ラパス市内にある技術系高校の一つである。8 つの課(繊維、自動車、機械、電子、電気、情 報通信、彫金、電気)が各々3 年コースで構成され、女生徒は繊維課で 90%(実数 80 人程度)、
情報通信課で 30~40%を占める(その他の課は男性がほぼ 100%)。同校の卒業者は 100%就職す るなど、技術系生徒に対する労働市場での高いニーズもうかがえる。また女生徒が大部分を占め る繊維課では、「生産技術能力(品質)の向上」だけでなく、製品の付加価値化に不可欠な「オリ ジナリティの創造・デザインの向上」を課題として取り組んでいる他、これらソフト面での向上 及びハード(生産機械の操作・運営維持管理)の双方の知識・技術を幅広く学んでいる。
このように付加価値のある差別化された製品を効率的に作り上げるための技術を身に付けるこ とは、安価な海外製品や不法なコピー製品が氾濫する国内市場で生き残るためには製造業従事者 として必須となってきている。しかしながら、他方、女性生産技術者育成の観点からすれば、技 術習得の課程で、女生徒が家族の理由で休学・退学を余儀なくされる例は男性に比して多く、こ れに対する予防や支援策は十分になされていないことも課題となっている59。
(3)女性企業家支援の現状 1)女性企業家の概況と動向
① 人数・業種
女性企業家の実数は、INE によると全国総女性労働者数(2,357,533 人:2014 年)の 31.6%、744,980 人と算出されている60。他方、参考までに図 が示すように都市部労働力の分類で見ると、男/女、
雇用/被雇用、フォーマル/インフォーマルの区分では、女性のインフォーマル自営業者の比率が 一番高いことが確認されている。またボリビア国は女性の労働市場参加率やインフォーマル部門 における女性労働者の割合において、他のラ米諸国との比較においても最上位グループに位置す る61。
図 8:男女別に見た都市労働力の分類
(出典)世銀(2009)、P.2
また、零細小企業の業種別従事者を男女比率で示した INE の調査(2010)62によれば、製造業(69:
31)、商業(39:61)、サービス業(59:41)となっており、商業における女性の比率が高い結果 となっている一方、製造業においては男性の半分以下となっていることが示されている。
製造業分野
‐男女比では、家具製造(76:24)、金属機械(94:6)、印刷・再版(72:28)、皮革 染色加工(57:43)、食品・飲料(44:56)、繊維加工(52:48)となっており、食品・飲料、繊 維加工、皮革染色加工で比較的女性従業者の比率が高いことが確認される。商業分野
‐男女比では小売業(36:64)、卸売業(62:38)、自動車・バイク・燃料販売(67:33)
59 ペドロ・ドミンゴ・ムリージョ工業高校での聞取り(2016/2/5)
60 INE Encuesta de Hogar 2011-2014
61 世銀(2009 年)、P.3
62 INE(2010 年)、「零細小企業調査結果」、P.39
となっており、小売業への女性従事者が多いことが確認される63。
サービス業分野
‐男女比ではホテル・レストラン(36:64)、自動車・バイク修理(94:6)、郵便・通信(59:41)、社会保健サービス(37:63)となっており、ホテル・レストラン業や社会保健サ ービスでの女性従事者が多い64。
② 経営状況
次表 12 が示すように、女性企業家の起業動機の大半が「経済的自立の機会」や「経済的必要 性」に基づくものである。収入増加の機会を明確に捉えて起業した女性企業家の割合は全国平均 で 14.8%と非常に少ない。
表 12:都市部女性の起業段階における動機 機会(1)
必要性(2) (1)と(2)の双方 収入増加 経済的自立
ラパス市 11.1 25.2 48.4 15.3
サンタクルス市 18.2 18.4 42.6 20.9
全国平均 14.8 23.5 43.0 18.7
(出典)「女性と起業」2011 年、P.52
このため起業により提供するサービスの価値や今後の市場の動向に対して自信や明確な期待が ある女性企業家の割合が非常に少ないことが特徴である。例えば、起業時に自らの生産品が目新 しい(革新的である)と思っている女性企業家の割合はラパス市で 14%程度、サンタクルス市で 12%程度と非常に低い65他、表 13 に示すようにほぼ半数の都市部女性企業家が今後の市場に対し て弱気な判断をしていることにも裏付けられている。
表 13:都市部女性の起業段階の市場への期待感 市場拡大は僅か
/ほとんどない
技術がなくても 市場拡大
技 術 が あ れ ば 市 場は拡大
大 き く 市 場 は 拡 大する
ラパス市 46.6 35.7 10.8 6.8
サンタクルス市 47.6 29.7 21.3 1.4
全国平均 54.2 27.2 16.6 2.0
(出典)「女性と起業」2011 年、P.64
また実際にセクター毎の収益を比較した場合、次図 9 に示すように男女企業家間、セクター間 でも格差が生じている。特に女性零細小企業家が多く従事しているとされる食品販売、繊維製品、
ラクダ科動物を利用した民芸品生産で、女性企業家の利益水準が低いことが理解される。
63 INE(2010 年)、「零細小企業調査結果」、P.83
64 INE(2010 年)、「零細小企業調査結果」、P.107
65 「女性と起業」(2011 年)、P.61
図 9:月額利益比較
(出典)世銀(2009)、P.22
他方、労働時間で男女差を見た場合、その週労働時間は、食品販売、繊維製品、ラクダ科動物 を利用した民芸品生産分野では、次図 10 に示すように 2~6 時間程度となっている。月額利益に おける差が大きいことを鑑みれば、この分野での女性の時間当たりの生産性が低いことが理解さ れる。またここでは女性の家事育児労働時間は考慮されていないことに注意すべきである。
図 10:性別で見た企業家の週労働時間
(出典):世銀(2009)、P.35