第 4 章 ビーム位置モニターの位置分解能の検 証と改良
4.6 ビームを用いた改良後の位置分解能の評価
図4.152: ウィナーフィルタの周波数特性
図4.153: フィルタ適用前のESM20の波形 図4.154: フィルタ適用後のESM20の波形
一見すると左のフィルタ適用前の方が形がきれいに見えるが、この波形は積分アンプに通されて るため、右図のようにバンチの波形とその後のマイナスになってる部分の面積が足して0となる 必要がある。よって、左のフィルタ適用前の波形は正常ではない。図4.155はESM4の波形だが、
ESM20ではフィルタ適用後、よりこのような波形に近くなっていることがわかる。
図4.155: ESMの水平方向の電極の和の積分波形
このフィルタ適用後の波形データ1000スピル分を用いて、ESM20の位置分解能を求めてみる と、0.071mmとなった。元のフィルタ適用前のESM20の位置分解能が0.080mm程度であったの で若干改善が見られた。
ウィナーフィルタを用いたESM20の位置分解能の改良では、ノイズを減らすことが出来、位置 分解能に改善が見られた。わずかとは言え位置分解能に改善が見られたので、今回制作したウィ ナーフィルタはESM20のノイズを除去するフィルタとしては有効であることがわかった。しかし ながら、他のESMの位置分解能と比べると十分とは言い難く、ノイズを完全に除去するには至っ ていない。今後、ノイズをより高精度で取り出すことができれば、より位置分解能を改善すること ができると考えられる。今回はノイズ信号として、第8バンチ後のノイズ信号のみを使用しフィル タの作成を行った。そのため、ノイズ信号のサンプル数が少なく、ノイズ除去として不十分だった
可能性が考えられる。また、今回フィルタに使用した波形は4つ全ての電極を足し合わせた波形で ある。そのため、フィルタは全電極に同じようにノイズが混入していると仮定してノイズを除去し ており、電極ごとの違いが考慮されていない。しかし、現実には電極ごとに混入するノイズの波形 は異なるはずである。よって、それぞれの電極ごとの波形データを取得し、ノイズを解析すれば、
より位置分解能が改善すると思われる。
今回は、ESM20のみに関してフィルタを制作し、適用させたがノイズを減らせることを確認で きたので、同様の方法でESM21に対してのフィルタを作ることも可能である。ただし、現段階で
はESM21では生波形の取得を行っていないため、波形取得用のFADCを設置する必要がある。