2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価)
2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論
(1)
ベネフィット日本では、爪真菌症に対して適応を持つ薬剤は経口抗真菌薬のみであり、外用抗真菌薬 は承認されていない。そのため、爪真菌症治療には経口抗真菌薬が広く使用されているが、
肝障害や薬物相互作用が生じることが問題となり、合併症などのために使用できない患者 も多い。したがって、全身性の副作用を回避でき、爪真菌症に有効である外用抗真菌薬が 望まれている。
このような背景の中、IDP-108は爪真菌症の外用抗真菌薬として開発を進め、KP-103-03 試験では趾爪塗布時の爪中濃度が平均値でMICの
20000
倍以上(CLSIのM38-A2 に準拠し て測定した最新のMICとの比較では40000
倍以上)であり、非常に高濃度であることが確 認された。更に、DPSI-IDP-108-P3-01試験及びDPSI-IDP-108-P3-02試験の2
つの検証的試 験を実施した結果、いずれの試験でもIDP-108 の爪真菌症に対する有効性が確認された。日本人を含むDPSI-IDP-108-P3-01 試験での主要評価項目である
52
週目の完全治癒率は、IDP-108 10%群 17.8%、基剤群 3.3%であり、統計的有意差が認められた[群間差(95%CI):
14.6(10.79 - 18.34)%、P < 0.001、解析センターを層とするCMH検定]。また、副次的評
価項目の1
つとして設定した52
週目の真菌学的治癒率は、IDP-108 10%群55.2%、基剤群 16.8%であり、同様に統計的有意差が認められた[群間差(95%CI)
:38.4
(32.07 - 44.65)%、
P < 0.001、解析センターを層とするCMH検定]。なお、両評価項目について、日本人部分
集団でも統計的有意差が認められていることから(P = 0.009及びP < 0.001)、IDP-108は日 本人の爪真菌症患者に対しても有効性が期待できるものと考えた。また、IDP-108 10%群 の完全治癒率及び真菌学的治癒率は、同じ評価項目で評価され、海外で承認を取得してい る外用抗真菌薬のシクロピロクスよりも優れていた(表2.5.6-1)。更に、IDP-108
と同じト リアゾール系の抗真菌薬で、国内で承認を取得している経口抗真菌薬のイトラコナゾール との比較では、投与期間(評価時期)及び評価項目が異なるものの、治療期間終了後の治 療効果としては遜色のない結果であると考えられた(表2.5.6-2)。したがって、IDP-108
は 外用で有効な爪真菌症(爪白癬)の新たな治療選択肢として期待できると考えた。また、海外で承認されている外用抗真菌薬のネイルラッカー剤は、1週間に
1
度のアル コールによる除去や塗布のたびに爪甲表面を爪やすりで削るといった煩雑さがあるが、IDP-108
は液剤であり、いずれの手順も不要である。そのため、高いコンプライアンスも期待できる。
エフィナコナゾール 2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価) Page 51
表
2.5.6-1 IDP-108
とシクロピロクス(Penlac
®)の治療効果の比較有効成分 IDP-108 シクロピロクス
剤形 10%外用液剤 8%外用ネイルラッカー剤
用法 1日1回連日塗布 1日1回連日塗布
投与期間 48週間 48週間
評価時期 52週 48週
試験番号又は試験名 DPSI-IDP-108-P3-01 DPSI-IDP-108-P3-02 Study 312* Study 313* 実施国
評価項目
日本、アメリカ、
カナダ アメリカ、カナダ アメリカ アメリカ
完全治癒率 17.8 (117/656)
15.2 (88/580)
4.5 (5/112)
7.6 (9/119) 真菌学的治癒率 55.2
(362/656)
53.4 (310/580)
17.9 (20/112)
16.0 (19/119)
%(被験者数)
*:Penlac® Nail lacquer FDA申請資料37)
Source:DPSI-IDP-108-P3-01試験-5.3.5.1-2_Table 11-4、Table 11-5 DPSI-IDP-108-P3-02試験-5.3.5.1-3_Table 11-4、Table 11-5
表
2.5.6-2 IDP-108
とイトラコナゾール(イトリゾール®カプセル50
)の治療効果の比較%(被験者数)
*1:○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○38)
*2:対象爪の感染面積0%かつ真菌学的治癒(KOH直接鏡検陰性かつ真菌培養検査陰性)
*3:対象爪の混濁消失かつKOH直接鏡検陰性
*4:KOH直接鏡検陰性かつ真菌培養検査陰性
*5:KOH直接鏡検陰性
Source:DPSI-IDP-108-P3-01試験-5.3.5.1-2_Table 11-4、Table 11-5 DPSI-IDP-108-P3-02試験-5.3.5.1-3_Table 11-4、Table 11-5
(2)
リスクIDP-108
との関連性が否定できない全身的な副作用は認められず、発現した副作用の多くは皮膚関連の事象であった。
DPSI-IDP-108-P3-01
試験及びDPSI-IDP-108-P3-02
試験で、IDP-108 10%
に比較的よくみられた副作用は、適用部位皮膚炎[3.4%
(22/653
名)及び0.7%
(
4/574
名)]であった。しかし、適用部位皮膚炎の重症度は、多くが軽度又は中等度であり、重度なものは
DPSI-IDP-108-P3-01
試験の1
件のみであった。なお、いずれの事象も塗 布を中止若しくは休薬し、無処置又は適切な治療を行うことによりほとんどが回復した。したがって、
IDP-108
塗布時は局所の皮膚反応に注意する必要があるものの、その発現率有効成分 IDP-108 イトラコナゾール
剤形 10%外用液剤 経口剤
用量 - 400 mg
用法 1日1回連日塗布 パルス療法(1週間経口投与し、3 週間休薬を3サイクル繰り返す)
投与期間 48週間 12週間
評価時期 52週 24週
試験番号又は試験名 DPSI-IDP-108-P3-01 DPSI-IDP-108-P3-02 国内第II/III相試験*1 実施国
評価項目
日本、アメリカ、
カナダ アメリカ、カナダ 日本
完全治癒率 17.8 (117/656)*2
15.2 (88/580)*2
5.8 (3/52)*3 真菌学的治癒率 55.2
(362/656)*4
53.4 (310/580)*4
63.5 (33/52)*5
エフィナコナゾール 2.5 臨床に関する概括評価(臨床概括評価) Page 52
及び程度は十分許容できるものであり、忍容性は高いものと考えられた。また、有害事象 の発現時期を検討した結果、長期塗布による発現率の上昇はみられず、長期塗布時に特徴 的な有害事象の発現もなかった。
更に、IDP-108 を趾爪に塗布した際の血中移行性及び全身曝露量は非常に低かったこと から、他の経口抗真菌薬で認められている薬物相互作用の問題点が生じるリスクは極めて 低いと考えた。
以上のことから、長期間の治療が必要となる爪真菌症(爪白癬)の治療に対して、
KP-103
(IDP-108)は非常に忍容性の高い薬剤であると考えられ、これまで経口抗真菌剤による治 療しかなかった爪真菌症(爪白癬)の薬物治療に、全身的な有害事象や薬物相互作用の発 生リスクの低減を可能にする新たな選択肢を加えるとともに、薬物治療ができなかった患 者にも薬物治療の機会を提供し得る、爪真菌症(爪白癬)治療に大きく貢献できる薬剤で あると考える。
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