• 検索結果がありません。

5.3 実験結果と考察

5.3.1 プライベート空間

コミュニティ内でリアルタイムのメッセージを共有することの効果

まず Community Messenger がどのような目的で利用されたのか,ユーザーのアンケートか ら回答数が多かった順に示す. 

 

連絡 

気分転換の対話 

実際に出会うための呼びかけ 

質問  独り言 

ファイルの送受信 

一般的なメッセンジャーの利用は物理的に離れた相手に対して直ぐに返事がほし いことをメッセージとして送信するためにおこなわれる.Community Messenger でも この利点を生かした利用をされていたことがわかる.実際にユーザーのコメントでも

「物理的に話かけに行くのが面倒だからすごく便利」という意見が得られた.こうし た既存のメッセンジャーに見られる利用目的のほかに Community Messenger では独り 言を目的として利用したユーザーがいたことが挙げられる.確実な返答をもとめるわ けでもなく,誰でもいいからぼやきたい,知ってもらいたいといったユーザーの心理 は特定の誰かを選択して発言することが中心の既存メッセンジャーでは満たせない 行為である. 

 

次に図 22に各コミュニティにおける一週間毎の発言数の変化をグラフを示す. 

 

0 50 100 150 200 250 300 350 400

第一週 第ニ週 第三週 第四週

A B C D E F G H

図 22 利用履歴のグラフ

 

グラフからはコミュニティによって大きく発言数が異なることがわかる.利用期間 とともに発言が増えるコミュニティ H や一定の発言を保っているコミュニティには A,B,C がある.急激な変化があったコミュニティ D を調査したところ,このコミュニテ ィはある授業の中でのグループワークを行うために結成されていたことがわかった.

三週目の時点でその授業での課題が終了しており,発言数が減少している.明確な目 標をもったコミュニティにはコミュニケーションをとるのに有効な手段であったこ とが推測できる.ただし,こうしたコミュニティはタスクが終了した時点で発言数が 減ることが観測された.  

次に平均的な利用のあるコミュニティ B に注目する.発言内容から他人同士のコミ ュニケーションがおこなわれている時に第三者が自発的に参加した回数を調べた.こ の結果を表1に示す.他人同士の対話に気付いて自発的な参加を行えない既存メッセ ンジャーと比べ少なくともに四週間で合計 5 回コミュニケーション機会が増えたと言 える. 実際はこうしたカウントには現れないオフラインの接触も考えられる.ただし, その測定は主観にもとづいたものであり,発言内容だけであきらかにこうした行為と みとめられるものをカウントしている. 

 

表 1 自発的なコミュニケーション参加回数 一週目 二週目 三週目 四週目

0 0 3 2

続いて利用後のアンケートから他人同士のコミュニケーションを共有したことの効 果を表 2でしめす. 

表 2 他人同士のコミュニケーションを共有することの効果  質問内容 

(他人同士のコミュニケーションを受け取ったことで) 

Yes No 

有益な情報を得たか? 12 人 8 人 

その話題に参加したか? 14 人 6 人 

別の新しい対話が発生したか? 13 人 7 人 

 

以上のように 6 割から 7 割のユーザーがコミュニティ内でコミュニケーションを共 有することのメリットを感じ,実際にコミュニケーションの回数が増えていることを 確認できた. 

受信メッセージの確認方法について

Community Messenger の特徴はコミュニティのメンバー全員にメッセージが受

信されることである.既存メッセンジャーは確実にその個人に対してメッセージがお くられるのでほとんどの場合返答をおこなう.そのため,それまでおこなっていた作業 を中断し,アプリケーションをきりかえメッセージを確認し,返答をおこなうといった 一連の作業を苦に感じることはない.しかし,本ツールで届くメッセージは必ずしも自 分当てのメッセージとは限らない.こうした場合にわざわざ作業を中断し,アプリケー ションを切り替え,メッセージの確認をすることが非常にわずらわしく感じるユーザ ーがいると予想した.したがって今回は新たなメッセージ受信方法として,アクティブ ウィンドウのタイトルバーにメッセージを流す手段を取った.これに関してアンケー トから代表的なコメントを表 3に示す.

表 3 受信方法についてのユーザーのコメント

肯定的なコメント 否定的なコメント

アプリケーションの切り替えなしに メッセージを確認できるのがよい 自分に不必要な対話は無視できるの

がよい

ウィンドウがなくてもメッセージが よめるのがうれしい

集中しているときに邪魔にならない のがよい

自分へのメッセージが流れていない か気になる

その時の精神状態によっては邪魔に 感じる

読みづらい,流れがおそい 集中していると気付かない

アンケートによると約8割のユーザーがこの手段を肯定的に感じていることが確 認でき,コメントにみられるようにコミュニティの会話を受け取る手段として有効で

あることが確認できた.メッセージの受信が仕事や研究に打ち込んでいる利用者にと って作業の妨げになるおそれも予想されたが「集中時にはメッセージの受信を邪魔に, 感じないのがよい」という意見がえられた.しかし,ユーザーによってはそのことが不 満に感じることもあったようだ.また表示に関しては「文字の流れがおそく読みづら い」という意見があり,これは個人ごとに文字の流れるスピードを設定できる機能をつ け改善する必要がある.また自分の気分に合わせてメッセージが流れる機能を O N,Offできる仕組も検討したい.

関連したドキュメント