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III. フィリピン

1. 調査対象国・地域の現状及びニーズの確認

1.1. 対象国の政治・経済の概況

(1) 人口構成、国土面積、政治・マクロ経済指標、人口構成、国土面積、GDP、政治状況、

主要産業等

1) フィリピンの概要

フィリピン共和国は7,100余りの島々から成り、北緯4度23分~21度25分、東経116~127 度、全面積約30万k㎡、南北距離1,850 km(台湾南端~北部ボルネオ周辺)、東西距離965km である。海岸線長さは1万7,500kmで、東側を太平洋、北側及び南側を南シナ海、南側をセレ ベス海に囲まれている。

国内の二大島であるルソン島、ミンダナオ島は、平野、峡谷、山岳地等起伏のある地勢であ り、小島の多くも山がちな内陸部と低地の海岸線を持ち、海岸線は、大きな島も小島も不規則 な形をしている。

気候は、高温多湿・多雨の海洋性熱帯気候である。年間平均気温は26.6℃、最低気温月は1 月で平均気温が25.5℃、最高気温月は5月で平均気温が28.3℃である。年間湿度は、3月平均

の71%~9月平均の85%であり、季節は、気温と降雨量に基づき6月~11月 の雨季と12月~

5月 の乾季に分かれる。

また、年間を通して、熱帯低気圧、台風が多数発生し、年平均発生数は約 20個、最も多く 発生した年は1993年で32 個であった。最も人的被害が大きかった台風はT1991-25 (Thelma,

Uring) で1991年11月4日から6日にかけて「フ」国南部諸島を通過し6,304人の犠牲を出し

た。実際には8,000人が亡くなったとも言われている。

フィリピンの一般概況を表Ⅲ-1に示す。

表 III-1 フィリピン一般情報 国・地域名 フィリピン共和国 Republic of the Philippines

面積 29万9,764平方キロメートル

人口 9,586万人(2011年、出所:IMF)

首都 マニラ首都圏(NCR) 人口1,186万人(2010年センサス)

言語 フィリピノ語(公用語)、英語(公用語)、セブアノ語など 宗教 カトリック教(82.9%)、イスラム教(5.1%)など 出典:「JETRO国地域別情報」

フィリピンの人口は2011年で9,586万人。うち、マニラ首都圏National Capital Region(NCR)

は約1,200万人である。図Ⅲ-1に示すように人口構成は若年層程多い典型的なピラミッド型で、

年齢の中央値は26.6才であり、若い労働力が多い。産業就労人口は約3,700万人である。

図 III-1 フィリピンの年齢構成

2) フィリピンの政治

フィリピンの議会は上・下二院制で、上院24議席(任期6年、連続三選禁止)、下院(定数)

250議席(任期3年、連続四選禁止)となっている。正副大統領はそれぞれ直接投票により選 出され、大統領の任期は6年、再選禁止である。大統領は首相の任命、議会の召集、首相およ び閣僚の不信任案が可決された場合の議会の解散、首相の勧告を受けての非常事態宣言あるい は戦争状態宣言の公布、法の公布、条約への署名、などの儀礼的権限を有する。

表 III-2 フィリピンの政治概要 政体 立憲共和制

元首 ベニグノ・アキノ(3世)大統領 (Benigno Aquino III) (2010年5月 10日の大統領選で当選、1960年2月8日生まれ)

議会制度 二院制 議会概要(定員数、

任期)

上院定員24名、下院定数250名以下で、任期は上院が6年(3年ごとに半 数ずつ改選)、下院が3年。

内閣(主要閣僚) 役職 名前-日本語表記 名前-英字表記 副大統領 ジェジョマル・ビナイ Jejomar Binay 財務大臣 セサール・プリシマ Cesar V. Purisima

外務大臣 アルベルト・デル・ロザリオ Albert F. Del Rosario 貿易産業大臣 グレゴリー・ドミンゴ Gregory Domingo

出典:「JETRO国地域情報」

現アキノ政権は2010年6月30日に発足した。アキノ大統領は、汚職・腐敗の撲滅、ミンダ ナオ和平及び治安の強化も政権の重要政策として掲げている。

3) フィリピンの経済概況

2011 年の実質 GDP 成長率は 3.9%で前年の 7.6%を大きく下回った。政府は成長率鈍化の

要因として、原油価格の高騰、東日本大震災とタイ洪水被害がもたらしたサプライチェーンへ のダメージ、欧州債務危機に端を発した景気減速などが輸出の減速を招いたことを挙げている。

一方で、2011 年の日本からの直接投資額(認可ベース)は前年比32.6%増の773 億6,000 万

ペソとなり新規投資が増加し過去最高額となった。フィリピン経済区庁(PEZA)の認可件数 をみると、2010 年は新規投資が 37 件に対し,2011 年は 67 件であった。中国の賃金上昇の 激化、他のASEAN 諸国における労働者不足、タイの洪水被害によるサプライチェーンの寸断 といった課題が発生する中、リスク分散先としてフィリピンを再評価する動きがある。

① 産業構造

フィリピンの2011年の名目GDPは9,735,521百万ペソであり、前年からの成長

率は3.9%であった。フィリピンの主要産業はサービス産業であり、GDPの約56%

を占める。2011年のサービス産業の伸びは 5.1%増と堅調で、中でも不動産,金 融,ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の三つの産業は好況を呈し ている。また、800万人に及ぶ海外在住労働者(OFW)の送金も7.1%と伸びた。

GDP の 31%を占める鉱工業生産は輸出不振の環境ながら、4.7%の伸びをしめし

た。農林水産業は人口の33%が従事しているが、GDPでは約13%を占め、天候 不順等の影響で低い伸びに留まっている。

フィリピンの産業別GDP(ペソ)とその構成比率を図Ⅲ-2に示す。

図 III-2 フィリピンの産業構造とGDP(2011年)

② 貿易と対外投資

主要な輸出品目は電気製品、特殊品目、機械及び部品、木材及び製品であり、2011 年の輸出は前年比 6.6%減の 480億 4,200 万ドルとなった。一方,輸入は 9.9%

増の 601 億4,400 万ドルで、11 年連続の入超となった。貿易赤字額は 2010 年 の 32 億 8,900 万ドルから 2011 年は 121 億 200万ドルに拡大した。

最大の輸出相手国は日本で、2011年は前年から13.3%増の88 億6,500 万ドルと 堅調な伸びを示した。一方、ASEAN は25.3%減の86 億3,500 万ドルとなった。

これに続く米国はノートパソコンなどの販売が思わしくなかった。

輸入品は鉱物性燃料、電気機器、特殊品目、機械等であり、品目別では、鉱物性 燃料が原油価格高騰を受け、前年比 30.7%増の 125 億 1,700 万ドルとなり、輸 入額の約2 割を占めた。特殊品目は15.6%増の94 億6,800 万ドルで、経済特区 に進出した企業が加工・生産に使用する原材料が中心となっている。日本は3.5%

減ながら 65 億1,000 万ドルと、輸入相手国としては 3 年連続で最大となった。

次いで米国が11.0%増の65 億100 万ドル、中国が31.5%増の60 億5,900 万ド ルと続いた。中国からは軽油や石油ガスが増加した結果、鉱物性燃料が 2.4 倍に なった。その他、原油価格高騰を受け、全般的に産油諸国からの輸入額が大幅に 増加した。

表 III-3 フィリピンの経済概況

項目 2011年

GDP

実質GDP成長率(%)基準年:2000年 3.9 名目GDP総額 - ペソ(単位:100万) 9,735,521 名目GDP総額 - ドル(単位:100万) 224,771 一人あたりのGDP(名目) - ドル 2,345 消費者物価指数

消費者物価上昇率(%)年平均 4.6

消費者物価指数2006=100、年平均 126.1

失業率(%) 7.1

産業生産指数・エネルギー

製造業生産指数2000=100、年平均 154.2 製造業生産指数伸び率(前年比)(%)年平均 2.1 国際収支

経常収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万) 6,988 貿易収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万) -15,519 外貨準備高 - ドル(単位:100万)金を除く 67,290 対外債務残高 - ドル(単位:100万) 61,711

項目 2011年

為替レート(期末値、対ドルレート) 43.9280

輸出額 - ドル(単位:100万)FOB 47,967 対日輸出額 - ドル(単位:100万)FOB 8,861 輸入額 - ドル(単位:100万)CIF 60,139 対日輸入額 - ドル(単位:100万)CIF 6,509 直接投資受入額 - ペソ(単位:100万) 198,051 直接投資受入額 - ドル(単位:100万)認可ベース 4,573 出典:「JETRO国地域別情報」

1.2. 対象分野における開発課題

1.2.1. 造船・船舶修理業の現状

(1) 設備能力、技術力、人数、修繕内容(実績)

フィリピンの造船所は運輸省海事産業庁(MARINA)の管轄であり、大統領令第 666 号に 基づき、造船・船舶修繕産業(Shipbuilding Ship Repairing :SBSR)事業主は海事産業庁(MARINA)

に登録し事業認可を得なければならない。2006 年時点で海事産業庁から営業認可を得ている 事業者は、設備能力等により次のとおり分類されており、下記表Ⅲ-5 のとおり、同庁本局(マ ニラ首都圏、カビテ州、リサール州、バターン州)および同庁地方局(MRO)に登録され、

業種と地域別に示されている。

表 III-4 フィリピン海事産業庁のよる造船事業者の分類

分類 要件 規模 資本 エンジニア

大 規 模 事 業 者

(Large)

ドック、浮きド ック、シップリ フト、船台のい ずれかを有する こと

20000DWT1以上 払 込 済 み 資 本

5,000 万ペソ以

正規職員 造船技師、エン ジニア、安全管 理者等

中規模事業者

(Medium)

同上 3000 ~

19,999DWT

払込済み資本金 2500万ペソ以上

同上

小 規 模 事 業 者

(Small)

同上 2,999DWT以下 払込済み資本金

1050万ペソ以上 同上

2012年の SBSR合計は121社である。その他、ドック等の設備を持たず、岸壁等で修理を 行う業者は2010年のデータでは234社、ボート等の舟艇業者は207社あった。

1 DWT:載貨重量トン

表 III-5 フィリピン造船・船舶修理業者の一覧(2012年データ)

MARINA OFFICE LARGE

SBSR

MEDIUM SBSR

SMALL SBSR

SUB TOTAL

CENTRAL OFFICE 3 4 31 38

NORTHERN LUZON MRO - - - 0

BATANGAS MRO 1 - 3 4

LEGASPI MRO - 1 - 1

CEBU MRO 3 3 13 19

TACLOBAN MRO - 1 - 1

ILOILO MRO 1 - 6 7

CAGAYAN DE ORO MRO 1 - 1

ZAMBOANGA MRO - 2 8 10

DAVAO MRO - 1 1 1

COTABATO MRO - 1 18 19

SUB-TOTAL 8 14 99 121

上記SBSRのうち、調査時点で確認できた大規模事業者は以下のとおりである。

表 III-6 フィリピンの大規模造船事業者の概略

地域 造船所名 主な造修施設規模 区域 資本

ルソン SUBIC DRYDOCK CO. Subic

スービック・ドライドック社

(スービック)

168m×38m 浮きドック

61m×20m浮きドック

内外航の船舶修理、比、米の艦 船の修理中心

Subic SEZ

100%外 資

SUBIC SHIPYARD & ENG’G.

INC. Cawag, Subic

ケッペル・スービック・シップヤ ード社(スービック・カワグ)

550m×65mドック他

各種商船の修繕、改造と新造 外航船、輸出船を中心

SEZ 100%外

HERMA SHIPYARD &

ENG’G., INC. Mariveles, Bataan

ヘルマ・シップヤード・アンド・

エンジニアリング社(バタアン・

マリベレス)

150m×23mドック

120m×20m船台

グループ企業のタンカー建造、

修繕を中心

SEZ 比資本

KEPPEL MARINE PHIL. INC.

Batangas City

ケッペル・バタンガス・シップヤ ード社(バタンガス市)

200m×38mドック

172m×28mシップリフト他

改造、修繕及び海洋構造物等の 建造が中心

SEZ 100%外

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