第 4 章 ビーム位置モニターの位置分解能の検 証と改良
4.1 ビーム位置モニター ESM について
ESM(Electrostatic Monitor)は前述の通り、一次ニュートリノビームラインにあるビーム位置モ ニターで、全部で21台が設置されている。配置は図4.3のようになっており、以後の説明では最
上流をESM1、最下流をESM21として上流から番号を振ることにする。
ESMはビームパイプの内側の上下左右の4方向に長方形の電極のプレートが取り付けられてい る構造になっている。図4.1がESMの内側の写真となっており、模式図化すると図4.2のようにな る。一枚の電極プレートはビームパイプの80°の範囲を覆っており、ESMのビーム方向の長さは 設置されている場所によって異なり、125mm、160mm、210mmの3種類が存在する。これは単純 にスペース上の都合により変えてあるだけで、125mmのESMは常伝導区間にあるESM1 ESM10 とESM16 20の15台、210mmのESMは超電導区間にあるESM11 ESM15の5台、そしてター ゲット直前のESMであるESM21は唯一160mmの長さとなっている。
図 4.1: ESM 図4.2: ESMの模式図
図4.3: ESMとSSEMのビームライン上の配置図
また、ESM4、ESM5、ESM19、ESM20はビーム軸を回転軸として45°傾いて取り付けられて おり、例えば垂直方向では図4.4のように上半分にある2枚の電極と下半分の2枚の電極をそれ ぞれ上下の電極として位置を測定している。これは、かつてESMの電極プレートの端子部分に陽 子ビームがぶつかって真空がリークをしたことがあるためである。その対策としてこれらのベン ディング・マグネットの前後にあるESMに関して水平方向にプレートが来ないようにし、仮に陽 子ビームがぶつかってもリークしないような設計となっている。
図4.4: 傾いて取り付けられたESMの模式図
陽子ビームがESMの中を通過すると、陽子ビームによって電極に電荷が誘起され、それぞれの 電極に誘起された電荷量の差からビーム重心の位置を求めることが出来る。具体的には、例えば水 平方向だと近似的に図4.2のチャンネル番号を用いて4.1式のようになる。
x∝ CH0−CH1
CH0 +CH1 (4.1)
ESMで得られた電気信号は積分アンプを通され、水平方向同士の差(図4.2のCH0-CH1)と 和(CH0+CH1)、垂直方向の同士の差(CH2-CH3)と和(CH2+CH3)のデータとしてビット数 12bit、サンプリングレート160MHzのFADCを用いて取得している[14]。ビーム中心位置の測定 にはこの波形のそれぞれのバンチのピークの位置が用いられている。ESMで取得した積分波形は、
差が図4.5、和が図4.6のようになっている。図4.5では左右の電極の差の波形となっており、波 形の8個あるピークそれぞれが各バンチの信号に対応しており、プラスとマイナスの両方に存在す るのはビームの中心位置がビームパイプの中心の左右どちらを通ったかによるものである。一方、
図4.6は左右の電極の和となっており、この波形プラス方向のピークとなっている。
図 4.5: ESMの水平方向の電極の差の積分波形
図 4.6: ESMの水平方向の電極の和の積分波形
また、設計時の位置分解能の要求は450µm[14]となっている。しかし、前述の通り現在の位置 分解能は明らかになっていないため、以下で明らかにしていく。