果が中国政府の砂漠化対策に貢献することが

見込まれる。

(6)成果の社会への還元

・ 本研究で得られた成果を一般書籍として出版することを予定している。すでに原稿は集 まっているので早期に出版されることが見込まれる。

・ 本研究で得られた成果を一般雑誌で特集号として紹介してもらうことを予定している。

・ 本研究で得られた成果をもとに民間企業との技術開発の連携を模索しているところであ

り、今後、企業との連携による成果が見込まれる。

6.参考資料

(1)年度別交流の推移

拠点事業経費

(人/人日)

区 分 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度

研究者交流(派遣) 16/107 6/ 52 3/ 19 2/ 19 2/ 10

共同研究(派遣) 22/223 45/422 48/420 46/503 28/281

共同研究(受入) 0/ 0 1/ 29 0/ 0 0/ 0 0/ 0 セミナー(派遣) ※ 4/ 12 17/ 68 18/ 67 ※ 6/ 23 20/ 80 セミナー(受入) 16/ 96 0/ 0 0/ 0 16/ 64 0/ 0 日本側 42/342 68/542 69/506 54/545 50/371 計 相手国側 16/ 96 1/ 29 0/ 0 16/ 64 0/ 0

※は、日本開催時の、拠点事業経費を負担した日本側研究者数。

(参考)他経費による交流の推移

(人/人日)

区 分 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度

派 遣 4/ 28 13/131 32/288 48/516 39/479

受 入 1/ 90 0/ 0 9/293 7/197 2/ 11 中国科学院水土

保持研究所 1/ 90 0/ 0 7/107 2/ 67 1/ 4

新疆農業大学 0/ 0 0/ 0 1/ 96 4/ 85 0/ 0 中国農業大学 0/ 0 0/ 0 1/ 90 1/ 45 0/ 0 石 家 荘 農 業 現 代 化

研究所(現中国科学 院 遺 伝 与 発 育 生 物 学 研 究 所 農 業 資 源 研究センター)

0/ 0 0/ 0 0/ 0 0/ 0 1/ 7

(2)年度別セミナー要旨集(プログラム等)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・資料(1)

(3)燥地研究センター展示室「黄土高原コーナー」展示パネル内容・・・・・・資料(2)

(4) 中間成果報告書「黄土高原の砂漠化とその対策」・・・・・・・・・・・・・・・・・別冊(1)

(5) 報告書「中国黄土高原における熱・水収支特性に関する研究」・・・・・・別冊(2)

(6) 研究資料「緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究」・・・・・・・・・・別冊(3)

鳥取大学の取り組み

中国内陸部の砂漠化防止及び開発利用に向けて

拠点大学交流事業 :中国科学院との共同研究

第1課題 砂漠化の過程と影響の解明

砂漠化の進行過程とそれが自然環境に与える影響について明らかにすることを目的としています。黄土高原の 中でも特に侵食が激しいと言われている河川流域で,水収支に関する実証的な研究を行っています。現在の土 地利用が水収支に及ぼしている影響,そしてモデル計算で土地利用を変えた場合の水収支の変化について予測 します。

日本側拠点を鳥取大学乾燥地研究センター、中国側拠点を中国科学院水土保持研究所として平成13年 度に共同研究が開始されました。

研究対象は中国内陸部の砂漠化地域であり、特に黄土高原の砂漠化地域を重点研究地域として、砂漠 化とその防止に関する様々な問題について日中の研究者が協力し研究を行っています。

これらの研究成果を基にして、総合的な砂漠化防止対策を確立し、地域社会の持続的発展方向を提示 することがねらいです。

中国科学院水土保持研究所 鳥取大学乾燥地研究センター

黄土高原における流出の特徴

① 地表の鉛直浸透能が高く,

強降雨時のみ表面流出が 発生する.

② 土壌水分あるいは地下水 は降雨特性に大きく影響さ れる.

③ 河道内に建設されているダ ム・畑(潅漑を含む)の影響 が無視できない.

④ 自然斜面(未攪乱)と河道 内畑(攪乱)で同じ土壌でも 特性が異なっている.

⑤ 流出水には高濃度の黄土 が含まれており,測定に及 ぼす影響を無視できない.

⑥ 長期流出特性には,蒸発 散量が支配的である.

自然河道

ダム有河道

畑有河道

雨量観測 地下水(土壌水分)観測 流量観測

砂岩 黄土 紅土 砂岩

黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土 砂岩

黄土 紅土 砂岩

黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

砂岩 黄土 紅土

水文量のモニタリング

降雨時 無降雨時

The year of 1993 The year of 2004

Farmland Shrub Glass Forest Others

黄土高原における雨水流出過程に対応した 水文量のモニタリング手法。

神木県六道溝流域における1993年と 2004年の土地利用。退耕還草の政策 等が浸透してきています。

150 180 210 240 270

DOY 0

0.3 0.6 0.9 1.2 1.5

ma(=ET/ET0) 0 2 4 6 8 10

ET,ET0,E (mmday-1) ET ET0 E

資料(2)

約80箇所の地下水位、水質を定期的に観測します。

他の4課題と連携を取りながら、各課題の成果を取り込んで、総合的な砂漠化防止対策を立案提示す ることが目的ですが、特に、砂漠化の一つの象徴でもある塩類集積に着目して研究を進めています。

研究対象地区は、黄土高原に源流を持つ洛河下流域に位置する洛恵渠灌区で、この地区では塩類集積 問題が最大の課題です。この問題解決に向けて、農地での灌漑と地下水挙動が塩類集積に及ぼす影響 を解明し、その上で農地の塩性化を防止するための水管理・圃場管理技術の開発を目指しています。

24dS/m

黄河 洛恵渠灌区

(3.2万ha)

渭水 洛河

砂丘

黄土高原

洛恵渠灌区の位置を示す衛星画像です。地区内の小 さな黒い点は地下水観測点(約80点)を示します。

第3課題 適正技術と代替システムの開発

乾燥地域における伝統的農業技術の改良とともに、近代農業技術の導入を図った、持続的な作物生 産システムの構築を目指しています。砂漠化が進む黄土高原の延安地区では、急傾斜地での粗放な 作物栽培をやめて森林に戻す政策が現在進められています。森林に戻す畑地の代替として、高い現 金収入を狙ったビニ-ルハウス栽培が普及しつつありますが、現状のビニ-ルハウス栽培では、

様々な問題が出てきています。より持続的で効率的な作物栽培技術の確立をめざして研究を続けて います。

第2課題 砂漠化防止計画の作成

ハウス内の同じ土壌で繰り返し栽培すると、生産

土壌間隙水の電気伝導度を測定して、農地における塩類集積状況を測定します。

乾燥地に強い品種を見出すために、異なる品種の小麦 北側の壁と両側面が黄土を

固めて作られた無加温ビニー ルハウスが多く見られます。

第4課題 住民参加と環境教育に関する計画作成

第5課題 緑化と環境保全のあり方に関する総合的研究

砂漠化対処に不可欠な住民参加システムと環境教育のあり方について提言することを目的としています。こ れまでの調査で、農民の多くは砂漠化対処の必要性を認識していますが、それへの参加は政府補助金の受領 が目当てであることが明らかとなってきており、砂漠化対処に向けての住民の意識や問題点がはっきりして きました。

乾燥地域における持続的な緑化や生態系の回復に関する研究を行っています。延安地区を対象として、わず かに残された原植生であるリョウトウナラ林と外来樹種ニセアカシア人工林の比較研究を通じて、どのよう な緑化が当地域で適当なのかを調べています。

設置した観測機器からデータを回収。

住民の意識を高めるため、山の斜面に環境改善のス ローガンが掲示されています。

農民の意識調査風景(黄土高原)

中国環境教育用教材・雑誌・専門書の例 (農民向けの教育材料 は少ない)

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